ハマの大エース山口俊
山口選手がFA権を行使する可能性が高いと報じられています。
他球団に移籍したいから行使するのか、それとも自分の客観的な評価を知りたいから行使するのか、意図する所まではわかりませんが、僕が山口選手の立場なら、わからないでもないなと感じています。
というのも、山口選手については球団もファンも過小評価をしていると感じるからです。
これは僕が今年の1月に書いたエントリーのスポーツナビ側ですけれども、コメント欄を見れば、ベイスターズファンが山口選手をどのように言っているのか明らかだと思います。
僕は何の根拠も示さずに山口選手を持ち上げているわけではない事はエントリーを読んでいただければわかると思いますが、そういった論拠に対して具体的な指摘も無しに、ただただ山口選手を忌み嫌うようなコメントが出ています。
ブログコメントとは別に今日のツイッターのタイムライン上で眺めたツイートにこういうものもありました。
書いた人を個人攻撃する目的ではないので名前は載せませんが、この中にある「前年までの成績が微妙」とは、いかがなものでしょうか。
山口選手が1軍定着を果たしたプロ入り4年目から今季までの8シーズン中で、年間の防御率が3.50を越えてしまったのは2013年と2015年の2回だけです。あとは全てのシーズンで防御率3.50を下回り、1軍のレギュラー投手として評価できる数字を安定して残し続けています。先発をやったり中継ぎをやったり抑えをやったりしながら、です。球界最年少で100セーブを達成したのも然りです。
他方で、今季限りで惜しまれつつ引退を表明した三浦大輔選手はというと、山口選手と同じ基準でプロ入り4年目から昨季までの21シーズン中で防御率が3.50を上回った回数は9回にのぼります。職務は先発だけに限られても、です。
仮に防御率3.50をクリアしたシーズンをクオリティシーズンとするならば、山口選手は8シーズン中6回の達成でクオリティシーズン率は.750です。三浦選手は.571ですから、山口選手のほうがはるかに安定して好成績を収め続けていると言えようかと思います。
そして、こういった厳然たる事実がありながらも、かなり大勢のベイスターズファンから「前年までの成績が微妙」とか、ネガティブな声ばかり乱れ飛んでいるのですから、それはFA権を行使したいと考えるのも無理からぬ事だと、僕は思うのです。
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最近話題になったこの件が、山口選手にネガティブな言葉を発し続ける人達と相通ずるものがあると思いました。
「いじめられる側にも原因がある」に対するはるかぜちゃんの指摘が相変わらず鋭かった件 - Togetterまとめ
いじめをやる人達というのは、なんだかんだと理由というかいいがかりを付けていじめるのであって、だからやっぱりいじめる側に問題がある、みたいな話でしょうか。
山口選手について言えば、成績が安定しているとか最年少100セーブとか色々と好材料があるにもかかわらず、重箱の隅をつつくようにしてネガティブな言葉を浴びせ続けられているわけでありまして、ですから似ている話だなぁと僕は感じたのです。
でね、山口選手にネガティブな言葉を発し続ける人達と、いじめをやる人間というのは、それがその人の本質的な所だから、今更どうにもならないんじゃないかと、そのように考えております。
厳しい言い方をすれば、そういう考え方が骨の髄まで染み込んでる人達だから、今更咎めた所で改まる可能性は薄い。そう思っております。
だからこそ重要なのは、そういうネガティブな人達から山口選手を守るためにも、我々があえて声を上げていく必要があるのではないか、という事です。
また手前味噌で恐縮ですが、みんなで褒めようという事です。
そうやって褒める声を多数派とし、ネガティブな人達を隅っこに追いやることが必要なのではないかと思うのです。そうすることで山口選手が自信をつけ、ベイスターズにさらなる愛着を持ってくれれば、お互いがハッピーになれるのではないでしょうか。
そのように考えております。
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最後に、今シーズンの山口選手について感想を書きますと、年初に20勝出来ると書いた僕ですので、物足らないシーズンであったと感じております。
今シーズンは都合3度の故障で合計2ヶ月位に渡ってチームを離脱したのが痛手でした。それまで大きな故障をせずにきた山口選手なので、勝数はともかく長期に渡ってチームを離脱することは想定していませんでした。
3度の故障の内、最初の1回は調整のために登板したファームの試合で後藤選手の気の抜けたような悪送球を必死に追いかけた末での故障なので、これは仕方がありません。調整目的で出場したファームの試合でも手を抜かない山口選手の生真面目さが仇となったものです。
残りの2回はいずれも練習中の、避けられた故障では?と感じております。だからモヤモヤしているのです。
2ヶ月くらいチームを離脱して規定投球回にも達していないのに11勝でチームの勝ち頭ですから、故障がなければ16~18勝くらいはしていてもおかしくなかったと思います。
しかも今シーズンの前半は打線が低調で、そのせいで今永選手がなかなか初勝利にたどり着けなかったのも記憶に新しい所ですから、来シーズンは20勝出来ても全く不思議ではないだろうし、その事について異議を挟む人も今年の年初ほど多くはないだろうと思います。
だから今の僕が山口選手に言いたいのは、今年はFA権の行使をするのは止めて、来シーズンに最高のパフォーマンスを発揮して、国内はもとよりMLBからの耳目を集めてから、そこで改めてFA権を行使してみてはどうか?という事です。
そうなると恐らくベイスターズ側が提示する年俸も今年の提示と比べてはるかに高額になるのは間違いないですし、今年はクライマックスシリーズに登板できなかった、その心残りも解消できるのではないでしょうか。
山口選手は野球選手として、人間として大変素晴らしい人物であるのに間違いは無いのですけれども、ただし、自分を売り込むことにかけては、だいぶ御下手であるとも思います。
それが三浦選手や山崎康晃選手との評価の違いに繋がっていっているのは間違いないですし、その差を今から挽回するための戦術として、今オフにFA権を行使するのは得策ではないと僕は思います。
来年も再来年もその先も、山口選手には末永くベイスターズの中心人物でい続けてもらいたいですけれども、今の僕としては、ひとまず今オフのFA行使を留まるよう、お願い申し上げる次第であります。
以上