ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

戸柱選手以外のベイスターズキャッチャー陣を語る

 

 今シーズンのベイスターズでは戸柱選手がルーキーらしからぬ大活躍でファンを大いに喜ばせてくれています。ベイスターズがここまでセリーグの上位争いに食い込めている理由の一つが戸柱選手の活躍にあるのは疑いようがありません。

 

 ですので、ぜひ今後とも怪我無く末永くご活躍いただきたいと考えています。

 

 しかしその一方で、二番手キャッチャーとして位置づけられた高城選手以降何人ものキャッチャーが、いつの日かレギュラーを奪ってやろうと虎視眈々と機会を伺いつつ、日々研鑽を続けていることを忘れてはなりません。

 普段日の当たらない場所にいる選手にこそ目を向けたいと考えている僕として、この戸柱選手以外のキャッチャー陣について触れないわけにはいきませんし、言いたいことが山程ありますので、今日はそのあたりを個々の選手毎にねちねちと書き連ねていきたいと思います。

 

 

高城俊人選手

 

 今シーズンは二番手キャッチャーとして、山口俊選手が登板する試合と、戸柱選手に疲れが見える時などにスタメンマスクを被っています。開幕からずっと1軍にいますからベイスターズファンの多くも日頃目にしていると思います。

 彼のもっぱらの課題はキャッチングと、送球時のボールを握り直す癖にあったと思いますけれども、このへんは今年に入って大変めざましく改善されています。ですから僕は開幕前は高城選手こそがレギュラーキャッチャーにふさわしい存在だと考えていたのですが、戸柱選手の登場で、その努力の成果をお披露目する機会が減ってしまったのはちょっと運がありませんでした。

 今日取り上げる選手の中では一番文句をつける部分が少ない選手ですから、戸柱選手がバテたりプロの壁にぶつかったりした時に、努力の成果をいかんなく発揮できるよう常に最高の準備をするよう心がけてもらえれば幸いです。

 

■嶺井博希選手

 

 今年は三番手キャッチャーとして、ただの一度も一軍のマスクを被れないまま過ごしている嶺井選手です。本人的にはプロに入って最も厳しい時期を過ごしていると感じているかもしれません。

 僕の経験上、三番手キャッチャーほど辛い立場はありません。特に嶺井選手の場合はレギュラー争いする他のキャッチャーと年齢層が近く、下手をするとこのまま何年ものあいだ殆ど二軍暮らしをし続けなければならなくなります。

 過去の例では、ベイスターズでは新沼さん(現コーチ)がそうでしたし、現在の他球団では巨人の加藤選手、阪神の岡崎選手、中日の松井雅人選手、広島の白濱選手などが、非常に長い間二軍暮らしを続けている実例として挙げられると思います。

 恐らく、嶺井選手が何か大変革でもしないかぎり、十中八九このコースだろうと僕は見ています。ポジション柄なかなかクビにならないのは良いことですが、生殺しされているような辛い立場を我慢し続けるのも、それが果たして良いものかどうか難しいものです。

 

 ただし、嶺井選手には一つ大きな武器があります。それはバッティングです。彼には持って生まれた飛距離と打球の角度が備わっているのではないかと、僕はかねがね考えてきました。パワプロで例えれば「弾道4」の持ち主、それが嶺井選手です。

 数字の方も、昨シーズンは1軍で少ない打数ながら5本塁打マークしていますし、今シーズンも既にファームで4本塁打を放ちチーム2位につけています。

 キャッチャーは他の野手と比べてバッティング練習に割ける時間がそれほど多くないにも関わらず既にこれだけの数字を残しているのは、それだけ潜在能力が高い事を示していると考えられないでしょうか。

 

 よくよく考えてみると、嶺井選手にとって同郷の大スターとも言うべき石嶺和彦さんの姿にダブって見えてきます。石嶺さんも元はキャッチャーとしてプロに入りましたが、故障の影響で外野手に転向を余儀なくされたところから一挙に才能を開花させ、オリックスブルーサンダー打線の中核を担うリーグを代表するスラッガーとなられました。

 

 というわけで何が言いたいかと言いますと、この際キャッチャーに見切りをつけて野手に転向するべきであるという事です。今から高城選手や黒羽根選手と競って二番手に昇格するのを目指すよりかは、嶺井選手の持って生まれたもう1つの才能を活かすほうがチームにとっても本人にとってもよっぽど有益ではないかと思うのです。

 外野になるのか内野になるのかわかりませんが、バッティングだけなら今すぐ一軍に上がっても代打の一番手になれる位の能力はありますので、そこからサードやファーストを守れるようになれば、レギュラーの座も決して遠くないと僕は思います。

 

 キャッチャーから野手に転向して成功する例は先述した石嶺さんの他にも鉄人衣笠さんや和田一浩さんやガッツ小笠原さんなど非常に多くいますし、決断は早いほうが良いと僕は思います。

 

 バッター嶺井として彼の打席を見ていると、どうしても彼の才能をこのまま埋もれさせておくのがもったいなくてたまらなくなるんですよね。

 

 

■黒羽根利規選手

 

 現在ベイスターズファームで嶺井選手の次にマスクを被っているのが黒羽根選手です。数年前に鶴岡一成選手が人的補償阪神に連れ去られた頃は、この黒羽根選手がベイスターズ1軍のレギュラーキャッチャーとなるものだと思い込んでいましたが、今では順位をジリジリ下げて4番手という扱いに甘んじています。

 

 厳しい言い方になりますが、彼ほどベイスターズでたくさんのチャンスをもらった選手はいませんので、非常に残念に感じております。

 彼はまだ高校を出てベイスターズに入ったばかりの頃から特級品のような丁重な扱いを受けていましたし、湘南シーレックスでも誰よりも優先して出場機会を与えられ続けてきました。先述した新沼さんがどんなに好調でも黒羽根選手ばかり起用されて、新沼さんもさぞ悔しかったのではないかと想像します。

 それだけに今の黒羽根選手の状況には残念という以上に色々と厳しい言葉を投げかけたい気持ちですが、それをぐっとこらえて、これからは辛くても耐えて耐えて、三番手キャッチャーの座を守り抜いてもらいたいと思います。

 

 元々の力はあると思うのです。ですが、ちょっともう遅いかなという風にも思います。ただしそれでも必要とされるのがキャッチャーというポジションのありがたい所なのだから、キャッチャーとして生きてきたことに感謝して、キャッチャーとしてチームに尽くしていって欲しいと願うばかりです。

 

 

■亀井塔生選手

 

 今シーズンは黒羽根選手に次ぐ出場機会を与えられているのが高卒2年目の亀井選手です。ベイスターズファンの中でも彼のことをご存知ない方がおられるかもしれませんが、それも仕方がないくらい高校時代は全く無名の存在で、たまたま対戦相手を見に来たベイスターズのスカウトが亀井選手の鉄砲肩に惚れ込んで育成選手として指名されたという経緯の人です。

 ルーキーだった昨年は歳相応のヤンチャな所が見え隠れしていましたし、身体つきもほっそりとしてプロとしてやっていくには心もとない感じもしましたが、いざ試合に出ると、これはスカウトの人が惚れるのも理解できるという超のつく強肩で、守備もソツがなく、もしかしたらとんでもない掘り出し物かもしれないと期待して見てきました。

 

 フィジカル面の才能もそうですが、彼は砂田選手や関根選手と同様に、若いのに肝っ玉が座っている、良い度胸の持ち主でもあります。

 昨年のベイスターズはキャッチャーの故障者が相次ぎ、おまけに一軍がキャッチャー3人体制を敷いていたのもあって、半月くらいに渡ってファームのキャッチャーが亀井選手1人しかいない非常事態に陥ったのでありますが、その時の亀井選手は全く動じる素振りもなく、全ての試合で落ち着き払って彼の能力以上のものを出してチームを引っ張ってくれたのです。この時には、本当になんという立派な子だろうと大いに感心したものでした。

 

 今年の亀井選手について一つ不満を挙げるとすれば、身体つきが相変わらず細いまま、あんまり成長していないという事です。梶谷選手が近年たびたび触れていますが、やはり細い体ではパワー不足なのです。長いシーズンを乗り切ることも出来ません。そのために、これからはガンガン食べてガンガン鍛えて欲しいと思います。

 今シーズン中の支配下登録はまず無いと思いますが、きちんとやるべきことをやってさえいれば来年の途中に支配下登録されて高城選手を脅かす存在くらいまでには浮上する可能性が大いにありますので、近未来のキャッチャーのレギュラー争いにおけるダークホース的存在として亀井選手の名前をぜひ皆さんにも覚えておいてもらいたいと思います。

 

 

■西森将司選手

 

 今シーズンはベイスターズファームのキャッチャー陣で4番手の位置につけているのが西森選手です。公式戦では13試合でマスクを被っていますが、どちらかと言えば打つ方で目立つことが多い今シーズンです。

 

 西森選手は育成選手としてプロ入りして早くも2年目には当時の中畑監督に見初められて支配下登録され、それから年に数試合程度は一軍でも使ってもらっていましたが、当時からキャッチャーとしてではなく、足の速さを買われていたフシがあります。ただしその頃の西森選手にはバッティングで力強さがなく、守備固め要員としても他のライバルの守備力に少し足りていない部分もあって、今ではもっぱら二軍暮らしが続いています。

 

 それが今年、ようやく課題のバッティングに目覚ましい成長を遂げて、それほど出場機会が多くないにも関わらず3割近いアベレージを残せるようになり、チャンスの場面で勝負強い一打を放てるようにもなりました。守備の方では本職のキャッチャーに加えて外野3ポジションとファーストを他の野手と肩を並べられるくらいのレベルで守れるようになり、ユーティリティプレイヤーとしての地歩を固めつつある、といった状況にあります。

 つまり、今すぐ1軍に呼ばれても充分期待に答えられる状態にあるという事です。

 

 現在ベイスターズの一軍ではキャッチャー2人体制が敷かれていて、なおかつ野手全般に守備固めを早めに出す傾向が顕著に出ていますが、そういう時に非常に便利な存在として考えられるのが西森選手だと僕は考えています。

 まずなによりキャッチャーですから緊急時に対応できますし、脚が速いので代走としても活躍できますし、外野手としての能力も高く、バッティングはスイッチヒッターですから汎用性があって、早めに守備固めとして出て打順が回ってきた時でも、相手が右投げでも左投げでも期待できる、またとないありがたい存在ではないでしょうか。

 筒香選手の守備固めなり代走なりで途中出場して、キャッチャーにもしもの事態があったら外野から駆けつけてマスクをかぶるという事が出来るのは西森選手以外には考えられない起用法です。

 

 強いチームというのは様々なバイプレーヤーがいて時々チームを救うものですが、ベイスターズが今後本格的に強いチームに生まれ変わっていくためには、西森選手のような選手こそが必要になってくると強く主張しておかなければなりません。

 

 

■網谷圭将選手

 

 網谷選手は今シーズンから育成選手としてプレーしている高卒ルーキーです。春の練習試合で手を骨折し、3月頭に手術を受けて現在はリハビリに取り組んでいます。もう実践的な練習に入って少し経っているそうですから、ファームの試合に出てくるのも遠くないのではと思います。

 

 こういった具合なので具体的なことは何も申し上げられませんが、練習試合のネット中継などを見た印象としては、キャッチャーとしてはともかく、スラッガーとして期待されている選手なのかもしれないな、と感じました。

 同期入団で和製大砲として期待される山本武白志選手とともに、ゆくゆくは侍ジャパンで4番を打つようなスケールの大きいバッターになってくれたら良いですね。

 

 

 

               ■

 

 キャッチャーは基本的に1試合に1人しか出てきませんし、首脳陣の基本的な考え方としてはなるべくなら同じ選手で固定するのが望ましいという事ですから、何人もいるうちのほとんどの選手が日の当たらない、日陰の存在になってしまいます。

 ですが、彼らが常に高いレベルで競い合っているようでなければ強いチームにはなれないわけでして、ですからファンとしても、目立たないからといって決して軽く扱ってはならず、一生懸命見守って、また声援を送ってあげなければなりません。

 

 なかなか辛い立場ですが、這い上がって欲しいと願うばかりです。

 

 

以上