読売にかわる新たな球界の盟主が必要だという話
先日のこのニュースを見て感じたことがあります。
巨人グリエル獲得失敗の原因は“補強費の上限”
http://www.tokyo-sports.co.jp/sports/baseball/345996/
これまで巨人といえば球界随一の金満球団として君臨し続けてきたわけですが、今年のオフの動きは、いつもとはやや趣が違うようです。ニュースソースが東スポですからその部分については眉に唾をたっぷりつける必要があるかもしれませんが、さはさりながら、巨人の親会社である読売グループの経営も以前ほど安泰と言えないのも事実としてあります。
日本の新聞業界にネットの嵐—止まらぬ部数減
http://www.nippon.com/ja/features/h00084/
改めて申し上げるまでもなく、新聞購読者が急激に数を減らしているのです。新聞の宅配契約を結んでいる人の高齢化が進んでいるためです。現在50歳代くらいの人達の約半数が購読契約をしているそうですが、それが40歳代となると急に30%台にまで落ち込み、さらに若い世代となると見るも無残という風なシェアに下がっていくのです。
特に読売新聞は直近の1年間で7%くらい、他紙と比べてもハイペースで購読者数を減らしてきており、何らかの対応策を取るとしても、経営環境が急激に悪化する事態は避けられない見通しと言えます。
読売グループのもう一つの屋台骨と言えるのが日本テレビを始めとしたテレビ局の経営ですが、こちらも視聴率の慢性的な低下傾向、および低調な国内経済の煽りを受けての広告単価の落ち込みなどなど、悪材料に事欠かないのが現状です。
読売グループは事業のポートフォリオが極端に内需に偏っているため、よほど大胆な事業転換をはからない限りは、このまま尻すぼみになっていくのが自明です。少子高齢化の影響をモロに受けるからです。
つまり、読売巨人軍がこのまま球界の盟主であり続けるのは、資金面の上においては非常に厳しいのではないかと言えるのです。
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読売が球界の盟主として君臨できた理由は資金力の他に政界との太いパイプがあったからですが、ではその政界との太いパイプという面で次期球界の盟主の座に近いと見られるのがオリックスではないでしょうか。
オリックスの宮内オーナーは政府の様々な諮問会議等に呼ばれるような、比較的政権中枢に近い立場にあります。読売のようなメディア企業では無いため社会に対する発信力の面ではまだまだ力不足ですが、事業が堅調であり、海外比率の向上に熱心な企業でもありますから、今後のプロ野球をリードする立場として最有力候補と言えましょう。
オリックスの宮内オーナーに請われてプロ野球参入を果たしたと言われる楽天も、まだ新興球団ではありますが、球界をリードするポジションに近い球団と言えます。12球団のオーナー陣ではトップクラスの発信力を持つ三木谷オーナーは国民の間で好き嫌いが非常にハッキリと別れるタイプかとは思いますが、現在の球界の盟主も似たようなものですから、それが問題になるとは思えません。
これまでプロ野球界で陽のあたる場所を歩み続けてきたセリーグ5球団(巨人除く)は、これまで巨人におんぶに抱っこで続けてきたのもあって球界をリードするような、進取の精神みたいなものに欠けるきらいがあります。万年中間管理職のような気風で、政界と上手に付き合っていくような器量も持ちあわせてはいないと思います。
プロ野球界は昔から政治との関り合いが深く、例えばプロ野球球団のオーナー企業が税制面で優遇されているのもそうですし、ロッテがプロ野球チームを経営するに至ったのも岸信介元総理(安倍晋三総理の祖父)の仲介によるものです。今の時代に政治とベッタリというのも清々しいスポーツと相容れない気もしますが、半分社会主義国みたいな所がある我が国にとっては、まだまだキッパリと割り切るわけにもいきません。
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僕はこの際、規制改革派のオリックス宮内オーナーにもっと前の方に出てきてもらって、プロ野球のエクスパンションや国際化に道筋をつけて貰えないかという仄かな期待をしております。
これまで日本プロ野球が巨人を中心に動いていたのは、元はといえばCIAのエージェントとしてアメリカ文化の普及啓蒙に取り組んでいた正力松太郎さんの働きがあったからであって、来年で終戦70年を迎える今になっても戦後レジームみたいなものに凝り固まる必要は無いと思います。
読売弱体化を一つの契機として、読売中心から、プロアスリートの団体にふさわしい、中立公正を旨とする正真正銘のプロ野球の組織としてNPBを高めていく必要があるようにも思います。
まぁとにかく、読売グループが左前であるという現状認識を深め、今後の全く新しいプロ野球界の盛り上げ方を論議していく必要があるように、僕は考えております。
以上