2020年8月16日 東北楽天vs横浜DeNA (横須賀) の感想
ベイスターズファームでは7月の下旬より、原則として主催試合を全て有観客試合として実施しています。
それで僕は有観客対応が始まったばかりの7月下旬に今季初の球場観戦をする事が出来、その約1ヶ月後の今日、2回目の観戦をする事が出来ました。
7月の試合観戦はその後の僕の予定が立て込んでいたのもあってブログでは書きませんでしたので、遅ればせながら、8月下旬のこの時期になってようやく今季初の試合観戦記を書けるようになった次第、となります。
ようやく正月を迎えたような、おめでたい気持ちでブログを書こうと思います。
今年のプロ野球はコロナの影響で、かつてのように自由に球場で観戦する事ができなくなったというのは皆様もよくご存知と思われますが、ことベイスターズファームの主催試合においては、球団スタッフの皆々様の大変なご努力のおかげで、多少の制限事項さえ守れば、比較的自由に観戦する事が出来ます。
その制限事項を具体的に挙げると
・チケット購入前に申込書を書く。申込書には住所氏名連絡先(電話・E-mail)と、更に、一塁側・バックネット裏・三塁側のどのエリアで観戦したいか希望を書く。
・入場時の検温、マスク着用
・アルコール類禁止。大声を出すこと禁止。
と、「制限事項」と仰々しく銘打つほど難しいものは無く、新型コロナ感染の疑い症状が無い事の一点さえクリアできれば、あとはどなたでもご覧になれるものと思います。
観客同士の座席の間隔を広げる必要上、入場できる人数には限りがあると思いますが、今の所そこまで混雑している様子も見られませんので、ぜひ皆様にもご来場頂きたいと僕は考えています。
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新しい生活様式ですよ、という事でベイスターズと楽天のコロナ対策ぶりについて感想を述べますが、楽天に関してはベンチ入りしている選手も首脳陣もほとんどマスクをせず、大声を出しまくっています。
辛うじてベースコーチとチームスタッフが楽天色のマスクをしている様子が見て取れます。
この姿勢については7月に見た時も今回も同じで、長谷川勇也選手のコロナ感染で公式戦が中止になったソフトバンクホークスの教訓を活かせていないのでは?と、疑問の声を上げておきたいと思います。
ベイスターズの方はベンチ入りの人数をごく少人数に絞り、試合に出ていない人は首脳陣も選手もマスク着用を徹底し、大声を出してチームを鼓舞するような気配すらありませんでした。
最近はセリーグの全球団(1軍)で首脳陣と控え選手のマスク着用が徹底されてきた感がありますが、ベイスターズについては開幕時からかなり厳密に対策を続けており、この方針はファームでも貫かれています。
この点については、贔屓の引き倒しと言われかねませんでしょうが、僕は非常に良い事をしていると評価したいと思います。
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ようやく本題に入ります。
ベイスターズは2年前に1軍で先発5連勝した事もある京山選手、楽天は日本を代表する名投手の岸選手という、あんまり2軍の試合で見るべきではない対戦となりました。
まずベイスターズ先発の京山選手ですが、3回途中3失点でKOとなりました。KOというか、勝手に自分から潰れていったというような終わり方でありました。
2年前の光り輝いていた頃の京山選手と比べると球速が5キロくらい速くなって最速149キロが出ていましたが、そのプラス5キロを無理してひねり出している感じがあり、コントロールが悪くなってフォアボールを連発するわ、速球を投げる時と変化球を投げる時で腕の振りが微妙に強弱が違うのがバッターにバレて簡単に見破られて狙い打たれるわで、京山選手の長所が何も無くなってしまったような、残念な気持ちになりました。
ダルビッシュさんみたいにゴツい身体つきになって軽く腕を振っても速いボールを投げられるようになるか、それとも以前のように140キロ前半の速球をうまく使うスタイルに戻すか、そういう根本的な所を考えるべきではないかと思います。
楽天の岸選手は5回を投げて2失点で勝ち負けはつきませんでした。
岸選手と言えばコントロールだと思いますが、今日はそのコントロールに相当苦労しているようでした。相変わらず140キロそこそこのボールを速く見せる技術は一級品でベイスターズの若いバッターもだいぶ苦労しているようで伊藤裕選手以外は全く相手にもならない感じでしたが、細かいコントロールを狙いに行こうとして苦しむ、という感じでした。
岸選手とタイプが似ていると僕が勝手に思っているのが三浦大輔現二軍監督でありまして、三浦さんもこれくらいの年齢の時にコントロールで相当苦労してファームの試合で火達磨になっている場面もしばしば見受けられました。
年齢的な体質の変化と、自身の感覚のズレの調整が必要な時期なのだろうと思います。岸選手ほどの大選手ですから、ちょっとやそっと調子が悪いくらいで軽々に判断せず、新しくなった岸選手の活躍を楽しみに待つべきなのではないでしょうか。
次に野手陣について。
なんといっても伊藤ユキヤ選手です。
ルーキーだった昨年に一軍でホームランを連発してみせたりして、実力が相当なものなのは改めて言うまでもありません。
今日もその実力をいかんなく発揮して、あの岸選手から3安打です。岸選手からチーム全体で5安打しか打っておらず、そのうち3本は伊藤選手です。
1本目2本目はいずれもギリギリまで引きつけ、はかったように1塁線の内側にライナー性の強い打球でヒットを打ちました。
その2本も見事でしたが、僕が特に立派だと思ったのが3本目です。さすがに2本打たれて岸選手のやる気スイッチがガッツリ入った3打席目は、100キロ台のスローカーブを伊藤選手にぶつけるかのように投げ、伊藤選手はそれをのけぞるように避けてボール。その次のボールも100キロ台のスローカーブで、今度はストライクゾーンに入ってきた所で、伊藤選手は前のボールでのけぞらされた事などまるで無関係とばかりにキレイにセンター前に返して、お見事3本目のヒットとなったというわけです。
この3打席目の伊藤選手をのけぞらせたスローカーブは、その次に投げたストライクゾーンのスローカーブの伏線だったんじゃないでしょうか。それで2球続けてスローカーブで、並の選手なら2球目でも前球の記憶が過ぎってつい避けてしまうような場面で、しかし伊藤選手は避けるどころか踏み込んでヒットにしたわけですから、それはもう本当にお見事という他ありません。伊藤選手は大投手岸選手との勝負に完勝したと言っても良いでしょう。
実は数年前にこれと似たような場面を、巨人の杉内選手(現巨人コーチ)と、当時まだ二軍で燻っていた頃の宮崎選手の対戦で見たことがあるのです。
その後テレビの解説で登場した杉内選手が宮崎選手について、具体的にその対戦時の件とは指摘しなかったものの、ファームの時から相当すごいと評価していたと語っているのを見まして、一流は一流を知るものだなぁと感じたのを、今日の横須賀スタジアムで、ふと思い出したのであります。
とまぁ、ここまでは伊藤ユキヤ選手のバッティングを最大限に褒めちぎってみせた僕ですが、ここから先は全く逆に、厳しく指摘しておきたい所を書いていきたいと思います。
試合前のアップの時から伊藤選手の様子を見ていましたが、とにかく怠けているとしか思えませんでした。
他の選手が黙々と体を動かしているのに、伊藤選手だけはダラダラと細川選手につきまとうように話しかけ続け、傍目には細川選手の足を引っ張っているようにしか見えませんでした。
彼が柔軟体操を軽んじているのは明らかだろうと思います。あれでは防げる怪我も防げないでしょうし、せっかくの才能も怪我で棒に振りかねません。
守備や走塁も緩慢です。ボールを取ってから投げるまでに無駄な動作で時間を要して、単なる内野ゴロを内野安打にしかねないシーンが多々見受けられます。
技術的には決して下手ではなく、セカンドを守ってもサードを守ってもグラブさばきは非常に軽快で器用にこなせる人だというのはよくわかるのですが、守備と走塁に向上心を持って取り組んでいるようには全く見えません。
スラッガータイプの選手に少なからず見受けられる傾向ですが、メンタル的に幼いというか、お山の大将的というか、どうも内面が目的に対してまっすぐ向かっていないように思われてなりません。
村田修一さんや多村仁志さんも若い頃は相当なヤンチャ者だったと見聞きしますが、伊藤ユキヤ選手もそういう系譜の選手なのかもしれません。
実力的には村田修一さんの足をもう少し速くしたバージョンのような非常に高い実力の持ち主に違いないと思いますので、彼の鼻っ柱をパチーンと叩いて、その実力を正しい方向へ発揮させるような、そういう熱血指導者との出会いが待ち望まれてなりません。
楽天の野手では高卒ルーキーの黒川選手がすごいなぁと目を奪われました。
高卒1年目の選手というのは他の先輩選手と比べて体格面で相当に劣っていて「ヒョロヒョロの痩せっぽっち」に見えてしまうのが当然なくらいなのですが、黒川選手の体格は既に他の先輩野手と並んで全く引けを取りません。
高卒1年目から体格で威圧感を感じたのは近年ではヤクルトの村上宗隆選手や日本ハムの清宮選手などの超一級品ばかりですから、黒川選手もそのクラスに成長してもおかしくありません。
守備の方でもセカンドを守って身のこなしは非常に軽快でセンター前へ抜けようかという打球を逆シングルで取って無理なく1塁に送球できる技術、そして体幹と肩の強さを見せつけてくれました。
バッターボックスの右と左の違いはありますが、浅村栄斗選手のような長打力のある大型セカンドとして、遠くない将来一軍で活躍するのは間違いないと思います。
リリーフについて。
ベイスターズでは2番手で登板した飯塚選手について触れたいと思います。
飯塚選手といえば故郷新潟で毎年1試合だけ行われる主催試合で先発を目指す云々というニュースが毎年流れるくらい、1軍で先発ローテを張る事が期待された存在でしたが、今ではファームでも先発ローテに入れず、中途半端にリリーフをしているような状況ではないでしょうか。
今日はKOされた京山選手の後を受けた3回のマウンドこそ無事に無失点で抑えたものの、その次の回あたりから楽天打線のタイミングが合い始めて、無失点で切り抜けてはいるものの、2安打に2四死球で48球と、不満の残る内容で終わりました。
飯塚選手も京山選手と同様に最速149キロ出るようになって、1軍で投げていた頃と比べて5キロほど球速を増してはいるのですが、そのぶん以前よりコントロールの精度が落ちている感じもあって、ブラッシュ選手には初球すっぽ抜けでデッドボールを当ててしまったり、岡島選手に力んで投じた143キロの高めのボールを打たれたりと、持ち味を失っているように思われました。
飯塚選手は入団時と比べて見た感じの体格面の成長がうかがえませんでして、それで球速アップを求めたら色々と無理が生じるのも自明だと思われてなりません。
このままでは正真正銘の崖っぷちであります。奮起を期待しましょう。
楽天では巨人から移籍の池田駿選手について。
さすがにファームで日本人の左ピッチャーが150キロ近いボールを投げることはそうそうありませんので、彼の150キロに迫る速球で球場の雰囲気が一瞬緊迫したのを感じました。トレードされたばかりで注目される存在なのを割り引いてみても、やはり別格の存在感を感じます。
楽天に移って一度一軍でプレーして今は再びファームの立場のようですが、移籍直後で不慣れな状況で力を発揮出来なかっただけで、もう少し慣れてくれば、この速球とコントロールと度胸の良さで勝ちパターンのリリーフを任されても不思議ではないくらいの実力を感じました。今後に期待しましょう。
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球場でプロ野球を観戦できるのは、1軍でも2軍でも、この上ない幸せに違い有りません。
ベイスターズの優勝を願う気持ちに変わり有りませんが、今年に限って言えば、優勝よりも何よりも、プロ野球が日本シリーズの最後まで無事に完走出来る事のほうがより大事な目標なのでありまして、プロ野球全球団におかれましては、くれぐれもシーズン中断の事態を招かぬよう、感染防止により一層の注意を払っていただきたいと、改めて申し上げる次第であります。
以上