ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

廣岡大志と山本武白志

 

 この前の週末も横須賀スタジアムで行われた対ヤクルト2試合を見てきたのですが、どちらの日も仕事と野球観戦を両立させなければならないタイトなスケジュールだったので観戦記を書くことが出来ませんでした。

 で、当初は何も書かずにスルーするつもりでいたのですが、ヤクルトとベイスターズの高卒ルーキー1人づつ、どうしても触れない訳にはいかない強烈なインパクトみたいなものを感じまして、こうして日を改めて筆を執るに至った次第です。

 

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 さて、好きな四文字熟語を1つ挙げろと言われたら真っ先に頭に思い浮かぶのが「和製大砲」というくらい、僕は和製大砲に目がありません。

 ですから、何かにつけて補強補強と叫ぶファンの人達に内心僕は、「外国人を取ってくるくらいなら白根選手を使うべきだ!」とか「渡邊雄貴はやれば出来る子!」などと、メラメラとしたものを燃えたぎらせております。

 

 そんな僕がこの週末の横須賀スタジアムで行われたヤクルトとベイスターズの試合で、両チームのスタメンに名を連ねた高卒ルーキーのヤクルト廣岡大志選手、そしてベイスターズ山本武白志選手の両名に心を奪われない筈がありませんでした。

 

 

 廣岡大志選手は背番号36番で、主にショートを守っています。高卒入団でショートを守る背番号36番といえば、言わずもがなの池山隆寛さんが思い浮かばれるわけですが、僕はこの廣岡大志選手に、池山隆寛さんに肩を並べるどころか上回るかもしれないと、並々ならぬものを感じました。

 

 バッティングは豪快そのものです。結果を焦るあまり当てに行くようなバッティングをしてしまいがちな高卒1年目でありながら、ここぞという場面では躊躇なくフルスイングを決め込みます。今月4日に大和スタジアムで行われた試合では三浦大輔選手からホームランを打った場面を目の当たりにしましたが、これこそ廣岡選手の真骨頂ともいうべき、気持ちの良いフルスイングでした。

 ただ、フルスイングだけが取り柄というわけではなく、TPOに応じた粘りのバッティングも相当なレベルで対応してきます。緩い変化球で完全にタイミングを外されても身体がしっかり残っていて、おっつけてヒットにする器用なバッティングをこの週末に2度も見せつけられました。バットに当てる技術も既に相当高いのだと思いますし、理屈よりも感覚で追いついてしまう抜群の野球センスを感じさせられます。

 

 池山隆寛さんは広い守備範囲と強肩が持ち味の選手でしたが、廣岡選手の強肩は日本人離れにも程があります。三遊間にそれほど強くないゴロが抜けようかという場面で逆シングルで捕球して、そこからダイナミックに1塁に矢のような送球でアウトに仕留める場面も見られました。あまりにも強すぎた送球が高く浮いて、ファーストとしてはあまり背が高くない森岡選手が飛び上がるように捕球して足をベースから離してしまって送球エラーになった場面もありまして、まだ粗さが目につくのは高卒ルーキーなのでご愛嬌ですけれども、しかしそれにしても攻守に大変レベルの高い超大物が現れたものです。

 

 今や押しも押されもせぬスーパースターに成長した山田哲人選手も高卒1年目は1軍の公式戦で出場機会が無く、怪我人が相次いだチーム事情もあってクライマックスシリーズで大抜擢されたものの、その時は結果を残せませんでした。

 あの当時の山田哲人選手も、今年の廣岡選手ほど目立つ存在ではありませんでした。ファームでも打率.259で5本塁打ですから、高卒1年目としてはまずまず上出来かな?という程度です。

 それが今年の廣岡選手は打率こそ.215と冴えないものの、本塁打は既に3本マークしており、シーズン終了時には山田哲人選手の1年目を上回る可能性が大変大きいと言えるでしょう。

 

 高卒1年目の成長著しい時期なだけにこれからグングン伸びていくでしょうし、パワーもついてくるでしょう。それに持って生まれたセンスと技術とが積み重なっていけば、山田選手に勝るとも劣らない存在に飛躍するのではないかと、他チームのファンでありながら、大変期待しております。

 

 どうかヤクルトファンの皆々様、たまにはファームの試合にも足を運んで、スケールの大きな廣岡大志選手を見に行ってあげて欲しいと思います。

 

 

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 育成ルーキーの山本武白志選手について、昨秋のドラフト会議の時に見せた幼い様子から僕は、精神的におこちゃまっぽい人なのかな?という不安を覚えたのを今でも記憶しています。

 親元を離れて厳しいプロの世界で生き抜いていくだけの精神力がないのでは?と心配したのです。

 

 ですが、その心配は完全に杞憂に終わりました。単なる僕の思い過ごしだったようで、彼は今、いっぱしのプロ野球選手として誰よりもアグレッシブに練習に取り組んでいるに違いないと、この週末の彼の守備を見て確信いたしました。

 

 高卒1年目の選手というのは誰もが短期間に著しい成長を見せてくれるものですけれども、山本選手の守備は、この短期間でここまで上手くなれるものなのかと目を丸くするくらい、本当に目覚ましい成長を遂げました。

 まず、あの大柄な身体に似合わず、打球への反応が非常にシャープなのです。だからサードを守っていて、少々三塁線から離れた所にポジションをとっていても、三塁線を襲う強いゴロに追いつけるのです。

 そしてただ追いつけるだけでなく、やわらかなグラブさばきで華麗に捕球するやいなや、今度は一塁へ矢のような送球を放つのです。あれだけ立派な身体つきをしているだけあって肩が非常に強く、そしてコントロールが実に良いのです。

 

 守備力というのはその選手の人となりが現れるんじゃないかと僕は思っています。コツコツと地道に、そして正しい練習を積み重ねれば、誰もがある程度までは成長するものなのです。いま巨人にいる村田選手もルーキーの頃は随分荒っぽかったのが、今では守備の名手と呼ばれるようになりました。練習すればこうなるんだという良いお手本だと思います。

 だから僕は、山本選手の目覚ましい守備力の進歩には、きっとその裏側に彼の並々ならぬ血と汗と涙の結晶があるに違いないと、そう確信したのです。

 

 守備だけではありません。バッティングも進歩しています。

 

 山本選手は元々打つ方では相当な注目株で、だからこそドラフト会議の時にTBSの密着取材を受けたのだと思いますが、やはり一番のアピールポイントなだけあって持っているものが素晴らしく、更に最近では投球をギリギリまで呼び込んで、そして右方向へ強い打球を打つ、そういう事に力点をおいているのではと思います。それがまた非常によく結果に出ていて、往年の清原和博の右中間への打球を髣髴とさせる、たいへん見事なバッティングをしています。

 

 山本選手はチームの意向もあって教育リーグの頃から最近まで試合でスタメン起用される機会がそれほど多くありませんでした。それが最近高田GMや首脳陣からゴーサインでも出たのか、かなりの頻度でスタメン起用されるようになりました。

 ですから打席に立った実績はそれほど多くは無かったのですが、春から常にスタメン起用され続けてきた同じ高卒ルーキーの青柳選手と比べて、バッティングの面においては既に追い越してしまったと言っても過言ではないかもしれません。

 

 山本選手は最近お父様を亡くされたばかりで多少判官贔屓的な感情が入り混じってしまう部分もあるかもしれませんが、それはそれとしても、将来がとても楽しみな存在で、ベイスターズは彼を獲得して本当に良かったと思います。

 今年中の支配下登録は難しいでしょうが、彼が気を緩ませずにしっかり努力を続ければ、来年中の支配下登録&一軍デビューくらいは充分期待できるでしょうし、そこから数年もしないうちにクリーンナップを打つような存在に、きっとなれると僕は思います。

 

 球場に行くのはいつも楽しみですけど、山本武白志選手みたいな存在がいると、また一段と球場に行くのが楽しくなります。

 

 いつの日かお父様を超えるスーパースターに、ぜひともなっていただきたいものです。

 

 

 

以上