ワシが育てた2017
まだ1軍で活躍していない無名の選手に誰よりも早く注目し、やがてその選手が1軍でブレークをしますと、なんだか誇らしい気持ちになれます。自分はただ見ているだけなのに、まるで自分が育てたかのような、そして自分には著しく先見の明があるかのような、そういう気持ちになれます。
僕がこのブログを続ける理由も、だいたいそんなようなものです。
人によってはそれをレプリカユニフォームで表現します。まだ1軍で活躍したことがなく、普通のファンの人には名前も覚えてもらえないような選手のレプリカユニフォームを着て球場に行き、やがてその選手が1軍で活躍をすると、そのレプリカユニフォームをいつも以上に誇示し、ドヤ顔をキメたくなる、そういう人もいるのではないでしょうか。
そういった理由から、今シーズンはオープン戦の頃から網谷選手や細川選手のレプリカユニフォームを着るベイスターズファンも、きっと少なくないだろうと僕は見ています。
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自分の経験を言えば、いくら自分が誰よりも早く注目し、会う人会う人に「こいつはすげえよ!」と言い続けた選手が後々活躍しようとも、周りの人達の殆どは、そんな事は覚えてなどおりません。思い出して欲しくてわざわざ口に出しても、せいぜいその場しのぎの相槌を打ってくれる位の成果しかありません。
僕は以前からこのブログで宮﨑敏郎選手の凄さをPRし続けてきました。しかし、2015年の後半になってようやく1軍定着するより前は「宮崎は守備が下手だから」「そこまで打てないし」と否定的な意見の方が多かったように記憶しています。
ですから宮崎選手が去年それなりに数字を残すようになって僕は誇らしく思っているのですが、あの頃散々否定的な意見を放っていた人達の殆どはそんな事は覚えておらず、そしてだいたい180度違う意見を述べられております。
したがいまして、いくら誰よりも早く注目しようが、PRしようが、そんなものは自己満足に過ぎません。全く何一つ見返りの得られない、実にむなしい作業であります。
しかし、何一つ見返りの得られないむなしい作業だと重々わかっているけれども、僕はまた性懲りもなく、この作業を繰り返そうとしているのです。
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長い長い前フリになりましたが、誰よりも早く注目して「ワシが育てた」感を醸成したい皆々様のために、2017年、誰よりも早く注目したい楽しみな選手の候補を、ベイスターズに限らず、ここから取り上げたいと思います。
まず最初は今シーズンからベイスターズでプレーする事になったシリアコ選手です。
実はベイスターズは昨年からシリアコ選手をマークしていたという情報がBCリーグの有識者の方から寄せられまして、僕も昨年から密かにマークしておりました。
実際に見に行ったのは9月に前橋で行われた群馬ダイヤモンドペガサスと石川ミリオンスターズのプレーオフの1試合だけですし、その日のシリアコ選手はアメリカから日本に戻ってきたばかりでぶっつけ本番だったらしく調子が思わしくなかったのでありますが、それでも動きはシャープで雑な所もありませんでしたので、なかなか良い選手だと感じたのを思い出します。
近年の日本で活躍する外国人野手に共通して言えるのは、日本の生活、日本の野球をリスペクトし、そして心から楽しめる事だと考えます。
昨年ベイスターズに所属したロマック選手は間違いなく日本野球をリスペクトして愚直なまでに練習に打ち込んでおりましたが、しかし彼は残念ながら日本野球を楽しんでいるとは言えず、ひたすら生真面目にトンネルの中をさまよい続けてしまったという感じがしております。
その点シリアコ選手は去年1年間石川ミリオンスターズでプレーして必要条件をクリアしてきたと言えると思いますし、元々のポテンシャルも相当なものがありますから、だから活躍できるだろうと、僕は太鼓判を押したいのであります。
年俸1000万で背番号98番というのが彼の元々の期待値を表していると思いますけれども、僕は、この期待値をものすごい角度で覆してくれるだろうと、大いに期待しておりますよ。
今年から日本ハムでプレーすることになった大田選手ですが、僕はこれが彼の人生を素晴らしいものに変える、大変な分岐点になったと思います。
というのも、これまで所属してきた巨人は大田選手の本来の個性を全く顧みない、個性を潰す野球を押し付けてきたからです。
やれ進塁打を考えろだの、やれ送りバントも重要だのと、彼の日本有数の身体能力を押し殺すような野球をやらせてきたから彼は伸びなかったのであって、しかし日本ハムなら、個々の選手の適正をしっかりと見極めて使ってくれるだろうという期待があります。
今シーズンの日本ハムは大田選手に打率など求めず、とにかくガンガン引っ張れ、ガンガンマン振りせよと、とにかくその長打力を活かすような起用法をするべきだと思いますし、これまでの練習試合などの様子を見る限り、実際にそれに近い方針で既に結果を出しつつ有るように見受けられます。
守備に関しては、あの足と肩は糸井嘉男選手を上回ると言っても大袈裟ではありませんから、まずは陽岱鋼選手の抜けた穴を埋める守備要員くらいの心持ちでいてもらいたいです。
今シーズンは40本塁打40盗塁(打率は.220くらい)を目指して頑張っていただきたいと思います。
■三ツ間卓也投手(中日)
一昨年の育成ドラフトで中日に入団し、今シーズンから支配下登録でプレーすることになった三ツ間選手が、僕は相当活躍するだろうと見ています。
彼は元々無名大学からBCリーグの武蔵ヒートベアーズに入団したという、まさに雑草魂的な経歴の人で、中日に入団してからしばらくはリリーフをやっていました。
ヒートベアーズの選手時代に球場で実際に見たのですが、その時もリリーフで右の横手投げで、まさにリリーフをやるために生まれてきたみたいな強いボールと気合の入った人だったのですが、昨シーズンの途中から先発に転向したようです。
昨シーズンの早いうちから支配下登録の話もちょこちょこ出ていましたが、先発に転向すると言うので支配下登録が先延ばしになったのだろうと思われます。先発転向してすぐのウエスタンの試合をテレビで見ましたが、思いの外慣れるのが早く、ゆうゆうと9回完投するくらいのピッチングをしておりまして、適応能力の高さも相当なものが有ると舌を巻きました。
ピッチャーに最も重要な能力は精神力だと思いますが、どこで投げてもしっかり結果を残す三ツ間選手はそのあたりがしっかりしていますし、それ以外にもさしあたって不安に思える点が見当たりません。心配なのは1シーズンを投げきるスタミナが有るかどうかという所ですが、今年から森繁和さんが監督ですので、そのあたりの運用も巧みにやってくれるのではという期待もあります。
彼は本当はリリーフのほうが向いていると僕は思いますが、それはそれで、どちらにせよ非常に良い働きをしてくれるのは間違いないと思います。
■廣岡大志内野手(ヤクルト)
去年の6月に「廣岡大志と山本武白志」というエントリーの中で廣岡選手を大絶賛しましたらば、その半年近く後になって1軍デビューの初打席、それもよりによって三浦大輔さんの引退試合でホームランを打つという離れ業を成し遂げて下さいました。
どこか違うチームの試合でデビューしてくれれば良かったのに、と何度思ったでしょうか。
廣岡選手はバッティングフォームの形から山田哲人二世の呼び声が高いですが、僕の見立てはそうではなく、かつてヤクルトでプレーされた池山隆寛さんのようだと思っているのですが、なんとヤクルトの杉村繁コーチも同じような事を仰っておられまして、これは1つドヤ顔をキメたい所であります。
今シーズンは1軍でお勉強を積み重ねたい所ですが、問題は守備位置です。本職はショートですが、まだちょっと粗い所がありますから、真中監督が堪えきれるかどうでしょうか。サードやファーストあたりなら無難にこなせそうですが、サードには川端選手、ファーストには畠山選手がおりますので、お勉強期間の選手をそこに当てはめるのはちょっと現実的ではありません。
もしも開幕から我慢して使って貰えるようなら、最初の1ヶ月はそこそこ結果を残し、その後数ヶ月は他球団のマークが厳しくなって数字を落とし、夏場くらいから盛り返して最終的には高卒2年目としては上出来くらいの数字にまとめてきそうな、そういう可能性が彼にはあります。
もう既に1軍で少し結果を残していますから注目度は高めでしょうが、ぜひご注目下さい。
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今年もまた自己満足を高ぶらせる季節がやってまいりました。
高いプロ意識を持ち、開幕に向けて徐々にペースを上げていきたいと思います。
以上