2019年9月29日 埼玉西武vs横浜DeNA (横須賀) の感想
ファーム最終戦であります。
例年だと1軍の最終戦よりも少し前にこちらが最終戦を迎えて、そしてその後1軍が消化試合であれば若手有望株が1軍お試し昇格で晴れて一軍デビューを飾るという流れがあったのですが、今年はその流れが逆になりました。
そして、1軍の公式戦が全部終わり、「現地で盛り上がりたい勢」な皆さん方がその矛先をファームに向けてくるであろう事が予測できておりましたので、僕もなる早で午前10時過ぎには球場のある追浜公園界隈に到着して、ぬかりなく入場致しました。
また、横須賀スタジアムに隣接する、ベイファン界隈で「追浜第二」との呼び名が定着しつつある新しいサブグラウンドにおいて、故障離脱中の筒香嘉智選手がフリーバッティングに興じる姿も見られました。
なんでもない住宅街の道路から見える場所で侍ジャパンの4番打者が練習している姿を見られるというのは、なんとも異空間めいているなぁと思いました。
これからプロ野球の試合が少なくなってくると、飢えを感じた熱心なベイファンの方々がこの場所に張り付くようになるんだろうなと、近い将来を想像してみたりもしました。
今季最終戦の先発ピッチャーは、ベイスターズがバリオス選手、西武は育成で大卒ルーキーの東野選手という組み合わせです。
試合内容について触れる前に一つ私見を述べたいのですが、どうしてソフトバンク時代にリリーフで好成績を残したバリオス選手を先発で使うことに拘るのか、僕には理解できません。
バリオス選手はベイスターズに入る前のBCリーグでプレーしていた時も先発をやっていたとは言えそれほど長いイニングを投げ抜いた実績が無かったですから、無理せずにリリーフで良いのでは?と考えるのです。
チームはなぜかCSで上茶谷選手のリリーフ起用を検討しているらしいのですが、パットン選手が離脱して外国人枠にも余裕があって、なおかつリリーフが手薄な現状を鑑みれば、ルーキーに不慣れなポジションを任せるよりもバリオス選手のリリーフ起用の方がより現実的ではないかなと、僕は考えます。
それはさておきバリオス選手の今日のピッチングについてですが、3イニング投げて被安打2の1失点です。この1失点はヒットで出た西川選手の足にしてやられたもので、そこまで致命的なものではありません。
球速は140キロを少し超える程度で、外国人ピッチャーが投げるボールとしては少々物足らない感じもしますが、速かろうと遅かろうと抑えてくれればそれで充分です。
彼の持ち味である緩い変化球もコーナーにうまく決まっていましたし、むしろストレートとの球速差がそこまで大きくないほうがバッターに判断させるスキを奪って良いのかもしれないとさえ思えました。
恐らくCSのどこかで先発するのだろうと思いますが、それなりの結果を期待しても良いのではないでしょうか。
西武先発の東野選手は5回を投げて被安打13の9失点で負け投手となりました。
球速は140キロ前後でバッターにじっくりと見られているように思えましたし、高めに浮いたボールを強く振り抜かれる場面も目立ちました。初回先頭の関根選手に3球目を先頭打者ホームランされたのですが、この関根選手のスタンスがそのまま後に続くバッターに受け継がれたという印象を持ちました。
左投げで140キロ前後の球速のそこまでコントロールの悪くない大卒、社会人卒ピッチャーというのは数年前まではどこのチームも好んで獲得していたと思いますが、そうやって獲得されたピッチャーがあまり芳しい成果を残せていない印象です。
そのあたりの教訓を西武ライオンズはどのように活かし、東野選手の将来に結びつけていくでしょうか。
次に野手について。
今日のベイスターズ打線はマルチヒットをマークした選手が4人もいて数字的には見栄えがするのですが、右バッターは皆レフト方向に引っ張るバッティングが目立ち、相手に助けられて出した数字、という風に読み取ることも出来るだろうと思います。
そんな中で3安打をレフトセンターライトへ1本づつ広角に放った関根選手は頭一つ抜きん出た存在で前日の試合に引き続き評価できる内容だと思いました。
代打で途中出場の山下幸輝選手がライトへ打った瞬間にそれとわかる素晴らしいホームランを放ちました。ランナーを2人置いて迎えた打席でしたが、甘いボールを見逃すこと無く、ミスショットする事無く、絶好のタイミングで会心の一撃でした。打った山下選手もさぞ会心だったのか、打った瞬間に思わずガッツポーズが飛び出したほどでした。
山下選手は一時期は一軍の代打の切り札的存在として活躍し、それによって一軍で充分通用する打力の持ち主だと証明できたと思います。
その後は守備のミスなどもあって苦しんだ時期も長いですが、それにしてもチームにおける彼の評価が過小なのではないか、もっと1軍で起用される機会があっても良かったのではないかと、僕は思います。
彼がもし1軍の試合に使われる事があるとすればセカンドかショートあたりになると思いますが、セカンドショートで起用されている選手の中で言えば、ソト選手は別格でしょうけれども、彼を除けば山下選手にも充分に浮上の目があると思うのです。
チーム内における立場的には非常に苦しい状況に追い込まれておりますが、なんとかもうひと踏ん張りして、1軍の選手になって欲しいと思います。
西武打線は4点取ったものの、いまいち迫力に欠けると感じました。
一軍があまりに豪勢なので比較するのは気の毒ですが、重量感のある駒月選手や川越選手の姿が見えないのが残念でした。
その中では愛斗選手が一番西武らしいがっしりとしたいかにもパワーのありそうな佇まいで一時期はファームの4番を座ることも多かったと思いますが、今日は1安打したものの、そこまで目立てていなかったと思います。
今年は1軍の出場数を一気に増やしていますので首脳陣の期待も大きいと思いますが、小さくまとまらずに強く振れる選手であり続けて欲しいと思います。
次にリリーフについて。
今シーズンから育成選手としてプレーしている左腕のコルデロ選手が昨日今日と連投しました。
ランナーが居ない状況でもセットポジションからコンパクトなフォームで、球速は140キロ代後半がMAXのようです。コンパクトなフォームのおかげなのか、スタンドで見ていた限りにおいてはスピードガンよりもいくらか速く見えますね。
あいにく昨日今日ともコントロールに苦しむ状況が続いて、今日はピンチを招いてイニング途中に赤間選手にバトンを渡す格好となりました。
年齢は21歳と若く伸びしろも充分あると思いますので、もう少し細かい所を磨いて、来年のシーズン途中でリリーフ陣に疲れが見え始めたくらいに、それこそカープのフランスア選手のように支配下登録されて彗星のようにデビュー!みたいなシナリオが描けたら素晴らしいと思います。
西武のリリーフは6階からイニングづつ登板です。特に球が速いとか眼を見張る変化球があるといった感動は無く、フォアボールを出さないオーソドックスなピッチングが展開されました。
キャッチャーの中田祥多選手はこういったこれからの若手と積極的にバッテリーを組まれる事が多いような気がしますね。一生懸命コミュニケーションを取ろうとする様子が印象的です。
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今日出場した選手の中には、もしかしたらもうベイスターズのユニフォーム姿を見られなくなる人も含まれるかもしれないなと、それぞれの選手のこれまでを思い出しながら、いつもよりもやや感傷的な、没入感のある野球観戦を致しました。
チームはこれから初めて本拠地開催としてのクライマックスシリーズを戦い、その後はきっと日本シリーズに舞台を移していく事になると思います。
プロ野球なのだから1軍に視線が集中するのが当たり前なのですけど、しかしその一方で、もう一つのプロ野球もあるんだという事を噛み締めながら、これからの1週間を過ごしたいと思います。
勝:田村
敗:東野
本塁打:関根(僕の推定飛距離110メートル)、山下(僕の推定飛距離120メートル)
観客数:3480名
以上