BCリーグのプレーオフ 石川ミリオンスターズvs群馬ダイヤモンドペガサスを見に行ってきました (2016年9月24日)
9月24日は西武第二球場のイースタンの試合か、BCリーグのプレーオフのどちらかを見に行きたいなとあらかじめ考えていたのですが、プレーオフの予告先発ピッチャーを見て、BCリーグのプレーオフを見に群馬県に行くことを決めました。
群馬ダイヤモンドペガサスの予告先発ピッチャーが元ベイスターズの伊藤拓郎選手だったからです。
BCリーグの試合を見るのはこれが通算で5試合目で、去年2試合、今年は3試合目です。なにも元ベイスターズの選手ばかりをい追いかけているわけではなく、昨年から新たに創設された埼玉県の武蔵ヒートベアーズの主催試合も2試合見てきました。
どの試合も集客的には厳しい模様ですが、わざわざ遠くから時間をかけて訪れるだけの価値はあると、過去4試合を見て、実感してきました。それでまた見に行こうと思い立った次第です。
僕はまだBCリーグとは何かを解説するほどの見識を持ち合わせていないのですけれども、まだ見に行ったことがない人にも興味を持って頂くキッカケにでもなれば良いとの気持ちを大前提として書き進めていきたいと思います。
試合開始直前の上毛新聞敷島球場の様子です。たまにNPB1軍の試合が行われるくらいの規模を持つ球場です。観客が行き来するエリアは席も通路もトイレもとてもキレイです。
スタメン表の画像がないので取り急ぎエクセルで作ってみました。
ホームの群馬ダイヤモンドペガサスは4番が元オリックスのカラバイヨ選手、キャッチャーは元ソフトバンクの八木選手、ピッチャーが元ベイスターズの伊藤選手とNPB経験者を3名擁しています。
対する石川ミリオンスターズのスタメンにNPB経験者はおりません。今日9月25日の先発を予定しているのが元阪神の西村選手ですね。シリアコ選手についてはベイスターズがマークしているという話もあったくらいの、BCリーグを代表するスラッガーです。
まず群馬ダイヤモンドペガサスの先発ピッチャー伊藤選手ですが、ベイスターズにいた2年前と比べると身体が一回り大きくなりました。最近はダルビッシュ選手や大谷翔平選手のように身体を大きくするのがトレンドになりつつありますが、伊藤選手もそんな感じかもしれません。
イニングを終えてマウンドからベンチに戻る際の悠然とした歩き方にも風格が出てきました。まだ22歳なのに、もう大エースのような雰囲気を醸し出しています。ピッチャーの特性を考えれば、これくらい堂々と偉そうに構えているくらいのほうが頼もしく、良いことだと僕は思います。
肝心の投球内容ですが、7回を投げて無失点で勝ち投手となりました。被安打も6とか7くらいだったように思います。
球速はだいたい138キロとか137キロくらいで、試合中盤に2度ほど140キロを掲示するのを見ましたが、それほど速くはありませんでした。ベイスターズで一番登板機会の多かったルーキーの頃も球速はこれくらいでしたので、特に変わらないように感じます。
ちょっと厳しい言い方になりますが、対戦した石川ミリオンスターズの選手にはややパワー不足の小兵選手が非常に多く、相手に恵まれた感は拭えません。小兵選手に引っ張って強い打球を打たれるような場面もありましたし、試合後のインタビューで本人があまり調子は良くなかったと言っていましたので、今日は悪いなりに投げた結果という事なのかもしれません。
試合後のインタビューの写真はこちらです。
石川ミリオンスターズの先発ピッチャーは左投げのレオ選手です。球速は伊藤選手と同じく130キロ台が中心で、打たせて取るピッチングをする選手のようです。
しかしながら、非常に気の毒なことにバックの守備の乱れが何度となく繰り返され、被安打はそこまで多くはないものの、どんどん失点を重ね、5回で5失点になってしまいます。記録がつくエラーだけでも3つ、さらにショートへの強いゴロが強襲の2ベースとなる不運もありました。普通ならレフト前ヒットの打球が野手の追い方がまずく、左中間を抜ける3ベースになる場面もありました。
強い打球もかなり打たれているのでバックのせいにばかりも出来ませんが、プレーオフの大事な試合で気の毒なマウンドになってしまいました。
バッターにも触れたいと思います。
先に結論を書いておくと、この試合は群馬ダイヤモンドペガサスが14-0で大勝しましたので、したがってバッターについてもペガサスの選手について書くことのほうが多くなります。
ペガサスのバッターで目を引いたのは高卒ルーキーの速水選手でした。地元の桐生第一高校を卒業して入団した身長188センチ体重94キロの大型内野手だそうですが、ただ身体が大きいだけでなく、バッティングがすこぶる器用で、第三打席で詰まりながらも押し込むようにしてライト線へ3ベースを打てば、三塁ランナーを置いて迎えた第四打席はセンターへ犠牲フライ、第五打席はボールに逆らわずにセンター前へ強いゴロで抜けるシングルヒットを放ちました。
高卒ルーキーの大型野手というと背丈は大きいけど横は細いという人も少なくありませんが、速水選手は縦にも横にもちょうど良いくらいのバランスの良い体格をしており、打席においての瞬間瞬間の判断力も抜群のものがあると感じました。
DHだったので守備を見ることは出来ませんでしたが、ペガサスファンの非常にお詳しい方いわく非常に賢く守れるポジションも多いのだと聞きますので、行く末が楽しみでならない逸材ではないでしょうか。
こんな選手がよくNPBのドラフトに引っかからなかったものだと思います。
今季のBCリーグでホームランと打点の二冠王に輝いた主砲のカラバイヨ選手も注目してみました。
試合の前半は集中力も高く、自身が次の打者としてネクストサークルにいる時にバッテリーエラーで三塁ランナーがホームを狙うかどうかという瞬間にはネクストサークルからとても大きなリアクションでランナーに指示を送りました。そういう状況で指示をだすのは打席に立つバッターの役割なのでネクストサークルにいるカラバイヨ選手は黙ってみているだけでも良かったのですが、黙ってみていられないくらいチームと一体となって戦っている姿勢が伝わってきました。
ただし点差が開き始めた試合中盤以降は目に見えて集中力を切らし始め、守備ではなんでもないフライとゴロを立て続けにエラーし、打席でもあっさりと空振りする場面が目立ちました。このへんが南米人らしいなと改めて感じました。
オリックスでは一度目の入団と二度目の入団の時期があって二度目の時は1軍で大爆発した事もあったと記憶しています。年齢的にも来月で33歳ですから老け込むような時期でもありませんので、また今オフあたりに獲得を検討するNPB球団もあるかもわかりませんね。
石川ミリオンスターズのバッターでは、シリアコ選手を一度この目で見てみたいとかねてより大変強い関心を持っていまして、それがついに叶いました。
残念ながら昨日の試合はレフト線へ1安打を放ったのみであとは凡退してしまいました。DHだったので守備を見ることも出来ませんでした。
ただし、非常にガッシリとした身体つきでバッティングフォームにも変な癖は見られず、適応力の高さみたいなものを感じました。唯一のヒットも少しタイミングを外されて早めに動きすぎてしまった所から下半身で踏ん張ってバットの先で拾ったという感じでしたし、日本野球に合いそうな気がします。
守備力がどうなのかわかりませんでしたが、こちらもカラバイヨ選手と同様にマークするNPB球団があっても不思議ではないと思います。ミリオンスターズだと阪神あたりはいかがでしょうかね。
リリーフについても触れたいと思います。
ペガサスは8回から左腕の山崎選手、9回は右腕の町田選手がそれぞれ1イニングづつ投げました。
山崎選手は130キロ台後半のストレートを中心に投げるオーソドックスなリリーフピッチャーです。ベイスターズの大原慎司選手に似たようなスタイルですね。コントロールもよく無失点で抑えました。
9回の町田選手は去年の開幕戦で先発ピッチャーを務めた選手なのでよく覚えています。開幕投手を任されるような所から14点リードの最終回にリリーフで出てくる所に配置転換された理由はよくわかりませんが、この試合で初めて140キロ以上の球をポンポン投げるピッチャーが出てきましたので、球が速く見えました。こちらも無失点で抑えました。
石川ミリオンスターズは大量ビハインドという事で何人ものピッチャーがマウンドに上がりましたが、その中でなんといってもお伝えしなければならないのが、女子野球選手の先駆け的存在の吉田えり選手です。
ミリオンスターズに吉田選手が所属しているのは知っていましたので、まだ試合序盤のうちにリリーフピッチャーの待機所近くに行って吉田選手の写真を撮ってきました。
実はこの球場はリリーフピッチャーの待機所に隣接するカメラマン席も自由に行き来できるので、一旦は吉田選手のかなり近くまで行ってみたのですが、あまりにも近くで僕が恐縮してしまい、わざわざ観客席まで戻って、背後から撮影しました。
小柄な普通の女の子が男子選手と同じユニフォームを着てそこにいるというのは日本全国でもこのチームだけですから、もう少しアピール材料に使わなきゃもったいないなぁと思いました。
そして登板です。公式戦でも6試合しか登板していないくらいですから、登板するところを見られるのが大変幸運です。しかもランナー満塁で2番の竹内選手から、アメリカの独立リーグでもプレーしていた井野口選手、カラバイヨ選手、チャベス選手とBCリーグを代表するごっついバッターばかり居並ぶ、恐ろしい場面での登板となりました。
先頭の竹内選手と相対する吉田選手は緊張の色を隠せていません。なんとかリラックスしようとマウンド上でぴょんぴょん飛び跳ねたり肩を回したりしますが、コントロールが定まらずにフォアボールを出してしまいます。
しかし続く井野口選手にはストライクが決まるようになり、なんと空振り三振をとりました。
ただ、続くカラバイヨ選手にはデッドボールを当ててしまい、カラバイヨ選手はニヤニヤしながら、からかうように足を引きずるポーズをしながら1塁に歩きます。
最後は5番チャベス選手を外野フライに打ち取って、ようやく登板終了となったように記憶しています。
球速はコンスタントに110キロ台をマークしていまして、結構出るものだなと感心しました。お恥ずかしながら、僕は100キロ出るか出ないかくらいですから、女性が110キロをコンスタントに投げることに驚きを隠せませんでした。
コントロールに苦しんだのは緊張ゆえなのかもしれませんが、これからも女子野球の牽引役として末永くご活躍頂きたいと思いました。
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というわけで通算5試合目のBCリーグ観戦を終えました。
来場者数の発表はありませんでしたが、ざっと見た限りでは300人いるかどうかだろうと感じました。僕はこれまで計5試合見てきましたが、非常に面白く、常に満足させていただきましたから、このお客さんの数には寂しさを禁じえませんでした。
ごくたまに見に行くだけのにわかファンとして感じるのは、地味過ぎると言いましょうか、謙虚過ぎるというか、アマチュアリズム的なものの悪い部分が出てしまっていると思いました。
「僕たちはお金儲けを目的でやっているのではありません」というのがモットーとしてあるのかもわかりません。僕は日頃そういう考えと正反対の、ある種拝金主義的な考えの持ち主なので自分のこととしてそういう思想を理解することは出来ませんけれども、ただ、そういうものを由とする人々が一定数存在するのは承知致しております。
しかしながら、やはりある程度お金を稼げなければ、いくら崇高な理念があろうと、続くものも続かないと思います。
現在BCリーグの経営を金銭的に支えているのは大小様々な企業スポンサーが出すお金であろうと思いますが、スポンサーに対する満足度も考えなければならないと思います。スポンサーはお寺の檀家ではありませんので、ただチームが存続すれば良いというものでもないと思います。
スポンサーの満足度を高め、チームの経営基盤を強固なものにするためにも、もっと集客に本腰を入れなければならないと僕は感じます。
BCリーグはどこかの企業を親会社にしたりチーム名に企業の名前を入れることを認めていないようですが、そこは意固地にならずに、NPBの経営形態を範にとっても良いのではと思います。
そうすることで選手や監督コーチ、チームスタッフの待遇が改善されて、お客さんが増えて、そういう循環を作っていけるのではないでしょうか。
とにかくBCリーグが素晴らしいことは論をまたないと思いますから、今後ますます発展するために、より一層の奮闘を期待したいと思います。僕もまた見に行きます。
石川0-14群馬
勝:伊藤
敗:レオ
本塁打:八木(僕の推定飛距離105メートル)
以上