戦力外から新天地へと向かう選手について
静岡草薙球場で行われたプロ野球の合同トライアウトからおよそ1週間が経ちました。解禁直後から慌ただしかった選手や、トライアウトを受けずに各球団の秋季キャンプに呼ばれて入団テストを受けた選手など、その動向は様々です。
今日はこういった選手の中で、ベイスターズに限らず僕なりに気になった選手の動向を選手毎に書いていきたいと思います。
■金伏ウーゴ選手(ヤクルト→巨人)
今年戦力外通告を受けた選手の中で、ベイスターズ勢以外で最も気になっていたのが前ヤクルトのウーゴ選手です。戦力外通告を受けた直後には引退を示唆するニュース記事なども出てドッキリさせられましたが、幸いトライアウトに参加して、能力が認められて巨人と育成契約を結んだと聞いてホッとしている所です。
僕はイースタンリーグを中心に見ているので、したがってヤクルトの選手を見る機会も少なくありませんが、特にシーズン最後の3連戦でリリーフで登板したウーゴ選手を見て、これは2軍にいて良いピッチャーではないなと感じていたのです。
僕はピッチャーを見る目がありませんので信用せずに眉唾で聞いて欲しい話では有りますが、課題のコントロールさえもうちょっと精度を上げさえすれば、持ち前の速球とマウンド度胸で素晴らしい左のリリーフピッチャーになれると思うのです。
その課題にしても極端に悪いわけではありません。ほんの少しの違いです。各球団が喉から手が出るほど欲しがるような左のリリーフピッチャーを、このほんの少しの違いで失ってしまうのは大変な損失だぞと心配していたのです。
行き先は幸か不幸か巨人の育成契約ですから来年以降もイースタンでお見かけする機会があるかと思われますが、なるべく早く支配下契約を勝ち取って、イースタンではなくセリーグで活躍してもらいたいものです。
お次は前オリックスの竹原選手について。
今年の8月に北神戸でウエスタンの試合をたった1試合見ただけの感想ですが、無理に一発長打を狙わずにヒット狙いに徹した時の柔軟なバットコントロールには舌を巻きました。もしかしたらたまたま絶好調の時を見ただけなのかもしれませんが、いくら好調といっても下地がなければ打てるものも打てませんので、やはり技術は相当なものがあるのだろうと思います。
たった1試合しか見ていないのに偉そうに四の五の言うのもおかしいですが、今季最後の1軍出場が7月で、それも決して悪い成績でもないのに2軍落ちしてそのまま閉幕まで過ごし、挙句に戦力外とは、これはこれは気の毒な起用法だったのでは?という感じがしないでもありません。
松坂世代という事もあって年齢がネックなのかもしれませんが、それにしても30台後半から円熟味を増して活躍する打者も少なくありません。かつてオリックスが見切った山崎武司選手が新天地の楽天でホームラン王に輝いた過去などもありますので、竹原選手には是非とも、獲得した埼玉西武が「儲かった!」と大喜びするような活躍をして頂きたいものです。
■白根尚貴選手(ソフトバンク→横浜)
今朝ツイッターでこのニュースに触れた時には、まさかまさかと本当にびっくりしたものでした。
白根選手はソフトバンクがそのまま来季も育成契約すると打診していたのを振りきって、まさに退路を断ってトライアウトの道を選んだ人です。若干22歳にして実に見上げた男であると思っていました。こういう根性を持った人は絶対成功するに違いない!頑張れ!と胸の内で思っていたのですが、その人がベイスターズに入団するとは、二重三重に嬉しいのであります。
僕は和製大砲が大好きです。日本人でシーズン40本を目指せそうな人を見ると、本当に目がキラキラとビームを発してしまいそうになります。
そんな僕にとって近年のベイスターズは寂しい限りでした。筒香選手が侍ジャパンで4番を任されるまでにはなりましたが、それにしてもシーズンで40本はおろか30本すらも超えられません。
和製大砲が育つためには、大砲のライバルが必要です。それもレベルの高いライバルが必要です。なぜなら、打順の中で大砲が1人しかいないと、どうしても勝負を避けられてしまったり、または筒香選手のように安全策として長打よりも確実性の高いバッティングをしてしまいがちだからです。
しかしそれが2門3門と続くようになると、相手投手は勝負を避けられなくなりますし、打つ方もTPOで長打を狙えるケースが確実に増えてくるはずです。多村選手が40本打った時はウッズ選手がいましたし、村田選手が46本打った年は吉村選手も34本打っています。こういう相乗効果が大砲には不可欠なのです。
今年のドラフトで入団した山本武白志選手や青柳選手も和製大砲候補として呼び声が高いようですから、ここに白根選手も加わって、まさに待望の相乗効果が発揮されるのではないでしょうか。
今から横須賀スタジアムに通うのが楽しみになってきますが、しかしながら白根選手は支配下登録ですので、横須賀スタジアムに出てくるのは少しで結構です。ある程度地ならしが済んだら横浜スタジアムに活躍の場を移してくれるよう、一日千秋の思いで来季を迎えたいと思います。
まだ決まった話ではありませんが、こういうニュースがありました。
ベイスターズはこれまで多くのメジャー投手を輩出してきた伝統を持つチームです。大家友和選手から佐々木主浩選手、小宮山悟選手、斎藤隆選手、そして最近は富田選手がマイナーながらアメリカでプレー中です。12球団を探してもこれだけ成功例の多いチームは他には見当たりませんので、大田阿斗里選手がそれに続く可能性は大いにあると思います。
今季の感想として、制球を乱す場面が非常に多く見られました。昨年までは見られなかった問題ですが、特にどこかを怪我しているのではなさそうですから、ちょっとした技術的なものか、精神的なものではないでしょうか。
去年の調子が良かった時に1軍に上げてもらえずに何かが狂ってしまったというのは僕の妄想ですが、そういう小さな課題を一つ一つクリアしていければ、マイナーからメジャーに上がることだって夢ではないと思います。
ベイスターズで8年もプレーした選手ですし、2軍にいる事の多い選手でもありましたので、思い入れは相当なものがあります。転んでもただでは起きない精神で、この戦力外をキッカケとして大きく羽ばたいていただきたいと、強く強く願っております。
以上