ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

2軍専用新球団成功の為に僕が提唱したい事



 

 僕はこのブログを放置→フェードアウトさせるつもりでいたのですが、こんなにも面白い出来事が起きてしまったので、つい言及せざるを得ない心境に至ってしまいました。

 

www.yomiuri.co.jp

 

 2軍専用のNPB新球団を2つ新設しようというものです。

 

 

 僕は元々エクスパンション(球団数拡張)をやるべきだと考えていましたが、この件についても2軍専用とはいえ、やらないよりもやった方が良いと賛同を表明するとともに、やるからには絶対に成功を収めてもらいたいですから、誠に僭越ではありますが、成功の為の提唱をしていきたいと思います。

 

 

 

               ■

 

 

 そもそも2軍専用新球団の何を持って成功とするのかは論点が色々あろうかと思います。

 

 独立リーグのようにNPBの既存球団に選手をたくさん送り込む事を要件とする論点もあるでしょうし、立地自治体の町おこし的な論点もあるでしょうし、経営的に収益を挙げられるのかという論点もあるかと思います。

 

 

 そういった様々に考えられる成功論の中で、僕はこのブログエントリーにおいて、ひとまず10年後も順調に経営を維持出来る状況を保つという一つの通過目標を指定したいと思います。

 

 

 チームは辛うじて存続しているけど経営母体がギブアップして自治体とNPBが押し付けあっているとか、NPB既存12球団がユニバーサル基金のようなものを拠出して支えているといった他力に頼らずに、球団単体で黒字を出せる状態を続けられている事をポイントと考えます。

 

 

 

                ■

 

 

 まず何より重要な事は集客です。それもネット配信ではなく、球場に来場される有料入場者をいかに高い数値で維持させるか?であります。

 

 それこそ昔のロッテオリオンズのようにタダ券をばら撒いて川崎球場に1試合平均1500人集めても、そこにスポンサーは意味を見出さないでしょうから、したがってスポンサー収入も大した伸びになりません。

 

 スポンサー収入も大して伸びないようなものにネット配信の視聴者が大勢つくとも考えにくいですから、ネット配信関連の収入も伸び悩むでしょう。

 

 

 ですから新球団の最初期の目標を集客に置くべきです。

 

 客を呼べる選手を集め、客を呼べるフード&ドリンクを揃え、客を呼べる演出を行い、客を大勢運べる環境や交通インフラを整えるべきです。

 

 

  • 客を呼べる選手

 

 選手個人のファンが大勢いるような、川崎宗則さんのような元NPB選手を獲得するとともに、選手個人の集客力には疑問符がつくけど知名度はそれなりにあるような、例えば今年の戦力外を受けた顔触れで言えば山口俊選手や平田良介選手のような選手も取れるだけ取るべきです。

 ある程度知名度のある選手は元々の実力がそれなりにあるのは認められている所なので、その人個人を見るために球場に足を向けようというよりかは、そのレベルの試合が見られるなら行こうと誘引する効果を期待できます。

 かつてタフィー・ローズさんが独立リーグで現役復帰して話題になったように、外国人選手も当然候補に入れるべきです。

 

 NPB所属経験の無い日本人選手の獲得がどうなるのか今のところわかりませんが、仮に獲得が可能であれば、ドラフト前に有望視されていたのに指名漏れとなった選手や、NPBを経ずに外国のプロリーグでプレーしている、例えば田澤純一選手のようなタイプも「見てみたい」と思わせる要素になり得ると思います。

 

 

  • 客を呼べるフード&ドリンク

 

  激安居酒屋のように、サワー系と格安グルメを徹底的に取り揃えて、それ目当てで行くのもアリという状況を作りたいです。

 

 NPBスタジアムグルメは年々価格が高騰しており、やや世の中の物価との乖離が見られると僕は感じているのですが、そのあたりを庶民目線でセットするべきです。

 

 今回の新球団では静岡が早くから名乗り出ていますが、せっかく海の幸の豊富な静岡なのですから、普通の食卓や居酒屋には並ばないような訳あり海産物関係も豊富に取り揃えたい所です。

 

 目玉メニューでイカ焼きとレモンサワーのセットで500円とかで売れば、結構人気になるのではないでしょうか。

 

 

  • 客を呼べる演出

 

 NPB既存球団が行うようなイルミネーションとか花火とかお金のかかるものをコンスタントに打ち出すのは現実的とは言えませんし、果たしてそれで地方球場にお客を呼べるのかという疑問もあろうかと思います。

 僕は今夏に甲府で行われたファイターズ二軍の試合を見に行ってきましたが、絶賛大流行中のキツネダンスに山梨県民が全くついていけていないのを実感しました。そういう地域特性を考えなければなりません。

 

 ですから僕が地に足の付いた演出として提唱したいのが、NPB式の応援団です。

 

 それも応援歌そのものを、NPB既存球団で専用の応援歌を持っていたクラスの選手にはそれをそのまま使わせてもらえるような段取りをして、古式ゆかしいNPB応援団のトランペットと太鼓で生演奏にこだわった鳴り物応援をやるべきです。

 

 自分専用応援歌を持っていなかった選手には昔の選手の応援歌を使わせてもらえるように段取りをして、さながら「懐かしいヒット曲」の応援歌版をやっていくのです。

 中日出身の右バッターが打席に立てば「さーんかーんおちあいこうかくだほおー!」と歌い、ロッテ出身の左バッターが打席に立てば「頼むぞ我らの若大将♪(アイヤー!)」とやるわけです。オールドファンも涙を流して喜んでくれるに違いありません。

 

 対戦チームの公認応援団にも二軍ではあるものの来場を促し、往復交通費と宿の費用を支援したりしても良いと思います。

 

 鳴り物応援は球場近隣の理解を得られないとまず実現不可能ですから、球場近隣へのご配慮と、少しばかりの利益誘導なども行って、しっかりと大声を出せる環境を作りたいです。

 

 

  • 客を大勢運べる環境や交通インフラ

 

 地方球場は鉄道駅から離れて作られているケースが相当に多く、今回候補に挙がっている静岡新球団が本拠地にすると見られる清水庵原球場も最寄り駅のJR清水駅まで路線バスで20分の距離となります。

 

 僕も山梨県民歴4年なのでわかりますが、地方では基本的にマイカー移動で、公共交通機関を常用するのは子供とお年寄りくらいです。

 だから地方では公共交通機関を軽視し、公共交通機関の乏しいエリアに平気で集客の必要な施設を作ってしまうのです。

 

 しかしながら、マイカー観戦客と路線バス観戦客だけを集客の軸として考えると、それこそ広島カープ由宇球場のように、相当な玄人ファンでないと足を運ばない場所になってしまいます。

 そしてマイカー観戦客はお酒を飲めませんので、公共交通機関で来場するお客さんと比べて客単価が激減するのは目に見えています。

 集客の人数にも苦労して客単価も伸び悩むようでは、とてもとても経営が成り立ちません。

 

 かといって今更静岡新球団の本拠地を静鉄の駅に近い草薙球場に移すのも難しいと思われますから、プランとしてはとにかく使いやすいバスの整備につきます。

 

 その使いやすいバスというのも、単に時刻表と料金を充実させれば良いというものではなく、大需要地の東京を出て球場へ行き、試合観戦後に駿河健康ランドまで送り届けて一泊、翌朝再びバスで東京へ戻るか、それとも電車で帰るといったパッケージツアーを、とにかくリピートしやすい価格設定で充実させるべきです。

 

 地元である清水や静岡の中心市街地からの往復バスも、チケット代やフードチケット1000円分とセットで3000円とか、なるべくお得感の出るように設定して、営業が売りやすい環境設定を整えたい所です。

 

 

              ■

 

 

 とにもかくにも成功して頂きたいの一念に尽きます。

 

 これが成功すればさらに大きくしようという機運に繋がります。それすなわちプロ野球界のさらなる発展であります。

 

 だから皆さんもぜひ応援しましょう。

 

 なるべく球場に行きましょう。

 

 

 僕は自宅から一番近いプロ野球本拠地が現状ではジャイアンツ球場なのですが、清水庵原球場が新球団本拠地に決まれば、中部横断自動車道という素晴らしい道路のおかげで一気にここが最寄り球場にステップアップします。

 

 だからとても楽しみにしています。

 

 

 関係各位の皆様、どうか宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

.

2021年9月25日 読売巨人vs横浜DeNA (横須賀) の感想

f:id:suguru0220:20210925221125j:plain

 

 

 今日はおよそ半年ぶりに聖地横須賀スタジアムへ行ってまいりました。

 

 本当は今年も月に1試合2試合くらいは球場に足を運びたかったのですが、オリンピックを中止せよという声が吹き荒れる中で、果たしてプロ野球観戦をいつも通りノンキに楽しんでも良いのだろうかという自分の中での葛藤などもあって、それで緊急事態宣言にまもなく終止符が打たれそうな今になって、ようやく2度目の訪問をしてみた、という次第です。

 

 

f:id:suguru0220:20210925221749j:plain

 

※ ベイスターズ公式サイト

www.baystars.co.jp

 

 

 出場選手や結果はベイスターズの公式サイトに掲載されていますので、今日はそういった形式的な部分を端折って、出場した選手の中から思う所のあった3選手について、各々書いていきたいと思います。

 

 

加藤大選手(DeNA 投手 7回表を1イニング登板)

 

 今日の試合において6回まで、ベイスターズの出場選手に何一つ褒められる要素がありませんでした。

 ピッチャーはバッティング練習かと思うくらい高めに浮いたボールを打たれまくり、もしくはコントロールを乱しまくり、出したランナーに走られ放題。守備ではエラー連発、打ってはチーム全体でたった2安打。 

 

 しんどいなぁと頭を抱えながら迎えた7回、初めて見るルーキーの育成選手がマウンドに上がりましたので、なんとか一つくらい明るい話題を!と食い入るように加藤大選手の投球を見守ったのですが、これがこれが、最初のバッターからどんどんストライクを先行させ「これだよ!これが見たかったんだ!」と喜ばせてくれました。

 

 投球フォームはテイクバックが少し変則的で、いわゆるバッターからボールが見えにくい、タイミングが取りづらいタイプでありまして、そのフォームからビシビシとストライクを投げ込んで、打者4人を相手に、味方のエラーによる出塁を1人に許したのみで、完璧な仕事を成し遂げてくれました。

 

 対戦したバッターがいずれも1軍経験の乏しい若手選手だったのを割り引いて考えても、マウンド上で実に堂々とした表情で、とても高卒ルーキーとは思えない雰囲気の持ち主でありました。

 

 今日初めて見た選手ですからなんとも言えませんが、ピッチャーは度胸とコントロールがあればあとはなんとかなりやすいものだと思います。

 

 加藤大選手、今後が楽しみであります。

 

 

梶谷隆幸選手 (巨人 スタメンで4打席3打数3安打1四球)

 

 デッドボールで骨折して戦線離脱していた巨人の梶谷選手が実戦に復帰し、早速猛打賞で全打席出塁と順調な仕上がりぶりをアピールしました。

 

 まず最初に申し上げたいのは、今日の横須賀スタジアムのグラウンド上に立った人物の中で、恐らく横須賀スタジアムを訪れた回数が1番多いであろう人物が、この梶谷選手です。

 

 完全に馴染み過ぎたせいか、フォアボールで1塁に歩く時に、ついつい1塁側のベイスターズベンチに向かってバットを軽く投げて返してしまったシーンを、僕は見逃しませんでした。自分の居場所が横須賀スタジアムの1塁側ベンチだと体の芯まで染み付いているからこそ、ついやってしまったのでありましょう。

 

 この選手は故障明けにやたらよく打つイメージが強いので、今日の活躍ぶりもさもありなんという感じでありまして、ちまちまファームで調整させるよりはすぐに1軍の試合でスタメンで守備につかせて働かせるくらいが丁度よいのではないでしょうか。

 

 非常に伸びの良いホームラン性のファウルなどもありましたし、調子が相当良さそうでありました。

 

 

陽岱鋼選手(巨人 8回に代打で登場して2打席無安打1四球)

 

 今日の横須賀スタジアムは試合開始2時間以上前から入場させてくれたので、既に始まっていた巨人の試合前練習の様子をじっくり2時間観察し続けました。

 

 

 その中で気になったのが陽岱鋼選手で、バックネット裏付近で数名の若手選手に何やらアドバイスらしきものを送り、その後は時間をかけてゆっくりとロングティーと呼ばれる打撃練習を続けていました。

 

 そのロングティーが少し特徴的で、わざと打球を外野フライのように打ち上げよう打ち上げようと意識しているのが見て取れました。

 

 陽選手レベルのバッターであればティーバッティングで擦ったような打球を飛ばすという事はまず無く、普通なら全球バットの芯で捉えるくらいで当たり前だと思うのですが、そうではなく、あえて何度も何度も擦るようなミスショットを時折繰り返しながら、外野フライを打ち上げ続けていました。

 

 それを1時間くらいは続けていたと思うのですが、見始めからだいぶ経って鈍感な僕でもようやくその意図が見え始めました。

 

 陽選手は相当意識してバレルゾーンと呼ばれるホームランになりやすい角度のついた打球を打ち続けていたのでありました。

 

 それで、擦ったような、バットの衝撃音がそれほど鋭くも無いような打球でもなんだかんだほとんど柵越えするくらいの飛距離で飛んでいて、ようするにホームランバッターになるような、そういった打撃改造に取り組んでいるのではなかろうか、という推測を僕はしたのであります。

 

 途中出場した試合においても、ファウルにはなったものの飛距離的には充分ホームランになるような打球を軽々と打っていましたので、打撃改造の成果はそれなりに得られつつあるように見えましたし、ただ今シーズン奮わなかったという一点だけで陽選手の来季以降をネガティブに受け止めてはいけないかもしれない、と思うようになりました。

 

 バレルゾーンに的確に打てるようになってホームランを量産するような、ニュータイプ陽岱鋼が来季以降、見られるようになるかもしれませんよ。

 

 

 

                ■

 

 

 ベイスターズファン目線で今日の試合を見るのは本当に辛かったのですが、長年野球ファンをやっていればこういう事だって何度かあるものですから、気持ちを切り替えます。

 

 

 ベイスターズファームの公式戦日程は残り4試合、すべて本拠地横須賀スタジアムで予定されています。

 

 接近中の台風の動きが心配ですが、出来ればあともう1試合、最終戦あたりを見に行ってみたいと思っている所です。

 

 

 

本日の観客動員数:903名

 

 

 

以上 

 

 

プロ野球界は音楽業界に協力するべきだ

 

 

 今年は昨年よりもコロナ禍への危機感を強く持つようになりまして、そのせいでこれまで3試合しか球場に行けていません。

 

 それで書くことも無くダラダラ数ヶ月ものブランクを空けてしまったのですが、この所の音楽業界の皆様の苦境を見ていて、どうしても一言書いておきたくなったので、今日はそういった部分を書き残しておきたいと思います。

 

 

             ■

 

 

 

 千葉県のZOZOマリンスタジアムでこの週末に行われる音楽イベントをめぐり、千葉市から開催延期や来場者数を5000人以下に抑える事を求められたものの、長らくの交渉の末に決裂し、1日あたりおよそ9000人程度の来場者数という見込みで開催される運びとなりました。

 

 

 僕はこの点について、イベントを主催する側に同情する気持ちを持っています。

 

 

 というのも、このZOZOマリンスタジアムではプロ野球千葉ロッテマリーンズが大勢のお客さんをお招きして試合を行っているのに、なぜ音楽フェスは認められないのか?という不条理さを覚えるからです。

 

 ちなみに直近のZOZOマリンプロ野球観客動員数は以下の通りです。

 

9月12日(日)楽vsロ 7794人

9月11日(土)楽vsロ 9924人

9月05日(日)日vsロ 9328人

9月04日(土)日vsロ 9744人

 

 

 プロ野球はこれだけお客さんを入れて開催しているのに、なぜ音楽はダメなのかと反発を受けても仕方がないのでは無いでしょうか。

 

 それこそ上級国民を突き上げるような、激しい批判的なムードがプロ野球界全体に向けられても、これでは仕方が無いのではないでしょうか。

 

 

 この状態を、プロ野球界は漫然と見過ごしても良いのでしょうか。

 

 僕は、プロ野球界で結集して、音楽業界に協力するべきだと考えます。

 

 

               ■ 

 

 なぜ野球がOKで音楽がNGなのかを端的に言ってしまえば、プロ野球はJリーグと共同で専門家をお招きして対策を講じてきたからであって、その成果でプロ野球はこれまで観客同士のクラスターを防ぐことに成功してきました。

 

 しかし音楽フェス界隈ではそういった専門家を招いた体系的な取り組みが行われて来ず、よって充分なエビデンスが得られていないから、観客減や延期を要請されるのだと言えましょう。

 

 ではなぜ音楽フェス界隈でそういった体系的な取り組みが出来なかったのかと言えば、組織が成熟していない部分もあるでしょうが、それ以上に致命的なのは、そこまでの経済的な余力が無いからに他なりません。

 

 

 プロ野球は選手や関係者に頻繁にPCR検査を行っていますが、これは行政検査ではないので球団が全て自腹を切って実施していますし、定期的に会議を開くのに専門家をお招きする費用も相当な額に上ります。

 

 そういったコストを厭わずに対策を打てるのはプロ野球がリッチだからという以外に無いわけでして、それと同じことを音楽フェス界隈に求めるのは酷なのであります。

 

 

 であるからこそ、プロ野球界が財力に物を言わせて蓄積したノウハウで音楽業界に協力してあげるべきだと思うのです。

 

 

                 ■

 

 

 今回のスーパーソニックに対してプロ野球界が協力うんぬんというのはさすがに間に合いませんが、今後もきっと色々な催し物が行われるでしょうから、そこへ向けた提案となります。

 

 

 少なくとも球場で行われるイベントに関しては、その球場を本拠地とする球団が感染症対策で使用している機材を貸出したり、場合によってはスタッフを派遣するなどして、観客誘導や手指の消毒、三密回避などの行動がより実効性の高いものとして出来るのではないでしょうか。

 

 

 資金的なものも、球団の親会社がスポンサーに入るなどして支援する事も出来るのではないでしょうか。

 

 

 球場が音楽イベントの会場になるという事は、そこを本拠地とする球団が余所の球場でビジターゲームに臨んでいるかお休みをしているわけで、機材もスタッフも、その気になれば稼働させる事は十分可能でしょう。

 

 

 そういったすぐに出来る所から協力を模索するべきではないでしょうか。

 

 

 

                ■

 

 

 今更言うまでもありませんが、プロ野球は昔から、国や自治体から様々な優遇を受けてきました。

 

 有名なところでは球団の経営で出た赤字は親会社の経費扱いに出来る特例措置などで、その他にも自治体所有の球場を格安で使わせてもらったり、自治体所有の土地に練習場を建設させてもらったり、例を挙げればキリがないくらい、優遇を受けてきました。

 

 

 だからこそ、これまで受けてきた優遇措置を、いま困っている人を助ける形で恩返しするべきではないか、と僕は考えます。

 

 

 コロナ禍は災害なのだから、業界の垣根を超えて、助けられる事を助け合おうではありませんか。

 

 

 僕はそう願ってやみません。

 

 

 

以上

 

 

 

               

2021年3月20日 千葉ロッテvs横浜DeNA (横須賀) の感想

f:id:suguru0220:20210320234927j:plain

 

 皆様あけましておめでとうございます。

 

 今年もプロ野球の季節がやってまいりました。今年も昨年と同様にコロナ禍で不自由な日々が続きますが、それでもプロ野球を球場で生で見られるようになった事を素直に喜びたいと思います。

 

 さて、僕は先週の日曜日に静岡県草薙球場で行われた楽天ベイスターズのオープン戦で今季初観戦をし、そして今日は横須賀スタジアムにてファームの開幕戦を見てまいりました。

 

 一軍は三浦大輔監督、二軍は仁志敏久監督といういずれも新しいリーダーが率いる今季がどのような行く末を辿るのか、楽しみにしていきたいと思います。

 

 

               ■

 

 

f:id:suguru0220:20210320235727j:plain

 

 今日のスタメンと試合の結果はご覧の通りです。上記を踏まえ、僕の感想を投手と野手にわけて振り返っていきたいと思います。

 

 

 まずベイスターズの先発は育成ドラフトで入団して4年目を迎える中川選手。既に支配下登録の2ケタの背番号への昇格を済ませ、ファームとはいえ栄えある開幕投手となったわけですが、プレイボール前の投球練習の段階からコントロールが定まっていないのが明らかで、女房役の高城選手が球審にお願いしてもう1球投げさせてもらう、そんな立ち上がりでした。

 

 投球練習の時も試合が始まってからもセットポジションでコントロール重視といった雰囲気で投げましたが、初回、ロッテの2番三木選手の背中にデッドボールを当ててしまったあたりから更にコントロールが悪化し、3四死球で先制点を与えてしまいます。

 2~4回は持ち直したかに見えたものの、5回に再びコントロールが定まらなくなってホームベースの手前でワンバウンドする球を何度も投げてみたり、キャッチャーがジャンプしても取れない暴投をしてみたり、それでゾーンに置きに行った半速球をキレイに狙い打たれたりで、この回だけで7失点でKOされてしまいました。

 

 数字だけ見れば4回1/3で9失点と救いようが無い感じでありましょうが、まぁただ、僕はそこまで心配しておりません。

 京山選手が1軍で5連勝した年もファームの開幕投手でボコボコに打たれていましたし、若手ピッチャーの春先というのは得てしてこういうものだと僕は思っています。

 

 中川選手は1年目2年目の頃と比べて別人のようにゴツい身体つきに進化しています。フィジカルの進化というのは本人の心がけとか努力がそのままストレートに反映されるもので、要するに中川選手にはそれだけ死物狂いで頑張ってきた成果が身体つきに見て取れるのです。

 それに、2回から4回の安定していた時がそうでしたが、フィジカルが強くなった事であまり力を入れずにリラックスしながら150キロ近い速球を投げられるようになっていますし、ブレーキのよく効いた変化球も効果的に決まるようになってきています。

 

 1軍でコンスタントに登板機会を与えられるようになるには今日のようないまいち調子の良く無い時にどうやってうまくさばいて最低限の数字を残せるようにするのかという所がカギとなってきます。

 今日の成績は見ての通り散々ではありますが、こなすべき課題のレベルが格段に高度になってきたのを感じ、楽しみになってきました。

 

 

 ロッテ先発は中村稔選手です。僕は初めて見る選手ですが、なぜこのピッチャーがファームで投げているのか、よくわかりませんでした。

 コントロールが実に素晴らしく、ストレートも変化球も意のままに操っている、まさに1軍の先発ローテに入って何年か経っている風な感じのする完成度の高い選手だと思いました。

 

 ファームのバッターは首脳陣にアピールするために積極的に振ってくる傾向がありますので、対するピッチャーは緩急とコントロールをある程度うまく使えばそれなりの結果が出るものです。

 だから中村選手のようなピッチャーの場合、いくらファームで投げてもあまり練習にならないような気がしないでもありません。

 

 今日のベイスターズのバッターの中で山下選手にはキレイにヒットを打たれていまして、彼のようなミートのうまいバッターと対戦した時に、いかに芯を外すか、タイミングをずらすか、そういった細かい作業を学んでいく事が求められるのかもしれませんね。

 

 

 

 次に野手について。

 

 

 ベイスターズのバッターでは、先程も少し触れた山下選手が4打数3安打と格の違いを見せつけました。

 

 1本目のヒットは地を這うような低い弾道のライナーでライトフェンスに直撃する当たりで、打った山下選手はあまりに良い打球だったからか打った瞬間に「おりゃー!」と雄叫びを上げるほどでありました。

 2本目3本目はいずれも3塁方向へ図ったように低いライナー性のヒットで、こちらは「おりゃー!」の雄叫びは無しで、涼しい表情で1塁に到達致しました。

 

 ベイスターズファンの多くの方は充分ご存知だと思いますが、彼の打撃センスは目をみはるものがあります。定位置を掴みそれなりの打数を与えられさえすれば宮﨑敏郎選手と比肩するような打率を残せそうな、それくらいの実力者であります。

 しかしいかんせん、ベイスターズの内野にポジションが有りません。今年は外国人選手の来日が遅れている都合でいつもより若干スキがあるような気がしたものの、そこへルーキーの牧選手が好アピールを続けて、道が塞がれてしまった感があります。

 ファームでは少しだけ外野を守った事もあってまぁまぁ器用にこなした実績もありますので、内野でも外野でもどこでもよいので、もう少し1軍でスタメンの機会を与えてあげて欲しいと願うばかりです。

 

 

 ロッテ打線については誰かを名指して言及するのではなく全体的に感じた事を書いていきたいと思うのですが、皆さん非常に選球眼が良く、打てそうなボールだけを待って、来たらコンパクトにシングルヒット狙いのバッティングをしてくるという印象を持ちました。

 パリーグの野球と言うと得てして剛速球と豪快なフルスイングのぶつかり合いのようなイメージが持たれがちですが、今日見たロッテ打線は、長距離砲タイプが居なかった影響もあるのでしょうが、軽打をしてくるな、と感じました。

 ただ、こういうタイプが1軍でどれくらい通用するのか。なかなか難しいと思いました。1軍の、とりわけパリーグのピッチャーは強いボールを投げてきますから、当てにいくだけでは詰まらされてヒットにならない、だからしっかり振らないと、という印象を持ちました。

 

 

 

 次にリリーフについて。

 

 まずなんと言ってもトミージョン手術から復活を期す田中健二朗選手が登板しました。

 

 先日の教育リーグの試合で復活登板を果たしたのをニュースで知っておりましたが、こうして目の前で投げる姿を見ると、本当に涙を禁じえませんでした。

 

 石川雄洋選手が引退を表明し、梶谷選手が巨人へ行き、筒香選手はアメリカ、残る湘南シーレックス戦士は国吉選手と彼しかおりません。

 

 入団したばかりの頃は体質が弱くして試合に投げられず、やっと投げられるようになって実力の片鱗を見せるものの1軍と2軍を行ったり来たり。

 それがようやくリリーフで花開いたかと思えば、今度はわずか数年でヒジが悲鳴を上げて再び戦線離脱。

 

 頼むから這ってでもグラウンドに帰ってきてくれ!と願い、それがようやく叶ったのです。

 

 

 故障明けの選手というのは感覚が狂ってコントロールに苦しむような事が少なく有りませんが、今日見た限りそういった問題は無く、ストレートは140キロ前後で、代名詞とも言うべきスローカーブはストレートと同じ腕の振りから110キロ未満で繰り出され、ファームのバッターではクルクル回るしか他にありません。

 ややすっぽ抜けの感じの半速球を育成ルーキーの山本大斗選手に思い切りよくライトスタンドに運ばれてしまったものの、それを除けば本当に充分な内容で、今季の早いうちの支配下復帰は充分可能だと確信致しました。

 

 僕としては、彼があまり丈夫ではないという点も踏まえて、先発に再転向してもらえないか、と思っています。

 今のベイスターズの先発ピッチャー陣は若手主体でいずれも球速のある本格派タイプで揃ってしまっている所があって、そこに田中健二朗選手のような球速よりも緩急をうまく使い、140キロのストレートを150キロ以上に見せるタイプを入れる意義は大きいと考えます。

 若い頃と違って相手バッターと落ち着いて駆け引き出来るようになりましたので、先発で選手寿命をうまく伸ばしてやれないものか、そういう事を考えました。

 

 いずれにせよ大変嬉しい登板でありました。

 

 

 もうひとり、入団3年目の勝又選手も1イニングながら非常に良い内容でありました。

 

 勝又選手も非常にガッチリした身体つきに進化し、リラックスして150キロのストレートを投げられるようになりました。

 そのリラックスがコントロールに良い影響を与えているのかどうかわかりませんが、今日投げたピッチャーの中では1番安心して見られる、三者凡退でありました。

 今日はリリーフで登板していますが、彼も中川選手と同様に先発を目指すタイプの選手だろうと思いますし、今年中の1軍デビューが既定路線なのではないでしょうか。

 

 

 

             ■

 

 

 というわけで今季最初のファーム観戦となりました。

 

 来月上旬から平塚球場でナイターの予定が組まれていますし、なるべく見に行っておきたいと考えております。

 

 

 

以上

 

 

 

 

 

 

今シーズン限りでの戦力外通告を受けたベイスターズ関係選手の中で、書かずにいられない選手についてボチボチと  (2)

 

 前回に続き、今シーズン限りで戦力外通告を受けたベイスターズ関係の選手について、思う所のある選手について、ぼちぼち書き続けていこうと思います。

 

 

■飛雄馬選手

 

hochi.news

 

 チーム一の元気者として9年間プレーした飛雄馬選手が戦力外通告を受け、一時は現役続行を目指してトライアウトにも挑戦したものの、獲得に名乗りを上げる球団が現れなかった事から、現役を退く運びとなりました。

 

 

 飛雄馬選手とは一体どんな選手だったのか、一軍を中心に見ている普通のファンの方々にはなかなか掴みづらい所があったかもしれません。

 

 僕の感想としては、「宮﨑敏郎に成り損なった男」という感じかな、と考えています。

 

 バッティング、それもミート力こそが彼のストロングポイントだったわけですが、宮崎選手のように一直線にミート力向上&アピールを貫けず、どっちつかずになってしまったようなプロ生活でありました。

 

 

 プロ入りの際の守備位置がショートだった選手というのは、大体の場合はまず守備力の向上が求められます。

 今季限りで戦力外になった百瀬選手や、2016年のオフに戦力外になった渡邊雄貴選手、今オフにFAで巨人行きを決断した梶谷選手もそうでしたが、まずは守備力を徹底的に鍛え上げられ、日に日に上達していくのが伺えるのですが、その反面バッティングの成長には少し時間がかかる傾向にあるように思われます。

 

 飛雄馬選手も同様で、まずはショートから入ってきましたので、まずは守備の強化に主眼が置かれていたような雰囲気を感じました。

 飛雄馬選手は宮崎選手と比べて守備の面では多少器用な所があって、ショート以外にサードもセカンドもファーストもそれなりにこなし、時には緊急時用といってキャッチャーの練習に取り組んだ事もありました。

 

 それはそれで決して悪い事ではありませんが、プロ入り後の2年間守備力向上に取り組んだから、次はバッティング向上の為にプラス2年待ってくれという猶予はプロにはなかなか認められないもので、そこで宮崎選手との大きな差がついてしまったのだと思います。

 

 2015年は宮崎選手が一軍で163打席のチャンスを貰い、飛雄馬選手も同年に135打席のチャンスを貰っていたわけでして、この時に緊急用キャッチャーの練習などとよそ見をせず、徹底的なバッティング練習を、それももう1ランク上に取り組みをしていれば宮崎選手に比肩するような成績を残せたかもしれない、というタラレバが今更になって思い浮かばれるのであります。

 

 

 結果的にプロ最終年となった今年の飛雄馬選手は、もしかしたらプロ入り以来最高にバッティングのデキが良かった年だったのでは?と、何度か球場で見ていて思ったものでした。

 

 それこそ宮崎選手が測ったように野手の間を抜けるヒットを量産するように、飛雄馬選手も実に器用に野手の間を鋭く抜けるヒットを量産していたのです。

 だからイースタンでも打率.356の成績を残せたわけですが、非常に間合いが悪く1軍の野手陣は内野も外野もビッシリ埋まってつけいるすきが全く無く、せっかくの好調ぶりを一軍の首脳陣やファンに披露する事も叶いませんでした。 

 

 

 一軍で結果を残せない選手は容赦なくビシビシ切るDeNAベイスターズにしては珍しく9年もチームに残れたのは、それはひとえに成績以外の面での貢献を首脳陣に高く評価されていたからに他なりません。

 

 チームのジュニアコーチとして、将来のベイスターズのヒーローを育ててくれるようお祈り申し上げます。

 

 本当にお疲れさまでした。

 

 

 

■熊原健人選手

 

www.nikkansports.com

 

 昨年の開幕直前に楽天に移籍した熊原健人選手が今季限りで戦力外通告を受け、引退を決意しました。

 

 

 今オフ戦力外通告を受けたベイスターズ関係の選手の中で最も悔いが残ると僕が考えているのが、この熊原選手です。

 

 

 熊原選手はルーキーだった2016年に故障で開幕こそ出遅れたものの、5月に一軍に上がってくるやいなや、いきなりリリーフで10試合連続無失点と大物ぶりを発揮しました。

 

 そこで当時の首脳陣が「これをリリーフで使うのは勿体ない」と言っていきなり先発転向を言い渡したのが運の尽きで、ここからリズムを崩し、遂には自分のピッチングフォームすらわからなくなって極度の制球難に陥り、2019年春にはフォーム改造で七転八倒の末のトレード、そしてこの度の戦力外へと至ったのであります。

 

 

 そもそも先発とリリーフでは、同じピッチャーでありながら、しかし全く違うポジションであると言い切っても良いくらい別物なのであります。

 

 山崎康晃選手がルーキー時代の春のオープン戦に先発として全く結果を残せず、当時の中畑監督の決断で抑えに転向させて大活躍を果たしたのは記憶に新しい所です。

 他にも、今季限りで引退された阪神藤川球児さんやベイスターズのレジェンド佐々木主浩さんなど、先発で結果を残せずリリーフで大ブレイクした事例は枚挙にいとまがないわけでありまして、その大きなポジションチェンジを、あろうことかルーキーのシーズン途中、それも最後のリリーフ登板から1ヶ月後に実行するだなんて、あまりにも無茶が過ぎたのです。

 

 

 選手は首脳陣の決めた事に従わなければなりませんし、その采配の先で満足な結果を残せなければ、いずれユニフォームを脱がされる運命に行き着きます。

 

 だから結果を残せなかった熊原選手が悪かったのだという風な結論の付け方をするのが一般的なのでしょうが、さはさりながら、選手の適性や性格をじっくりと見て、その選手の才能が最も大きく発揮されるように采配を振るうのが首脳陣の役割なのであって、あの2016年の、ともすればちょっとした、人によっては「本人の為にもなる」というような采配で運命がガラリと変わってしまったという、あまりにも悔いが残ると僕は思うのであります。

 

 

 優秀な選手がほんのちょっとした出来事をキッカケに、それまでとは別人のようになってしまうというのは、結構ある事だと思います。

 

 その「結構ある事」という風に簡単に片付けているようでは今後も同じような悔いが無反省に積み上げていくだけですので、この熊原選手の事例をしっかり学んで、次に生かしてもらいたいと切に願う所であります。

 

 

 熊原選手、本当にお疲れさまでした。

 

 

 

 

続く 

今シーズン限りでの戦力外通告を受けたベイスターズ関係選手の中で、書かずにいられない選手についてボチボチと  (1)

 

 

 今年はコロナ禍の影響で戦力外通告の時期が変わったりバタついたりしていますが、それもようやく落ち着き、戦力外通告を受けた当事者の今後の身の振り方に関する報道なども流れてくるようになりました。

 

 

 ここで、まずは本題に入る前に、全ての選手の皆様に対し、尊敬の念をお伝えしたいと思います。

 

 子供の頃に野球をやっていた人の多くは、大なり小なりプロ野球選手への憧れを持った時期があるんじゃないかと思います。

 

 僕もそのうちの1人ですが、そういった気持ちがあると、我々凡人とプロ野球選手とがどれくらいかけ離れた、ずば抜けた存在であるかが身にしみてわかるわけでして、だからこそ、選手生活がいかなるものであったにせよ、「プロ野球選手」という肩書を手に入れた皆様方に対し、尊敬の念を抱かずにはいられないのです。

 

 次もNPBのチームに所属して選手生活を続けられる人も全く違う道を選択する人もおられますが、一度プロ野球選手という肩書を手に入れたという勲章を胸に抱き、誇り高い人生をこれからも送ってほしいと、切に願っております。

 

 

 

               ■

 

 

 

 今シーズン限りで戦力外通告を受けたベイスターズ関係の選手について、思う所のある選手について、ぼちぼち書き続けていこうと思います。

 

 

 

■黒羽根利規選手

 

www.sponichi.co.jp

 

 

 2017年に日本ハムに移籍した黒羽根選手が戦力外通告を受け、引退する事になりました。

 

 

 黒羽根選手は高卒でベイスターズに入団した当初から首脳陣の期待が高く、ファームの試合では彼がトッププロスペクト的な扱いで優先的に起用されていた時期が長かったと記憶しています。

 彼の入団2年目くらいの頃は一軍のキャッチャー陣に相川選手と鶴岡選手の盤石のツートップがいて、二軍にも新沼選手、武山選手、斉藤俊雄選手という錚々たる顔ぶれが揃っていました。

 この5人の先輩キャッチャー達は2020年現在全員がNPB球団でバッテリーコーチを務めていて、要するにそれだけ識見の高い先輩の壁がありながらもなお、首脳陣は彼に目をかけてファームのスタメンで積極的に起用されてきたという所に、期待の高さが伺えるのではないでしょうか。

 

 しかしながら、彼が首脳陣の期待に応えて自らの実力で1軍定着を果たしたかというと、なかなかそのようにはいきませんでした。

 

 先輩でレギュラーキャッチャーの相川選手がFAで移籍し、やはり先輩の鶴岡選手や武山選手や斉藤俊雄選手がトレードや人的補償で相次いでチームを離れた事から繰り上がるように地位が上がって、それに連れて一軍での出場機会を増やしていったと表現した方が正しいかもしれません。

 

 そうやって、いわば与えられるようにして出場機会を増やしていった黒羽根選手でしたが、結局レギュラーとして年間100試合以上マスクをかぶれたのは2014年の1回だけで、毎年数十試合程度とチャンスをたくさん与えられながらも、結局レギュラーに返り咲くこと無く、とうとう2016年には一度も一軍に呼ばれず、翌2017年のシーズン途中に日本ハムに移っていきました。

 

 

 黒羽根選手は身体能力が非常に高く、キャッチャーとして肩が強いのはもちろん、バッティングでも非常に強い打球を打てる選手でありましたが、傍から見ていて感じたのは気分の浮き沈みが激しく、それが特にバッティングに悪い影響を及ぼしているのだろうと僕は考えていました。

 

 守備の実力の高さは誰しもが認めるものの、バッティングで大スランプが何度もあって打率2割も残せないようではレギュラーを取るのは難しかったのです。

 

 

 課題がそこに見えているのに克服できない、実にもどかしい選手でありました。

 

 2016年に全く一軍に呼ばれなくなって、翌年も同じような状況でトレードが決まった時は、いつもならトレードされる時に感じるはずの寂しさが全くなく、むしろ「働ける場所が見つかって良かった」と、胸を撫で下ろすような気持ちになったのを、今でも昨日の事のように感じています。

 

 2016年2017年の全く一軍に上がれない暗闇のような状態で現役を退くのではなく、日本ハムで再チャレンジする機会を重ねた上でのこの度の戦力外通告は、必ずしも充分とは言えないものの、なかなか良い終わり方が出来たのではないか、という気がしています。

 

 

 かつて同じ釜の飯を食った先輩キャッチャー達のようにNPBのコーチとして再び帰って来られるように、BCリーグ栃木の皆様たちと切磋琢磨して、もう一回り立派になってくれればと思います。

 

 

 お疲れさまでした。

 

 

 

 ■百瀬大騎選手

 

www.sponichi.co.jp

 

 百瀬選手は高卒ルーキーの頃から特殊な能力を持っていました。初年度のイースタンの記録が打率.154なのに、出塁率は.325もあったのです。

 つまり彼は高卒1年目の時からヒットで出塁するより四死球で出塁する方が多いという、相当な選球眼の持ち主であったのです。

 

 しかしこのなかなか稀有な才能も首脳陣のウケがあまり宜しくなかったようで、2年目以降は、そこそこ選ぶものの、以前なら振らなかったボール球に手を出すようになり、2年目に打率こそ.198と微増させるものの、肝心の出塁率が.256と大幅ダウン、3年目も打率.154で出塁率.258、4年目以降もこの数字はほとんど代わり映えがしないまま、いよいよ戦力外通告に至ってしまいました。

 

 2019年には念願の1軍昇格と初出場を果たし、2020年の今年も数試合途中出場する機会を与えられましたが、首脳陣の目を引くような結果を残すには至りませんでした。

 

 彼は足が速くて肩も非常に強く、あとは打力さえついてくればと、6年間ずっと思い続けてきました。

 彼の体つきを見れば他の選手に負けないだけの厳しい練習を積み重ねてきただろう事は想像できました。

 

 2019年と今年の1軍昇格も、どちらかというと1軍昇格に見合う実力がついてきたから昇格させたというよりは、日々死物狂いで頑張っているのを首脳陣が評価して、いわばご褒美のような形での昇格だったのでは?と、僕は感じています。

 

 

 なぜ彼の打力は伸びなかったのか。練習の仕方が悪かったのか。考え方が悪かったのか。コーチの指導法が思わしくなかったのか。ラミレス監督のスタイルに合わせようと積極的に振りに行く方向転換が最後まで噛み合わなかったのか。

 

 近年は選手の見切りが異様に早いベイスターズが珍しく6年も辛抱して見守り続けた百瀬選手の陰の努力に思いを寄せながら、出来ればクリケットに挑戦して木村昇吾さんと山本武白志さんと一緒に頑張ってほしい、などと思ったりもする今日このごろなのでありました。

 

 

 お疲れ様でした。

 

 

 

 

続く 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

さようなら梶谷

 

 

 ベイスターズファームが「湘南シーレックス」と名乗るようになって3年ほど経った2003年頃から横須賀スタジアムに入り浸るようになった僕にとって、かつて湘南シーレックスのユニフォームを着てプレーしていた選手というのは、他の選手とは明らかに違う、ひときわ熱い、厚い、暑い、特別な思い入れがあります。

 

 

 その湘南シーレックスのユニフォームに袖を通した経験のある現役選手の多くが、今年はプロ野球生活の岐路に立たされました。

 

 

 良い出来事としては、ベテラン扱いされるようになった梶谷選手が首位打者を争うほどの大活躍を見せてくれたのが代表的で、その他には湘南シーレックス最後の年(2010年)に入団した国吉選手が自他ともに認める一軍の戦力として定着した、という事もありました。

 

 

 ただ、全般的には厳しい出来事の方が多く、DeNAベイスターズの初代キャプテンでもあった石川雄洋選手が一軍に一度も呼ばれる事無く戦力外通告を受け、梶谷選手と同じくらい下積み時代が長かった田中健二朗選手が故障の影響で育成契約となってしまったりしました。

 

 他球団に移籍したメンバーの中では、出世頭の筒香嘉智選手がアメリカで苦汁を舐め、日本ハムに移籍した黒羽根選手は戦力外通告を受けました。

 

 

 湘南シーレックス最後の年である2010年に高卒ルーキーとして新加入した筒香選手や国吉選手の世代が最も若くて29歳ですから、おのずとプロ野球選手生活の岐路に立ちやすいわけでして、成り行き上仕方が有りませんが、なにかこう、一つの歴史に幕が降ろされたかのような、寂しい気持ちを禁じえません。

 

 

                ■

 

 本題の梶谷選手のFA移籍について。

 

 

 プロ野球選手がFAで国内球団に移籍する場合、大雑把に大きく分けると2種類のケースが有ると考えています。

 

 一つは、より良い環境を求めるケースです。元の所属球団では優勝が望めない、とか、評価が不当に低いと感じる場合に移籍するのです。

 

 かつて三浦大輔さんがFAで阪神に移籍しようか迷ったのもそうでしょうし、内川聖一選手や村田修一選手が移籍した時もこのケースと言えるでしょう。

 

 

 もう一つは、元の所属球団に残っても近いうちに自分の居場所を失う可能性が高いと見込まれるケースです。

 

 ベイスターズで言えば金城さんがそうではないでしょうか。来季契約の下交渉でフロントから暗に戦力外を匂わせる言動をされ、このままでは選手生活が危ういと判断してのFA移籍でした。

 

 昨年オフにソフトバンクからロッテに移籍した福田秀平選手も、今年の日本シリーズでのソフトバンクホークスの戦力の充実ぶりを見る限り、残っていては自分の立場が危ういと判断してのFA移籍と見るのが妥当に思われます。

 

 

 では今回の梶谷選手のFA移籍がどちらなのかと言えば、僕は後者だと判断しています。

 

 

 梶谷選手の守備位置が外野手であり、レフトに首位打者でキャプテンの佐野選手がいて、ライトにはオースティン選手がいます。ですから梶谷選手の居場所はセンターにしか無いのですが、身体のあちこちに故障を抱えている梶谷選手にはいささか負担の重いポジションでもあります。

 

 その身体的に負担の重いセンターしか選択肢が無い現状に加えて、レギュラー争いのライバルに成長著しい期待の大砲細川選手が虎視眈々と控えていて、さらに神里選手や、捲土重来を期すかつてのレギュラー桑原選手もいれば、乙坂選手や関根選手だっていますし、身体能力に定評のある宮本秀明選手もいます。

 

 「うかうかしていられない」と危機感を募らせる段階はとうに過ぎていて、もはや選手生命の余命が何年か指折り数えねばならない段階に差し掛かっていたというのが現状なのではないでしょうか。

 

 そしてだからこそ、まだナンボか生きる道が残されていそうな巨人へのFA移籍を決断したのではないでしょうか。

 

 

                  ■ 

 

 

 湘南シーレックス最後の年である2010年の頃と比べた今のベイスターズは、クライマックスシリーズに出場するのが当たり前とされるくらいまずまず強いチームになりましたし、お客さんの数も比べ物にならないくらい増えました。

 

 当時は試合日にノープランで球場に行っても、ハマスタでもスカスタでもチケット売り場で秒でチケットを購入できてすぐに観客席へたどり着けたのに、今ではハマスタはもちろんスカスタですらチケットを買うのに行列に並ばなければならなくなりました。

 

 

 ただ、当時と今とでほとんど変わらない癖みたいなものがあって、チームに十数年所属した功労者と呼べるレベルの選手の扱いと言いましょうか、花道の作り方が、相変わらず下手くそであるという事であります。

 

 

 今年で言えば、石川雄洋選手の退団への流れは、まさにこの球団の悪い癖そのものでありましょう。

 

 特に人望が厚い事で知られる石川選手がああいった形でチームを去ることになったのは、梶谷選手のFA移籍になんらかの影響を及ぼしたのは間違い有りません。

 

 明日は我が身だと、ベイスターズの中堅選手の誰もが思ったのではないでしょうか。

 

 

 ベイスターズは強くなったしお客さんも増えたし球場もキレイになったし練習場も広くなったし、課題が次々と克服されています。

 

 だからこそ、今度こそは功労者の花道の作り方を改革改善しなければなりません。

 

 もしも改善ができないならば、それがファン離れの蟻の一穴となりうるんだと、重い覚悟を持たなければなりません。

 

 

 そして万が一石川雄洋選手が次の所属球団を得られなかったならば、必ず来春のオープン戦、それも梶谷選手のいる巨人を相手に横浜スタジアムで彼の引退試合を挙行して欲しいと、付け加えなければなりません。

 

 

                ■

 

 

 

 来年は三浦大輔監督率いる新生ベイスターズであります。

 

 何を隠そう、彼こそが湘南シーレックス選手で初のベイスターズ監督なのであります(NPB全体では工藤さんと中嶋聡さんがいる)。

 

 この新生ベイスターズの船出を快いものとするためにも、やれFA移籍で裏切っただのなんだのという恨みつらみを一切捨て、清々しい気持ちで来シーズンを迎えましょう!という感じで、締めくくりたいと思います。

 

 

 いつの日か、コーチとして彼が帰ってくるのを待ちわびながら。

 

 

 

以上