NPBが被災地のために出来ることは他にないだろうか
熊本県や大分県を襲ったこの度の大震災について、被災された方にお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになった犠牲者や犠牲者のご家族の皆様には哀悼の意を捧げたいと思います。
僕自身も九州にそれなりの関り合いを持って生きてきた人間ですから、一番最初の前震と呼ばれる地震が起きた時、NHKのニュース番組内で緊急地震速報を見たその時から今に至るまで、その全ての出来事を、あたかも自分自身に降りかかってきた災難であるかのように深刻に受け止め続けてきました。
被災者の皆々様には、どうかこの苦難に負けずに、心の底から笑い合える日々を取り戻していただきたいと切に願っている所です。
さて、長年に渡って多くの日本人に支えられてきたプロ野球界は、この度の大震災に対してどのような貢献をし、さらに今後どのような支援活動をできるだろうか、僕なりに改めて考えてきました。
まず、全ての球団の選手会が募金活動を行いました。選手会からも数百万円単位の募金を行ったとうかがっております。震災発生から間もない時期で打てる手立てとしては非常に正しいと思いますし、賛同申し上げます。
その上で、もう一つ向こう側に踏み込んだ支援活動を行うべきではなかろうかと、僕は考えています。
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この度の大震災で被災された方の多くは学校の体育館のような避難所で雑魚寝同然の生活を送る場合や、マイカーで車中泊をされている場合が非常に多いと聞いています。政府や自治体、自衛隊に警察に消防に、その他多数の公共機関の職員の方々が環境の改善に向けて大変なご努力を重ねていることとは思いますが、しかし、今のところはあまり文化的な暮らしとは言えないのも事実であります。
ですからその環境改善の一助となるべく、NPBやオーナー会議や選手会などが手を携えて、避難所に野球中継を楽しめる街頭テレビのようなものを設置させていただいてはどうでしょうか。
とても辛いことばかりが続く日々ではあるでしょうが、その中で少しでも気分を紛らわせるために娯楽が必要です。
ですが、避難所や車中泊で見られるテレビはワンセグ放送が関の山でしょうし、ワンセグ放送では野球中継がほとんど行われておりませんので、NPBの負担でスカパーなどの設備を一式揃えて、大人も子供も一緒になって野球中継をご覧になって下さいと、ご奉仕する事ができるのではないでしょうか。
この度の大震災について多くのプロ野球選手が「一生懸命プレーする事で被災地に勇気を与えたい」という趣旨の発言をしておりますが、見たくても見られない被災者に「一生懸命のプレーで勇気を与える」事は出来ないわけでありまして、それは行動で示していく必要があるのではないでしょうか。
街頭テレビの設置でご奉仕するのと同時に、お酒やおつまみのご用意をさせていただく事も一考ではないでしょうか。最近は千葉マリンスタジアムの「乾杯ガールズ」が一部で話題になったりもしておりますので、彼女たちの力添えをいただく事も良いのではないでしょうか。
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被災者の中には子供たちも含まれています。遊びたい盛りの子供たちが狭い避難所で窮屈な思いをしているのを想像するだけでも、とても忍びない気持ちになります。
ですから、子供たちにも娯楽を提供する必要があります。
そこで僕がぱっと思いついたのが、昔の子供たちの間で盛んに行われていたプラスチック製のカラーバットとゴム製の柔らかいカラーボールによるカラーバット野球です。
この道具一式をご用意し、さらに、最近はどの球団にも必ずいるプロ野球OBの少年野球指導員を派遣して、子供たちとカラーバット野球を楽しんでみてはどうでしょうか。
また、女の子にカラーバット野球はちょっと、という意見があるかもしれませんので、バトミントンの道具も用意させていただいてはどうでしょうか。
カラーバット野球であればそれほど広い場所を必要としませんし、ぶつかっても怪我をするほど重くも固くもありませんので、手軽な娯楽としてはもってこいだと思います。そこにプロ野球選手OBが帯同すれば大人の方々にも喜んでいただけるでしょうから、一石二鳥ではないでしょうか。
カラーバット野球に夢中になっている間くらいは嫌なことを忘れられるかもしれませんし、体を動かすことはストレスの解消に効果がありますので、こういう支援があっても良いのではないでしょうか。
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大地震というとても恐ろしい災難は、近年では10年弱に1回位のペースで日本のどこかに降り掛かってくる状況ですから、横浜に住んでいる僕にも無関係であるはずがありません。
だいたい大正12年の関東大震災は震源が横浜沖とか小田原沖とか、今の僕にとってみれば目と鼻の先にあったわけで、いつか僕のもとにも来ると考えるほうがむしろ正しい認識といえます。
そして、だからこそ他所で発生した大地震についても我が事のように捉え、そして支援していく必要があるのだと思います。困ったときはお互い様の精神は、自らも動くからこそ成り立つものです。
プロ野球が被災者に勇気を与えることは、たぶん本当に出来るのだろうと思いますので、勇気を現地にお届けするためにも、もう一歩踏み込んだ支援を検討していただきたいと、そのように考えている所です。
以上