正力松太郎賞という滑稽な賞
賞になっているくらいですから、正力松太郎さんというのはさぞかし立派な方なのだろうと思われる方も多いかもしれません。ですが、果たしてどうなのでしょうか。
関東大震災の折には、当時内務官僚として警視庁官房主事を務めていた正力松太郎さんが「朝鮮人が暴動を起こしたり井戸に毒を投げ込んだりしている」という酷い流言飛語の発信源となり、その後に発生した数々の虐殺事件の引き金を引いた張本人であるとされています。
戦時中、既に内務官僚を辞めて巨人軍のオーナーになっていた正力さんは、二度の徴兵で傷ついた沢村栄治さんを冷酷無比に解雇しました。自分から「一生面倒見る」と説き伏せておきながら、にも関わらず。
戦後は、経営する読売新聞社を通じて日米開戦を煽った責任を問われてA級戦犯指名を受けるも朝鮮半島の情勢不安の影響から訴追を免れ、そこからの縁でアメリカCIAのスパイとなって個人コードネームまで与えられるようになりました。
原発や野球の普及啓蒙に取り組んだのも、それがアメリカの意向を汲んでのものであったからです。
ですから僕は、この人に「巨人軍は紳士たれ」などと言って欲しくないなと思っていましたし、こんな人の名前が冠された賞をありがたがる人の気持ちも、まったく理解できないものだな、と考えてきました。
「そんなに堅苦しいことを言うなよ」と思われるかもしれませんけど、どうにも解せない話だなと、そのように考えている次第です。
以上