ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

ベイスターズはMBAに潰される

 一昔前に「MBA」なる言葉が流行したのをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。経営学の資格のようなもので、日米の大学等に何年か通って履修する場合と数週間の短期講習を受けて履修する場合があるようですが、それによって経営の合理化やマーケティングなどを習得し、企業経営に役立てようとするブームが起きたわけです。

 しかしそれは、少なくとも日本国内においては一過性のブームとしてあっという間に忘れ去られる運命にありました。なぜ一過性のブームで終わってしまったかと言えば、履修した経営者たちのその後があまりに悲惨だったからです。

 わかりやすい事例が日本マクドナルドではないでしょうか。創業者の藤田田さんから経営を引き継いだ原田泳幸さんはアメリカのハーバード・ビジネス・スクールで学んだMBAのノウハウをフルに活かし、一時はマクドナルドの経営が大幅に改善して救世主ともてはやされたのでありますが、あっという間にメッキが剥がれ落ち、そして現在のマクドナルドの体たらくに至る運命となったのであります。

 マクドナルドがダメになった理由は様々あるでしょうが、その一つは原田泳幸さんが推し進めた店舗のフランチャイズ化にあると言われています。ざっくり言えば店舗運営の外注化を推し進めてコストの削減を図ったものの、店舗のクオリティを維持できず、荒みきってしまったのです。

 一昔前のMBAブームの頃は日本マクドナルドのようないかにもMBA的な経営手法が日本の大企業で次々取り入れられて話題になりましたが、だいたいどの場合もうまく行かず、企業を存亡の淵に追い込む形となりました。

 日本を代表する電機メーカーのソニーMBA的な経営の合理化を推し進めた結果、コアとなる事業が全く育たずにジリ貧に陥ってしまいました。元々のポテンシャルは相当高いものがありながら、経営陣が短期的な収益改善に目を奪われて、ポテンシャルを腐らせてしまったわけです。

 全部が全部そうであると結論づけるのは早計でしょうが、さはさりながら、こと我が国においてMBA的な経営は企業の将来性を奪い、中長期的な成長力を損なうものであるという評価が妥当。僕はそのように考えています。

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 さてさて、ようやく本題のベイスターズの話に入りますが、ベイスターズのオーナーである南場智子さんもまた、アメリカのハーバード大学にてMBAを履修し、そのノウハウによって企業経営を続けてきた経営者の一人であります。

 彼女が立ち上げたDeNAは、いわゆる出会い系サイトとして名高いモバゲータウンと、それに付随する携帯電話向けゲームによってその成長を成し遂げてまいりました。南場智子さん自身は企業コンサルティング会社のマッキンゼー出身で、IT畑ではないため、あくまで経営者として、実務は技術者に委ねる格好で、数字だけを追い求めて、そしてここまでのし上がってきたと見ることが出来ます。

 南場智子さん率いるDeNAは、ある意味したたかに成長し続けた会社であります。2000年代中頃から急速に普及が広まったSNSの分野で国内トップの座にあったミクシィの向こうを張り、モバゲータウンでは未成年の利用者を多く囲い込むことに成功しました。

 モバゲータウンはその特性から援助交際の温床と批判された時期もありましたが、大きな騒動になる前に適度なガス抜きをすることに成功しました。携帯電話向けゲームではゲームを制作するゲーム製作会社を下請け化し、何度となくトラブルを繰り返しながらも常に潤沢に新作ゲームを投入できる体制を整えました。「コンプガチャ」騒動で批判の矢面に立たされた時は同業他社と共同で役人の天下り団体を設け、さらにテレビCMを大量投下する事で政府やマスコミを懐柔することにも成功しました。

 要するにDeNAの持つ強みとはそのしたたかさにあるわけで、逆に何かこれといった技術力や販売展開力を持つわけではないのであります。また、技術力や販売展開力を軽視し、常に短期的な収益を追い求める企業構造を作り上げてきました。

 この強みであり弱みでもある部分が、やがてDeNAの成長を鈍化させる要因となりました。

 なにか新しいコンテンツを創出する能力に欠けるため、立ち上げる新規事業IP電話サービスや遺伝子検査サービス、最近では自動運転車にも手を広げるとアナウンスが有りました。しかしそのどれもが他社の二番煎じの繰り返しであり、結局はどれもめぼしい成果を上げるには至らず、2年前に始めたばかりのIP電話サービス「comm」は早くも今春に完全撤退してしまいました。

 ベイスターズもまた、IP電話や遺伝子検査と同じように、さしたる成果も挙げられないまま、ただ闇雲に時間だけが過ぎ去っていこうとしています。

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 親会社がDeNAになってからベイスターズが弱いままなのはなぜかと言えば、これはDeNAの企業体質がそのまま現れていると言っても過言ではありません。

 要するにベイスターズは新たなモバゲータウンなのであります。所詮は子供向け、所詮は携帯電話向けですから、クオリティでプレイステーション任天堂wiiを上回ろうという気概はそもそも持っておらず、フェイスブックミクシィのように高機能化する考えも無いのであります。知恵を使って強くした所で、それが収益にどう結びつくのかが見えないかぎり、チーム強化のプライオリティは二の次三の次なのであります。

DeNAオーナー 最下位でも中畑監督続投「年々強くなっている」

http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2015/09/15/kiji/K20150915011134300.html

 マクドナルドの原田泳幸さんが店舗のクオリティを蔑ろにしたのと同じで、DeNAの南場さんもチームが強くなろうとなかろうと、それ自体さほど重要ではないのです。

 むしろ重要なのは、監督がいかに忠実な傀儡でい続けられるかという事です。親会社やフロントに対する忠誠心の高さは12球団の監督の中でベイスターズの中畑監督がナンバー1ですから、この事を高く評価するがゆえの年俸1億円だと言えるのです。

 ですが、やはりベイスターズを愛するものとして由々しき事態であると言わざるを得ません。このままではベイスターズマクドナルドになってしまいます。破れたシートがそのまま放置されるかガムテープで補強されるような、そういうテイストのチームに成り下がってしまうわけです。

 これは由々しき問題であります。

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 僕の見通しでは、あと4~5年もすればDeNAベイスターズを手放すであろうと考えています。

 そもそもの経営環境が厳しい上に、これからはインターネット広告の世界が欧米並みに厳しく規制される運びですから、この厳しい波に抗えないだろうと見ているのです。

 これまで我が国ではインターネット広告の規制がほとんど行われないままでした。「ステマ」が問題になったのをご存じの方も多いと思いますが、これは今でも続けられています。つい先日も僕が経営している会社に「モ○○ラ」からステマしませんかの勧誘が来たばかりであります。

 ですが、ウェブの世界はマイクロソフトWindowsとグーグルのAndroidAppleIOSといったアメリカ勢に独占されておりますから、いくら日本国内が緩かろうと、この3つのオペレーションシステムによって日本中もろとも規制が強化され、ウェブで飯が食えない時代が早晩到来するのが確実の情勢です。

 ですからDeNAは保たない、と見ているのであります。

 僕は我慢強い男ですから、それくらいまでの間は苦汁をなめながらもベイスターズファンを続ける自信がありますけれども、皆様はいかがでしょうか。

 DeNAが心を改めてくれるのが一番嬉しいのですけれども、今後のベイスターズも「失われたウン十年」を続けるだろうなぁと、そんな事を南場オーナーの発言から読み取ってクラクラしている僕であります。

 そういったわけで、目先の勝敗にヤキモキする位ならいっそのこと1軍なんか見捨てて2軍の方を中心に見るのが精神衛生上好ましいのではないでしょうかとお勧めして、僕の長ったらしい愚痴を終えたいと思います。

以上