ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

BCリーグ開幕2連戦 群馬ダイヤモンドペガサス対武蔵ヒートベアーズを見に行ってきました

 11日(土)12日(日)の2日間を使い、かねてから興味を持っていたBCリーグの試合を初観戦してきました。11日のプレイボールが昼の12時と早くに予定されていたので念の為、前日金曜日の夜のうちに前橋に到着し万全を期しました。前日の強い雨の影響で試合開始が1時間遅れにはなったものの、無事試合が行われて一安心といった所です。

 今回はガラケーで撮った写真を散りばめながら、多少観光記めいた内容も踏まえつつ書いてみたいと思います。

■4月11日(土)武蔵ヒートベアーズVS群馬ダイヤモンドペガサス敷島球場

 試合が行われた敷島球場の雰囲気はこんな感じです。

 地方球場には珍しく、外野席までしっかりと作りこまれています。どうやら3万人程度の収容人員があるそうで、外野席専用の出入口なども用意されています。設備は充実しており、スコアボードにはオーロラビジョンがあります。極めつけはトイレです。とてもキレイで、まるで新しいショッピングセンターのトイレのような快適さでした。トイレの清潔さにはこだわりのある僕も大満足です。

 ただし残念なのはグラウンドの基本性能とでも言いましょうか。内野の水はけが極めて悪く、日焼けしそうな天候になった朝10時から午後3時くらいまで、これだけの快晴にもかかわらずグラウンドは泥んこのまま、ファールゾーンに至っては沼のような状態を保っていました。外野の芝生は所々芝枯れしていて、某在京NPB球団のスカウトの人の立ち話の内容によれば、外野はボコボコでとても厳しいとの事でした。外側ばかりお金を使って肝心のグラウンドがこれでは、画竜点睛を欠くという事ではないでしょうか。

 球場周辺はとても雰囲気の良い公園になっていてちょうど桜が満開、Jリーグの正田醤油スタジアム群馬も隣接しているようです。

 駅から遠いのでクルマやバスの利用が必須ですが、駐車場の案内が異様にわかりづらい事とバスの運行状況がよくわからない等、肝心のアクセス面も改善すべき課題が山積みのようです。

 それでは肝心の試合に向かいます。

 記念すべき開幕戦、そして新球団武蔵ヒートベアーズの記念すべき最初の公式戦でございます。試合前にはセレモニーが行われ、群馬ダイヤモンドペガサスアレックス・ラミレスSDが群馬観光大使に任命される式典も行われました。

 ラミレスSDは試合前に様々な人々と通訳を介さずに歓談していたようです。武蔵ヒートベアーズのベンチに出向いた際には小林宏之コーチ(元西武)と抱き合って再会を喜ぶ場面も見られました。

 ちなみに写真の右奥にいる謎のカッパは「ラミッパ」という、いまいち立ち位置のよくわからないゆるキャラのようです。この開幕戦には群馬県ゆるキャラ「ぐんまちゃん」とダイヤモンドペガサスのゆるキャラ球馬ちゃん」もいて子供連れには喜ばれそうな雰囲気でしたけれども、子供連れは数えるほどしかおらず、ゆるキャラの力があまり活かされませんでした。

 それでは試合について触れますが、スタメンはご覧のとおりです。DH制が採用されており、この日の両チームスタメンでNPB出身者は武蔵の角晃多選手(元ロッテ)と群馬の八木選手(元ソフトバンク)のみとなっています。

 まずはピッチャーについてですが、群馬の先発町田投手は、さすがは王者群馬ダイヤモンドペガサス開幕投手だけあって立ち上がりからストライクをバンバン決めて絶好調のスタートです。バックネット裏に陣取るスカウト陣もスピードガンを10本くらい並べて一斉にチェックを始めるなど、相当な注目株であると見受けられます。

 球場表示のスピードガンでは最速138キロ程度でしたが、もう5キロほど出ていたのではないでしょうか。ストレートの他に緩いカーブと落ちるボール、球速からしておそらくフォークだろうと思いますが、このへんを組み合わせてのピッチングです。ストレートを投げる時と変化球を投げるときのフォームが全く変わらず相手打線がタイミングを取るのに苦しんでいました。変化球のコントロールに若干の課題を残すようですが、結局9回を投げ切って完封勝利となりました。

 一方の武蔵の先発ピッチャー篠田選手は立ち上がりこそ上々だったものの、群馬打線が一回りしたあたりから急にコントロールを乱し始め、やがて連打を浴びるなどして敗戦投手となりました。リリーフで登板したピッチャーの印象もそれほど残るものはありませんでした。

 野手については、群馬打線は体格の良いバッターが非常に多く目につきました。太っているのではなく、ゴツイ体をしているのです。これは日頃のハードなトレーニングとしっかりとした食生活を送っている現れだと思います。その成果もあってか、どのバッターも打球が速いなと驚かされました。

 その中で特に目を引いたのが3番セカンドでスタメン出場の茂原選手です。地元群馬の出身らしくファンからも人気のようです。バッティングは非常にシャープかつ長打力もあるようで、この日も右中間スタンドにライナー性で飛び込むホームランを打ちました。タイプ的には日ハムの佐藤選手やヤクルトの武内選手を彷彿とさせますが、セカンドの守備も軽快にこなせる器用さもありましたので、今秋のNPBドラフトで支配下でお声がかかっても何ら不思議ではない人だと思います。

 一方の武蔵の野手陣については、さすがに最初の公式戦とあって苦しい戦いを強いられました。群馬の野手と比べて華奢な身体つきの選手が多く、打球が外野手の頭を超えるようなシーンは見られませんでした。守る方でも外野の守備力が劣っていて、後方に飛ぶ大飛球の追いかけ方は高校野球の3回戦くらいのレベルだったように思います。

 まだまだ戦力的に整わないでしょうし、守備位置で不慣れな場所を守っている選手も少なくないのだろうと思いますが、こればっかりは練習の積み重ねでカバーして貰う他ありません。

 というわけで群馬ダイヤモンドペガサスの圧勝で幕を閉じられました。

■4月12日(日)武蔵ヒートベアーズVS群馬ダイヤモンドペガサス(伊勢崎球場)

 第二戦目が行われた伊勢崎球場はこんな感じです。

 前日の敷島球場がハイグレードだったので直接比較してしまうのは酷というもの。こちらが標準的な地方球場だと思います。スコアボードもオーソドックスでスピードガン表示もありません。ブルペンは1塁側3塁側のファールグラウンドに用意されるタイプです。これが普通なのだと思います。

 球場周辺は遊園地や庭園があります。観覧車や絶叫マシン的なものがあります。天気の良い日曜日とあってかなり賑わっていたようです。「華蔵寺花まつり」という、たぶんお釈迦様の誕生日を記念したイベントが行われていたのも賑わいの理由かもしれません。

 公共の無料駐車場があちこちに点在していて非常にわかりづらいなというのと、やはり最寄り駅からの公共交通機関がわかりやすい形で用意されるべきだなという印象を持ちました。

 それではスターティングメンバーです。

 前日と違うのは先発ピッチャーと武蔵の4番打者といった所でしょうか。

 まずは群馬の先発である堤選手についてですが、見た感じでは球質の重たそうな球をドスンドスンと投げ込むタイプです。最初の3イニングは順調に立ち上がりましたが、4回にバッテリーミスで武蔵のチーム創設初得点を与えると、5回に被安打や味方の守乱で3失点、計4失点で負け投手となりました。不運な面もあったと思いますし、今年の初登板という影響もあったのではないでしょうか。タイプ的にはリリーフ向きな気がします。

 一方の武蔵の先発は左腕の中村選手。先制点を与えるも我慢強いピッチングだったと思います。特別凄みを感じるピッチャーではありませんでしたが、我慢の力投が功を奏して武蔵ヒートベアーズに創設初勝利をプレゼントしました。

 群馬の野手陣についてですが、守備のミスがいくつか目につきました。前日に引き続きバットで大活躍の茂原選手もなんでもないセカンドゴロをお手玉してしまい、後の失点に結びつけてしまいました。グラウンドコンディションは昨日よりはるかに良かったと思いますが、焦りもあったのでしょうか。

 一方の武蔵の野手陣は昨日とは打って変わって気迫がみなぎり、相手のバッテリーミスで初得点を上げてからいっぺんにムードが上昇した印象を受けました。相変わらず守備の問題は見られましたが、それでも相手に逆転を許さなかったのは、絶対勝つぞというチームの雰囲気によるものではないでしょうか。

 そして群馬のリリーフ陣についてですが、6回から待ちに待った伊藤拓郎選手がマウンドに上がりました。球場の雰囲気は特別ヒートアップする感じではありませんでしたが、僕だけヒートアップして盛大な拍手で伊藤選手を歓迎しました。その伊藤選手、さすがNPBで高卒1年目から1軍のマウンドに上がっていただけあって、1人だけ別格のピッチングです。ストレートで圧倒し、スライダーで相手打者のキリキリ舞いさせました。ちょうど相手の4番ロドリゲス選手からの巡り合わせでしたが、圧巻の三者三振で切って取りました。もしもベイスターズが彼を戦力外にしなければ、きっと今頃はベイスターズの1軍でセットアッパーを務めていたことでありましょう。それくらい素晴らしいピッチングでした。続く7回もマウンドに上がってヒットを1本許したものの無失点で切り抜け、伊藤拓郎ここにありと見せつけました。

 その後は元ベイスターズのソト選手や元ソフトバンクのロメロ選手もマウンドに上がり、しっかり役目を果たしました。ソト選手のピッチングフォームは昨年から変わりなく安心しました。

 武蔵のリリーフ陣は、これはなかなか面白い存在が現れました。2番手で登板した矢島選手は見るからに「炎のストッパー」という雰囲気を漂わせる人で、放ったボールがキャッチャーミットを叩きつける音も強烈そのものです。相手打者にバットに当てられるものの、バットを折るか差し込まれた当たりで切って取るかで、パワーピッチャーだなと感じました。リリーフ向きだと思いますが、NPBでも活躍できるのではないでしょうか。

 抑えとして4番手で登板した三ツ間選手も右のスリークォーター気味から投げるボールが非常に力強く、相手打線を力でねじ伏せていました。群馬打線はパワーでは引けをとらない選手が揃っている印象ですが、全く力負けしない圧巻のピッチングで武蔵の創設初勝利を手繰り寄せました。こちらもNPBで活躍できる雰囲気があります。

 というわけで新球団武蔵ヒートベアーズの感動的な初勝利となりました。

 前日の敷島球場の試合でもそうでしたが、BCリーグは試合前と試合後に全選手監督コーチがライン上に整列して、お客様と相手チームにそれぞれお辞儀をする決まりがあるようです。高校野球の試合のようですが、これは非常に良い取り組みだと思います。

 2試合目のプレー中には群馬の4番井野口選手が放った3塁方向へのライナーが群馬の高橋雅裕ベースコーチの右太ももに直撃するアクシデントがあったのですが、なんとその時武蔵の選手がコールドスプレーを持って高橋コーチの元に駆けつけるシーンも見られました。群馬のトラブルだから群馬のトレーナーが出てくるのが当たり前とおもいきや、ここではそうではないらしいのです。

 NPBでは相手は相手、こちらはこちらと別れてやるのが当たり前ですけれども、BCリーグではつまらない垣根を取り払って、それぞれが助けあったり励まし合ったりする風土が熟成されているのだと思います。これは実に素晴らしいと感動したので、ついついご報告したくなりました。

 

■応援について

 群馬ダイヤモンドペガサスは創設から8年目のシーズンということもあってか、公式応援団がNPBの応援団と同じように応援をリードしています。雰囲気的にはファイターズ鎌ヶ谷応援団のそれと似ています。

 ラッキーセブンの攻撃前には球団の応援歌が流れる、のかと思いきや、なぜか伝説の野球アニメ「タッチ」のテーマソングが流されました。「タッチ!タッチ!ここにタッチ!」のあの有名な曲です。僕が子供の頃は卑猥な替え歌にして歌うのが流行ったものでしたが、球場内で流れている間にあんまり盛り上がっている感じは見られませんでした。

 武蔵の応援団は、2試合目の伊勢崎球場の試合に赤い法被を着た2人の男性が一生懸命応援されていました。この人達が応援団なのかもしれません。1試合目の時は応援団はおろか、目に見えて武蔵を応援していると思われる人がパラパラと数えるほどしかおらず、新球団の厳しさみたいなものを感じました。

 BCリーグは福島から福井まで結構な移動距離がありますが、その中にあって群馬と埼玉は隣接していて比較的近い方であり、今後お客さんが増えてくれば応援に熱が入ってくるであろうと期待されます。

 なお、球団公式ソングみたいなものは既にあるようで、敷島球場と伊勢崎球場のラッキーセブンの攻撃前にそれぞれ流されていました。

                    ■

 なにぶん初めて行ったもので驚きや感動が色々とあって、大変有意義な時を過ごすことが出来ました。今年は埼玉に新球団が出来ましたので、以前と比べて格段に見に行きやすくなりました。次は秦選手がプレーする富山サンダーバーズの試合なども見に行ってみたいと思います。

 もっと勉強や観戦を重ねて、皆さんとも是非ともBCリーグの魅力を分かち合えるようになりたいものですね。

以上