ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

技巧派ピッチャーは野球の華

 痔の苦しみと戦いながら暮らしている僕ですが皆様こんばんは。初めて痔を患ってから10年以上になりますが、あれから年に1度の恒例行事としてこの苦しみと戦い続けております。皆様も硬い便にはくれぐれもご注意下さいますよう、余計なお世話ではありますが申し上げたいと思います。

 それはさておき、昨年一昨年とベイスターズ1軍の先発ローテで重要な役割を担い続けてきた藤井秀悟選手が現役を引退する運びとなりました。自ら決意しての引退ではなく、戦力外通告を受け、NPB球団からのオファーも無かったためやむを得ず引退を決意した格好です。

 藤井選手がブログで自ら仰っている通り、まだ1軍で活躍できる実力があると思えるだけに、尚更残念でなりません。

 今シーズンのベイスターズの先発投手陣は例年になく潤沢な顔ぶれでありました。久保選手と井納選手が二桁勝利を挙げ、モスコーソ選手と山口選手もあと一歩で二桁勝利に手が届く活躍をしてくれました。大ベテランの三浦選手も健在で、開幕投手の三嶋投手もシーズンの最後に復活を予感させる好投を見せてくれました。

 ですから、チームの皮算用として来季の先発投手陣に藤井選手が食い込む余地がないと判断されたのかもしれません。しかしながら、その皮算用はうまくいくよりもうまくいかない可能性の方が高いと、多少厚めの危機管理をしておく事も必要だったのではと、そして、そこに経験豊富な藤井選手を残す意味があったのではと、そのように残念に感じる次第です。

 鶴岡選手流出後のキャッチャー陣の有り様をつい最近目の当たりにしたばかりですから、バックアップ要員の重要性を忘れるわけにはいきません。

 さて、藤井選手といえばMAXでも140キロに満たない速球と熟練の投球術で魅せてくれた投手です。投手というと日ハム大谷選手のような160キロ近い豪速球を投げる投手にばかり注目が行きがちですが、素人目に見ても「なぜこれで抑えられるのかよくわからない」と首をひねるような緩いボールで相手打線を手玉に取る投手というのも野球の醍醐味の一つです。3ボール2ストライクで最後になんでもないようなストレートを外角低めに投げ、それで見逃し三振に切って取るシーンは、なんとも言えない爽快感があります。相撲で小兵が巨漢力士を倒すときと似たような、まさにしてやったり、柔よく剛を制す場面ではないでしょうか。

 しかしながら、最近のベイスターズはMAXで140キロを超えないような投手が非常に厳しい立場に立たされています。

 今回の藤井選手もそうですし、筒香選手と同期入団の大型左腕の眞下選手もそうですし、楽天への移籍が決まった藤江選手も140キロを超えない時がしばしば見られるピッチャーです。誰が投手起用を決めているのか今日は触れませんが、このような技巧派とか軟投派と呼ばれるタイプの投手がフェードアウトさせられ、速球を武器とする投手ばかりが居並ぶようになって、あまり代わり映えがしなくなりました。

 野球の試合はシーズン中ともなれば毎日のように繰り返されるわけでして、例えば1カード3連戦の先発投手が3人共速球を武器にするようなタイプで並んでしまうと、さすがに相手打線の目も慣れてきて、打ち易さみたいなものが生まれるのではないでしょうか。

【フルマーク】久保、4年ぶりの完封でリーグ最多の12勝目/ヤクルト戦から

http://www.kanaloco.jp/article/77422/cms_id/100669

 この記事の中で久保投手の「「あすのことも考えて全打席でつぶしておきたかった」と言った。」というコメントが載せられています。1日1試合だけを考えるのではなく、相手打線のリズムを崩し次の日以降の投手が投げやすい環境を作るという久保投手の高度な戦術が示されています。実際この次の試合で山口選手も好投してみせているだけに、相手打線を次の日以降も苦しませ続ける特殊な投球術を念頭に置く必要性を強く感じるのです。

 来シーズンも今シーズン同等かそれ以上に首脳陣の皮算用通り自前の先発投手陣でスイスイ勝ち星を稼いでくれさえすれば僕は何の不満もありませんが、先発としてコンスタントに実績を残してきたのが久保選手ただ一人だけというのがいかにも心配なだけに、このような1日1試合だけを考えるのではない、中長期的視点から藤井選手のような軟投派投手の積極登用があって然るべきではなかっただろうかと、いまさら遅いですけれども、そのように感じている所です。

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 さてさて、僕が現役プロ野球選手の中でも至高の軟投派投手だと考えているのが西武の牧田選手です。

 牧田選手はWBCの代表にも選ばれる、今では球界を代表する名投手としてその地位を確固たるものとしていますが、テレビで投球を見ていて一番面白いのも牧田投手です。西武でアンダースローといえば松沼兄やん選手ですが、かつてパリーグ各球団に示し合わせたかのように1人づつ存在したアンダースロー投手の伝統を今でも守りぬいている稀有な人でもあります。

 まずもって、なぜあんな不可思議な投球フォームで投げるのか。なんとも昭和の野球漫画のようです。ドカベンの里中投手のようです。セオリー通りの野球も悪くはないですが、アンダースローとかトルネード投法とか、思わず子供が真似をしたくなるような奇っ怪な投球フォームで、それでいてしっかりと結果を残すのですから、こんな素晴らしい選手はおりません。

 忘れてはならないのが、我らが神奈川県が産んだレジェンドスター山本昌選手です。年齢ばかり注目されますが、あの僅かな登板機会できっちり1勝を挙げたのですから評価されて然るべきです。我が軍には何度も先発の機会をもらいながら1勝も出来なかった某選手もいるくらいですので、これは相当な差があります。

 山本昌選手の投球も思わず食い入るように見入ってしまう独特な味わいがあります。このご時世に、独特な味わいを醸し出す投手が一体何人いるというのでしょうか。色々と議論を呼ぶことの多い中日落合GMですが、山本昌選手を辞めさせないのは本当にグッジョブ!と言いたい所です。

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 我らがベイスターズの本拠地である横浜スタジアムは、今では12球団で最も狭い、バッターズフィールドなどと呼ばれる球場であります。アメリカ帰りの某投手はホームランを打たれて「ハマスタでなければ入らなかった」と言い訳めいたことを口にして非難を浴びましたが、まぁ確かに技巧派投手にとって厳しい球場ではあろうかと思います。

 しかしながら、1年のうちで半分は余所様の広い球場で試合をすることを忘れてはなりません。余所様の広い球場で試合をするにあたって必要なのは、長打を打たれにくい球威あるストレートよりも、確実にストライクを稼ぐ制球力ではないでしょうか。そしてそうであるならば、こういった球場で行われる試合こそ、あまり無駄な与四球を出さない技巧派投手の活かし所ではないでしょうか。

 僕はむやみやたらと球の速さばかり強調したり評価したりする傾向みたいなものが、どうにも野球の質の退化のように思えてならないのです。軟投派とか技巧派投手の凄みは、確かに言葉ではうまく伝わりづらいものがあります。

 しかし、そうであるからこそ、見て味わえ!と、球場への来場を促したり、有料放送の加入を促すのにうってつけの存在ではないでしょうか。かつてカープナックルボーラーが入団した時はハマスタのSS指定を買ってまで間近で見ようとしたものですが、そうやって球団の売上拡大に充分寄与するのが軟投派、技巧派投手であると強く訴えたいのです。

 今日はお約束の監督批判までは致しませんけれども、もうちょっと技巧派とか軟投派投手の活用法を深く見出してくれないものかと、そのように申し上げる次第であります。

以上