ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

前途ある若者の芽を摘む醜い大人たち

 今日はベイスターズとの契約を今季限りで打ち切りとされる、いわゆる戦力外通告を宣告された選手の発表がありました。中村ノリ選手のようなビッグネームから、ファーム公式戦に数試合出た程度の無名選手まで、総勢12名の選手の名前があがりました。

 それぞれの選手については後日改めて丁寧に書くこととして、今日の戦力外通告の発表を受けて、まずもって腸が煮えくり返るような激しい憤りを感じましたので、その思いをぶちまけたいと思います。

 さて、本日発表された12名のうちで高卒3年目の選手が4名も含まれている事にお気づきの方も多いと思います。この4名はいずれも支配下ドラフトで指名され、うち2名は3年間を支配下選手として過ごし、あとの2名が2年目と3年目を育成選手に契約を切り替えられて選手生活を過ごしてまいりました。

 4名の選手としての足跡は三者三様でしたが、いずれの選手もすぐに1軍で活躍することを望まれての入団というよりも、まずは体力作りであるとかフォーム固めであるとか、プロとしての土台作りを時間をかけてこなしながら、ゆくゆくは1軍の舞台で活躍して欲しいという願いを込めてのドラフト指名だったと思います。

 しかし、この年はチームにとって親会社がDeNAと変わる大規模な改編期にあたった事で、ドラフト指名の際の首脳陣やフロントとの間の意思の継承みたいなものがスムーズさを欠いた印象が否めませんでした。

 そのせいか、まだ入団して1年しか経っていない選手が手続きも不充分な中でドタバタと育成選手に切り替えられてしまったり、ただただ大人の事情に翻弄され続けながら、気付けばあっという間に3年間が過ぎ去ってしまった。そういう事だったと思います。

 そして、なんだかわからないうちに、念願のプロ野球選手の座を剥奪されるに至ったわけです。

 プロ野球選手は個人事業主だから、成績を挙げられなければ自己責任で解雇もやむなし。そう仰られる方も少なくありませんが、それは成熟した大人社会だからこそ通じる理屈であって、まだ年端もいかない17歳18歳の若者に急な判断を迫って、挙句の果てに3年でポイ捨てとは、あまりに無責任ではないでしょうか。それが、責任ある大人が未成年から20歳になったばかりの半分子供みたいな若者に対してとるべき態度でしょうか。

 これがもし自分の家族に対して行われた対応だとするならば、心中穏やかでいられるでしょうか。

 野球選手にとって18歳からの3年間がどれほど重要な意味を持つか。それは野球人なら誰しも理解しているだろうと思います。この大切な3年間を預かって、きちんと試合に出られるだけの指導をするのはもちろん、まだまだ社会人としての常識も不充分な時期だからこそ、親代わりになって日常生活を厳しく指導する位の事がこれくらいの選手を預かるチームにとって最低限求められる挟持です。

 日ハムの栗山監督は大谷翔平選手に門限を課したりするのを「親御さんから大切な子供を預かっているのだから当然」と言っておられます。「プロ野球選手は自己責任」で突き放すのは、預かる大人の側の責任放棄に他ならないのです。

 この若者たちを預かる指導者の側も一貫性を欠きました。

 中畑監督が2014年シーズンを「CS行けなきゃクビ」と表明した上で1年契約を結んだことで、力ある指導者の人集めもままなりませんでした。コーチは監督人事と一蓮托生が球界の常識ですから、1年で退任になりそうな監督の元で働きたいコーチなど、そうそう見つかるものではないのです。

 だから指導者としてのキャリアの無い元選手たちが1軍をやるのか2軍をやるのかもギリギリまで決まらないようなドタバタの中で、雲をつかむような所からのスタートとなってしまいました。

 それはプロである程度のキャリアを積んで自分の方向性が定まっている選手なら良いでしょうが、まだ自分はどういうプロ野球選手になるのかすらハッキリしない20歳の選手たちにとって、こんな不幸な話はありません。自分たちで努力しようにも、それがわからないからここにいるのです。

 今から言っても遅きに失しているのですが、今のベイスターズに、果たして高卒選手を預かる資格があるのでしょうか。すぐに活躍できない素質型の選手が大半の高卒選手は、何年も計画を立てて焦らずじっくりと育成しなければならないのに、毎年のようにコーチが変わって、その度に指導もルールもポジションも変わってしまうようでは、一生に一度の成長のチャンスをむざむざ無駄にさせるだけなのではないでしょうか。

 僕らファンにしてみれば毎年のように入れ替わり立ち代りしていく選手の1人に過ぎないかもしれません。ですが、選手本人にとって、こんな残酷な話はありません。ただでさえ入団するチームを選べない上に、いざ入ってみればろくに投げさせてもらえないまま、一生に一度のチャンスをフイにされてポイ捨てをされるわけですから、僕が親ならベイスターズには絶対に入団させないと思います。クビになった後になって「あの時指名拒否しておけば」と後悔してももはや手遅れなのです。

 選手は指導者との出会いによって花が開くことも腐ってしまうこともあります。ベイスターズ戦力外通告されたりトレードに出された選手が他所のチームで活躍する事も少なくありません。「ベイスターズ入団が運の尽き」で笑って済む話ではないのです。

 だからこそ、こういう風に前途ある若者の可能性を奪ったフロントや首脳陣たちは、誠心誠意詫びるべきだと思います。育成する能力もないくせに預かって、一生に一度の貴重な3年間を台無しにしてしまったことを詫びるべきだと思います。前の親会社がやった事だからなどという言い訳も認められません。そういったものも含めて責任を負うのが事業の継承だからです。

 こうした不充分な育成システムのまま、詰め腹を切らされるのはいつも力の弱い下の方にいる人達です。それは戦後日本の悪しき伝統です。太平洋戦争開戦を主導した指導者階層の岸信介氏や正力松太郎氏が戦後CIAの手先となってなんの責任も負わずにのうのうと生き延びたように、才能ある若者たちを充分な指導も出来ずにポイ捨てした指導者たる高田GMや中畑監督は来季ものうのうと生き延びるわけです。こんな理不尽な話はありません。まさに若者の芽を摘む醜い大人そのものです。

 昨今は将来世代のことより私利私欲にばかりかまけている大人が非常に多く目につく時代です。社会は若者を育てようとする気概も持たず、保育園の子供の声さえ騒音呼ばわりし、挙句に教育ローンを奨学金と詐称して大学をビジネスの場に、若者を飯の種としか考えないような、物哀しい時代になってしまいました。

 その風潮の一旦がベイスターズにも見え隠れします。愛するベイスターズが前途ある若者を安易に使い捨てにしている現状は、胸が張り裂けそうになるくらい、とても辛いものがあります。

 とにかく、ベイスターズは高卒選手を十二分に育成できるような環境整備を整えるまで、今後一切の高卒選手を獲得すべきでないと強く主張したいと思います。

以上

※ スポナビさんのスパム判定に引っかかったため翌朝に修正してから公開に致しました。