ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

今シーズン限りでベイスターズを去る選手たちへ

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 ドラフト会議で指名された選手のお披露目が行われたり、FA宣言した選手の獲得競争が行われたりと華々しいニュースが色々と報じられる一方で、今後の身の振り方を考えなければならない、まさに切実な時を過ごしている選手もおります。

 

 プロ野球は厳しい世界だとは何度も聞かされて頭では理解しているつもりですけれども、いざ現実を目の当たりにしてみると、全くわかっていない自分がおりまして、何十年もプロ野球ファンをやっているのに、本当にこの問題だけはいつまでも越えられない、大きな暗闇のようなものだと、改めて噛み締めています。

 

 

 今シーズン限りでベイスターズを去る選手たちへ、これまでの感謝の気持ちを込めて、自分なりの感想を書き綴ってみたいと思います。

 

 

■須田幸太選手

 

 つまらない綺麗事を言うのは好きでは無いので率直な意見を書きますが、今年はファームで見ていて、非常に厳しいなと感じていました。それなりに球速の出るピッチャーだったのが140キロを少し超える程度しか出なくなり、球速の衰えをカバーするような大胆なモデルチェンジをする気配もなく、もどかしさを覚えたものでした。

 しかしながらベイスターズの中でもとりわけファンの多い選手でもあって、その大勢のファンの人達が心から納得出来る締めくくり方は無いものだろうかというのが、今シーズン終盤以降の僕の須田選手への見方でした。

 

 ベイスターズに入団してから数年の須田選手は社会人野球出身かつドラフト1位という立場と比べるといささか物足らない成績で、ファンからの評価も辛辣なものがもっぱらだったと思います。

 ですから、中畑政権最終年でようやく真価を発揮出来るようになった時は、これまでの努力が実って良かったなぁと本当に喜ばしく思ったものでしたが、その後が本当にあっけなく、それはあたかもセミの一生のようであったと、儚さを思わずにはいられません。

 

 喋り方を見ていると頭の良さが伺えますし、先発でもリリーフでも、そして長いファーム暮らしでも様々な事を学んできていますので、来年は1年位どこかの独立リーグチームにでも入って最後の完全燃焼をして、その上で指導者として再びベイスターズのユニフォームに袖を通す日が来たら、と願っております。

 

 お疲れ様でした。

 

 

■福地元春選手

 

 豪速球が武器のサウスポーで入団初年度はリリーフとして1軍で13試合に登板した実績を持ちますが、課題の制球難を気にするあまりどんどん球速が落ちていって、酷い頃は130キロ出るかどうかという時期もありました。

 

 制球難のピッチャーにとって重要な事は、経験豊富でキャッチングのうまいベテランキャッチャーだと僕は考えています。

 来年からコーチとしてベイスターズに復帰する鶴岡一成さんが現役時代に三嶋一輝選手や藤浪晋太郎選手から大変慕われていたように、実績十分なベテランキャッチャーにドンと構えてもらってリラックスして投げることで積み重ねる成功体験が、制球難のピッチャーにとても重要なのではないかと考えているのです。

 

 そういった意味において、福地選手は入ったチームが悪かったとでも言うしかありません。なにより入団初年度の頃はキャッチャー陣が揃ってキャッチングをボロカスに酷評される有様でしたので、どうしたって腕が縮こまってしまう環境下にあったと言えると思います。

 

 今でも忘れられないのが、昨年佐野選手がキャッチャーに挑戦した頃に、なぜか妙に福地選手と佐野選手の相性が良く、それまで140キロそこそこだった球速が150キロ近くまで戻ってきた事でした。

 これなら行けると思いました。今ならエスコバー選手がいますが、左投げで常時150キロを出せるリリーフピッチャーなどそうそういるものではありませんので、これで感覚を取り戻しさえすれば、必ずやベイスターズに無くてはならない存在になれると、当時は思ったものでした。

 

 トライアウトには参加したものの、今の所獲得に名乗りを上げるチームは出てきていないようです。左ピッチャーはどのチームも欲しがるものですから戦力外になってもどこかで再起を図る事例が少なくないのですが、福地選手を取ろうと考えるチームは今後出てこないものでしょうか。

 

 僕はまだNPBでやれるピッチャーだと思っていますので、お疲れ様は言いません。

 

 

 

■野川拓斗選手

 

 ベイスターズでは一軍でも二軍でもリリーフを任されてきたサウスポーです。

 

 なにかにつけてアニメの話題が持ち上がるほど有名なアニメ好きの選手ですが、僕はアニメのことがわからないので野球のことだけ書きますけれども、やはり自分ならではの特徴を出しきれなかったと言いましょうか。

 飛び抜けて速いボールを投げたという感じではありませんでしたが、コントロールはまずまず悪くなく、ファームの試合ではいつもそれなりの結果でまとめてくるという印象があります。

 

 しかしながら皆様御存知のようにベイスターズは他球団では類を見ないほどサウスポーが充実していて、リリーフだけでも砂田選手やエスコバー選手や田中健二朗選手がいて、さらに今季途中から石田選手がリリーフに転向したり中後選手が加入してきたりで、左のリリーフ特有の「一軍で試してみるか」的なトライアルさえ得られなかったという不憫さもあったように思います。

 

 一軍でそれなりに通用するためには一軍で投げて失敗して「自分に何が必要なのか」を肌身で知る事が重要だと思います。その為の機会が2年目以降全く無かったのも気の毒でした。

 

 トライアウトに出ず、今後の希望に関する報道も無いようですが、どこかのチームに獲得して貰えればそれが一番良いと考えています。

 

 

 

■亀井塔生選手

 

 高卒の育成選手としてベイスターズに入団したキャッチャーで、初年度からファームで試合にも多数出場していて当初から守備面の完成度が相当高かったのを記憶しています。

 

 高卒で入団してくる選手というのは一部の例外を除けばだいたい細身で、まだまだ時間をかけて体を大きくしていかなければいけないねという感想を持つもので、だから高卒の選手は大方4~5年は戦力外にならずに球団に残り続ける相場みたいなものになっているわけですが、亀井選手について言えば、何年経っても体が細いままで、それが僕は不満で仕方ありませんでした。

 

 近年のベイスターズは高卒のキャッチャーをあまり獲っておらず、それゆえ比較して語るのは高城選手くらいまでさかのぼってみなければなりませんが、高城選手は初年度から高卒1年目としては体の作りがしっかりしている方でしたけれども、そこからさらに年を追うごとに逞しくなっていったものでしたし、亀井選手と同期の百瀬選手も二遊間を守る選手としてあまり大きくなり過ぎてはいけないけれども、必要十分な成長を果たしていましたので、亀井選手の細さは目立って仕方ありませんでした。

 

 とにかく肩が強くてキャッチングも巧みで、そういった面だけで言えば高卒ルーキーの頃から一軍の選手と伍していけるだけの実力者でしたから、こういう結果で終わった事が本当に残念で仕方ありません。

 

 野球を引退して別の道に進むそうですけれども、良き人生を送ってくれるようお祈り申し上げます。お疲れ様でした。

 

 

田中浩康選手

 

 2016年の秋にヤクルトを戦力外となってベイスターズに移籍して、そこから2年プレーされました。

 

 田中選手のように他球団から移ってきたベテラン選手の評価は、単純に成績だけを見て考えて良い部分と、その数年後になってジワジワと効いてくる部分があって、この時点で軽々に口に出来ないと思います。

 そういう選手がチームに良い影響をもたらしたと我々ファンが知るのは、来シーズンになってからベイスターズの現役選手がマスコミの取材に対して「○○選手に教わった事が今に活きている」みたいなコメントを発するタイミングなのであって、今オフにベイスターズ復帰が決まった古村選手が富山サンダーバーズで同僚となった元巨人日ハムの乾選手から受けた影響云々みたいな話が、来年になってぽつぽつと出てくるようになって来るのを願いたい、という感じでしょうか。

 

 一時代を築いた田中浩康選手が最後の一仕事の場所としてベイスターズを選んでくれたことに感謝をし、良き指導者人生を歩んでくれることをお祈りしたいと思います。お疲れ様でした。

 

 

 

■網谷圭将選手

 

 高卒から育成選手として3年間ベイスターズでプレーしました。初年度の春のキャンプでは豪打を連発して勇名を馳せ、高卒の育成選手としては異例の一軍オープン戦帯同もありましたが、その期間中に大怪我をする不運もありました。

 

 最初からあれだけ大騒ぎされた選手ですから早々に支配下登録される可能性だってあるだろうと考えたベイスターズファンも少なくなかったと思いますが、あれから3年間、もがき苦しみ続けるだけで終わってしまい、育成契約の延長すら叶いませんでした。

 

 その原因は、ベイスターズファームの打撃コーチ陣の力不足に他ならないと僕は考えています。

 

 野球ファンの中には「コーチなんて誰がやっても同じ」と考えている人も結構な数がいるらしいですが、指導者が変わるだけで一気に成績を伸ばす選手が毎年あちらこちらに現れている以上、やはりそれは現実を見ていないと言わざるを得ません。

 いくら野球選手が個人事業主だからとはいっても、高校出たての18歳19歳にまともな指導もせずに結果を残せなどというのが土台無茶で、今オフで戦力外通告を受けた20代の野手3人は、その点がとても不幸だったと僕は感じています。

 

 トライアウトに出ず、その後の報道も全く出てこないのが大変不安なのですが、育成契約でも良いのでどこかのチームに入ってくれと、それしか考えられません。

 

 

■山本武白志選手

 

 お父様が元ロッテ監督の山本功児さんだという肩書ばかり先行してしまいますが、本人の実力も高校時代にホームランを量産していたのもあってドラフト会議の時は支配下ドラフトで指名されるのが当たり前のように見られていた大物選手でもありました。

 

 子供の頃から親子鷹で頑張ってきたものの、そのお父様を病気で早くに亡くしました。そういったストーリー性もあったからこそ頑張ってほしいという側面ももちろん否定できませんが、僕は入団時からの抜群の体格の良さと、そして往年の清原和博さんのようなクセの無い流れるようなしなやかなバッティングフォームがすこぶる良く見えて、きっと大活躍できるに違いないと、他の選手よりも多少贔屓目に見てきた部分があります。

 

 しかしながら、ファームにおいてもあまりに出場機会が少な過ぎました。公式戦の打席数は2016年103打席、2017年60打席、2018年110打席です。大怪我をして戦線離脱したわけでもないのにこれでは少な過ぎます。

 同期の青柳選手が2016年370打席 2017年204打席 2018年171打席、網谷選手が2016年38打席 2017年351打席 2018年138打席ですから、山本武白志選手だけかなり少ないのが見て取れます。

 実力がなかったから出られなかったのかと言えば、同程度か、上回っている場合もあって、実力主義でこの結果になったともみなせません。だからなおさら不満が強いのです。

 

 きっと現役を続けるだろうと僕は考えています。育成契約でも良いので、必ずどこかのチームに入って、その抜群のバッティングセンスを花開かせて欲しいと願っています。

 

 

 

■荒波翔選手

 

 かつてはベイスターズのレギュラーとして2年連続でゴールデングラブ賞を獲得した実力者が32歳の若さで戦力外になるというのも意外な事でしたが、戦力外にも色々あって、「うちのチームではポジションがないけど他のチームならレギュラーを取れるだろうから」という球団の配慮で戦力外にするというパターンも稀にあります。今回の荒波選手の戦力外はそういった事例であろう、と僕は考えていました。

 

 そして「戦力外の選手を他の球団が獲得できるのはトライアウトが終了してから」というルールに基づき、トライアウト終了後にヨーイドンでどこかのチームと契約するだろうと、それが既定路線だと思い込んで事態の進捗を眺めておりましたので、今の今までどこのチームに決まったとも、「○○球団が獲得を検討」という報道すらも無い現状を、どう受け止めれば良いのか、言葉に詰まっています。

 

 確かに近年の荒波選手の成績は奮いませんでした。2016年のラミレス監督初年度の当初の構想は荒波選手がレギュラーで桑原選手が控えに回るもので、実際開幕戦からスタメンで起用されましたが、1ヶ月と少々結果が出ず、チーム全体も打撃不振でこれ以上我慢して起用し続けてもらうわけにもいかずにスタメンから外され、さらには二軍落ち。そこからはレギュラーから程遠い生活を続ける事となりました。

 

 ただでは、荒波選手が1軍で起用されるにふさわしくない状況だったかといえばそうでもなく、不安定な起用かつスコアラー不在ゆえに数字を残しにくいファームでありながらも着実に数字を残し続けていましたし、一時期と比べれば格段に故障が減ってコンスタントに試合に出続けられる体質にもなったと思います。

 

 肩と足に定評があって試合に出続ければコンスタントに2割後半の打率を残せるというのはそうそう無い事ですから、来シーズンは必ずやどこかNPBのユニフォームを着て開幕一軍の地位にあるものと信じて疑いません。

 

 

 ■白根尚貴選手

 

 島根のジャイアンとして高校時代から人気選手として高い注目度を誇っていましたが、選手層が分厚すぎるソフトバンクで日の目を見ず、自らソフトバンクの育成再契約を蹴ってまで移籍してきたベイスターズでは1軍挑戦の機会をほとんど与えられないまま、ついにこの時を迎えてしまいました。

 

 白根選手はファームでも打率2割5分から2割6分くらいでホームランを量産したわけでも無いので、数字だけを見るとなかなかどう評価して良いのか難しい面もあるわけですが、本人の調子が良くファームの月間MVPを獲得していたような時期ですら一軍に上げてもらえず、結局2年間トータルで17打席しか1軍出場が無かったというのは、ただただ運がありませんでした。

 

 元々の才能の高さはプロも認めるほどなわけで、ちょっとしかキッカケで大躍進を果たすためにも、またどこかでプレーを続けられればと願っております。

 

 

 

                  ■

 

 

 今年の戦力外選手の獲得状況は例年と比べて少しスローペースな印象があります。トライアウトの後に秋季キャンプに呼んで入団テストをするような事例も増えてきているようですが、とにもかくにも、現役続行を希望する選手たちが一人でも多く、NPB球団のユニフォームに袖を通せるよう、願っております。

 

 また、来季以降ベイスターズ選手でなくなっても、これまでベイスターズの選手であった事を誇りに持ち、胸を張って良い人生を送ってくれるよう、心より、深く深くお祈り申し上げます。

 

 

 

以上