ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

2017年 夏の野球旅 四国アイランドリーグ編 (2017年8月12日 愛媛マンダリンパイレーツVS徳島インディゴソックス)

 

 続いては、舞洲サブの翌日に訪れた愛媛県宇和島市にあります丸山公園野球場であります。

 

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 宇和島、です。今シーズン限りで現役を引退される福島ホープスの岩村明憲さんの出身地でもあります。

 

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 宇和島駅から球場までは徒歩で15分ほどの距離ですが、徒歩で来る人のことなどハナから考えていないらしく、案内板も何もないただの住宅街をスマホのナビを頼りにトボトボと歩きました。球場のそばには闘牛場などもあるようですから、もうちょっと遠方から来る観光客に向けた案内などをやったらどうか?とは思いましたね。

 

 で、その途中、たまたま通りかかった宇和島駅の操車場には、一時期ネットニュースで話題になった偽の新幹線が鎮座しておられました。

 

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 チケットはご覧の通り。悪知恵の働く人など考慮されていない、性善説に基づいた入場券です。

 

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 大変のどかな環境にある、しかしそれでいて気の利いた良い球場であります。

 

 バックネット裏は2階席まであり、ほどんど日陰になるように作られています。バックネットは2階席の屋根に固定されているため、ここにいればボールが飛んでくる心配もありません。

 バリアフリーが徹底されていて、トイレもキレイです。

 

 1塁側3塁側の内野席も整備されていて、芝生席もあれば、きちんと椅子の席もあります。

 

 まず、外野の後方に、一面に渡る緑があるのが実に良いです。巨人のジャイアンツ球場も似たような作りをしていますが、外野後方が一面緑だとボールが見やすいですし、何より心を癒やす効果があるんじゃないかと、勝手に感服しております。

 

 あまりにも良い球場なので試合中もあちこち歩き回って、色々な角度から試合を見たりして楽しませてもらいました。

 

 

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 さて試合です。開始前に両チームの選手が整列をするのはBCリーグと同じですね。こちらでは整列の他に、両チームの監督コーチ選手やトレーナーの方まで一人ひとりアナウンスとともに登場して紹介されるセレモニーも行われました。

 

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 愛媛マンダリンパイレーツの先発ピッチャーは、なんと北方悠誠!

 

 そうです。僕は彼の勇姿を見るために、あえて宇和島までやってきたのでした。ただ四国アイランドリーグを見るためだけなら、同じ日の丸亀の試合を見に行ったほうが日程的にも楽ができたのですが、北方選手と古村選手の元ベイスターズの2人をこの目で見るために、僕は宇和島に来たのです。

 僕は以前「前途ある若者の芽を摘む醜い大人たち | ベイスターズを二軍中心に見守るブログ | スポーツナビ+」というブログエントリーを書きました。まだ高卒3年目の若いピッチャーが一挙に4人もクビにされたあの日から、ある種の罪悪感みたいなものを持ち続け、事ある毎に様子を気にかけてきました。BCリーグを見に行くようになったのも、あの4人のうち伊藤拓郎選手を見に行くためでした。

 

 もしかしたら予告先発みたいな形で予め告知されていたのかもしれませんが、僕はそういったものを見ず、ただ日程と場所的に行けそうな愛媛マンダリンパイレーツの試合というだけでこの日を選んだのでありますが、その試合に北方悠誠選手が先発で投げてくれて、とにかく本当に嬉しいの一言に尽きました。

 

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 実際、北方選手はどうだったでしょうか。成長した所もたくさんありましたし、課題もたくさんありました。

 

 コントロールは格段に向上して、きちんとストライク先行で投げられるようになったと思います。

 彼の持ち味であるストレートも、スピードガンがないので正確な数字はわかりませんが、見た感じ150キロ近い球速は出ているんではなかろうかと思いました。ストレート以外にもスライダーが良く、アメリカの3Aやヤクルトスワローズでプレーした経験を持つジェフン選手が驚いて腰を引いてしまう位のキレの良いボールを投げていました。

 

 課題は、スタミナでしょうか。3回くらいまでは上々だったと思いますが、4回位からコントロールを乱し始めて、結局負け投手になりました。ボールが高めに上ずって、そこをコンパクトに狙い打たれてしまいました。

 

 あくまで僕の私見として述べるならば、リリーフとして短いイニングを全力で投げる事に徹する方が今の彼に向いているような感じもしますし、そうすることで彼の最大の武器である豪速球が活きてくるのではないかと感じました。

 彼はベイスターズ時代の晩年にはイップスに苦しんだそうです。フォーム固めにも苦しんで、ある時はサイドスローに転向してみたり、その後1ヶ月足らずで再びオーバースローに戻してみたり、とにかく迷走を続けました。一貫性を持たない大人の都合に振り回され続けたと、僕の目にはそう映りました。

 

 しかしながら、やはり素質は一級品であるのは間違いないと改めて感じました。

 

 もしも今オフにNPBのどこからも声をかけてもらえなかったならば、海を渡ってアメリカを目指すべきだと思います。

 きっと彼ならばやり遂げて、一流になって僕達を唸らせてくれる日が来るであろうと、確信しました。

 

 

               ■

 

 1試合見ただけで野球のレベルを云々するのは差し控えたいですが、ピッチャーの球速はBCリーグよりもこちらのほうが速い人が揃っているなと感じます。野球に関してはBCリーグと甲乙つけがたいと感じました。

 

 お客さんの数は300人前後と、非常に苦戦しているのが見て取れました。

 

 ただし、恐らくボランティアであろうスタッフの人たちが多くいらっしゃって、皆さん献身的に動いてらっしゃいました。

 試合中、内野席にいるお客さんに一人ひとりにファウルボールの飛び込みに注意を、とても丁寧に呼びかけておられました。それも四角四面に「ご注意下さい」と言うのではなく、左バッターが打席に立った時にライナー性の打球がこのあたりに飛びやすいから、もう少し前の席に移動してフェンスで身を守るようにと、非常に細かく、かつ説得力のある呼びかけをされているのが、心を打ちました。

 

 お客さんの数は少ないながらも、密度というか、濃さというか、そういったものを感じました。

 

 独立リーグの試合はスポンサー関係の「お付き合い」で観戦に来られる方も少なからずいらっしゃるものだと考えていたのですが、この試合はそういう空気が全くせず、大人はもとより、保育園や小学校低学年くらいの子供たちまでもが、誰に促されるでもなく自発的に声を枯らして応援している姿が印象的でした。

 

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 イニング間のグラウンド整備ではビジターの徳島インディゴソックスの選手も一緒に汗を流します。

 普段NPBの試合ばかり見ていると、グラウンド整備というのはスタッフの方々がやるのが当たり前だという風に捉えがちで、それは現在開催中の高校野球の甲子園大会でもそうですけれども、方やこうやって選手自らがグラウンド整備に汗を流す野球もあるのであります。

 

 そこにはもう、野球に対する愛とか執念とか、とにかく野球に対するありとあらゆる感情が詰まっていて、目を背けてはいけないなと、そんな事を考えたりもしました。

 

 

               ■

 

 電車の時間が差し迫っていたので9回表の途中までしか見届けられませんでしたが、とにかく良い経験をしてきました。はるばる宇和島まで出向いた価値のある、素晴らしい野球観戦をすることができました。

 

 なにぶん距離があるので頻繁に足を運ぶことはできませんが、これが最後という風にはしたくないなと、帰りの車中で思いを新たにしましたよ。

 

 

以上