ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

野球くじは気持ちが悪い

 巨人の福田選手が野球賭博に興じていたとするニュースの後で、この一件で野球くじへの影響が云々かんぬんだという話が持ち上がり始めました。

遠藤五輪相、賭博事件受け野球くじ議論「難しい」

http://www.nikkansports.com/general/news/1549061.html

 野球くじについては、一度、今年の6月頃に観測気球のようにマスコミ各社が一斉に書き立てました。ただしその時の関係各位や世論の反応が芳しいものではありませんでしたので、一旦は先送りにするムードになりました。関係当局が新国立競技場問題やエンブレム問題で忙しかったのもあったでしょうが、僕はその時の反応を見て導入を諦めるものだとすっかり思い込んでいました。

 ですが、実はそうではありませんでした。

 野球くじについては、僕は反対の意見を持っています。だからこうして話題に上り始めたのが少し嫌な感じがすると、そのように受け止めています。

 僕は、野球くじは青少年に与える影響がどうとか、八百長がどうとかという観念的な理由から反対しているわけではありません。ちょっとまどろっこしい理由があるのです。

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 まず反対する理由の一つとして、既存の公営ギャンブルとの兼ね合いを心配しています。

 我が国には戦前から競馬が、戦後からは競艇や競輪やオートレースといった公営競技公営ギャンブルがあります。元々日本は法律によって賭博が認められない国なのですが、これらの公営ギャンブルと宝くじについてのみ特別法を制定して認めた経緯があります。そういった経緯から、これらは国や自治体から非常に厳しい規制がかけられ、営業の自由が本当にごく僅かな裁量でしか認められていません。馬券の販売場所も、競馬場以外にはごくわずかしかありません。

 日本中央競馬会の場外馬券売り場は全国で43箇所しかありませんし、当たり馬券の配当金を一部のレースに限って5%~10%増やすと決めただけでも大ニュースになります。テレビコマーシャルで競馬の銭金について説明することも「射幸心を煽る」という理由で禁じられています。

 これだけ不自由な営業を強いられているせいで、売上は年々伸び悩み、そのせいで関係する職業に就いている人達が失業するケースも跡を絶ちません。

 一方で、サッカーくじのtotoは後発でありながら全国のコンビニを始め、無数の特約店で手軽に購入出来るようになったおかげで売上も年々伸ばし続けています。テレビコマーシャルで最高当選金が6億だか8億だかと射幸心を煽りまくってもお咎めはありません。

 日本国内のギャンブル市場は売上規模が大幅に右肩下がりする中で、いわば顧客を奪い合う構図になっています。こうなると経営や営業の自由度が高いほうが売上を伸ばしやすいのは自明の理であります。売り場が少ない競馬や競艇が苦しみ、売り場が豊富で宣伝の自由なサッカーくじが栄えるのです。

 そこへさらに野球くじなどを始めたらどうなるでしょうか。既存の公営ギャンブルがますます顧客や売上を搾り取られて、更に多くの失業者を生み出してしまうのではないでしょうか。特に競馬は裾野の大きな産業であり、下支えをするのは馬産地の北海道をはじめとした地方都市が中心となりますから、地方の雇用環境をますます悪化させる要因となるのではないでしょうか。

 もともと日本のギャンブル市場はものすごく不条理な世界です。

 競馬は競技の公正性を保つために、騎手は毎週調整ルームに監禁されて携帯電話の使用も禁じられ、競走馬の餌にちょっとでもカフェインが混じればただちに警察が駆けつけて大掛かりな捜査が行われます。馬券の売り場を作るのには国や自治体にその都度お伺いを立て、その後は地域住民への懇切丁寧な説明を重ねなければなりません。

 このように競馬も競輪競艇オートも厳重な法律と著しい手間暇をかけて、ガチガチに手足を縛られて営業しなければならないのに、かたやパチンコ屋ははなから法律の外で自由気ままに営業しています。自治体によっては場外馬券売り場の建設が絶対認められないような住宅街や文教地区での営業も可能です。最近はテレビコマーシャルで射幸心を煽らぬよう当局のお達しがあったとかで慎ましいコマーシャルを流す程度に留めているようですが、それでもまだ自由度は高いままです。

 真面目にコツコツやってきた公営ギャンブルがただでさえ苦しい思いを強いられているのに、そこへ後からやってきてさらに有利な条件で野球くじで商売するのを、僕は快く思えないのです。不条理に苦しむ公営ギャンブルを味方したい心理が働くのです。

 僕は弱い者いじめが嫌いなのです。

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 もう一つ野球くじに反対する理由としては、政府自民党はあまりにギャンブルに肩入れしすぎると考えているからです。

 非合法賭博のパチンコがお目こぼしされているのも、元はといえば政府や行政がかの業界と癒着構造にあるからです。それに加えて、今度は統合型リゾート(IR)と称して、要するにカジノを日本で作ろうとしているのです。最近横浜と大阪あたりに作ることが内定したというニュースがありましたが、パチンコと野球くじとカジノで、一体どれだけギャンブルに肩入れするつもりなのかと、嘆かわしく思っているのです。

 野球くじは新国立競技場の建設費を賄う為のものだからやむを得ないという声もあるかもしれません。ですが、それならそれで既にあるギャンブルから税金を取ればよいではありませんか。例えばパチンコを合法化して、見返りに競馬と同じく売上の10%を国庫に納付させるだけで2兆円弱の財源ができます。新国立競技場を10個作ってもお釣りが来るではありませんか。

 僕の考えとしては、馬券(舟券車券etc)販売をコンビニや宝くじ売り場のような小型店舗も認める形にして、その増収分で建設費を賄えば良いと考えています。どこかのショッピングセンターに小型店舗を設置して、その脇にグリーンチャンネルが映るモニターでも設置しておけば、それで充分ではないでしょうか。

 むやみやたらと新しいギャンブルを創りだそうとするのは、それはそれで政府自民党の下心のようなものがあるのではと疑ってみえて仕方がないのです。それよりも既存の公営ギャンブルをうまく活用していく方法を考えられないものでしょうか。

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 僕ももうアラフォーですから清く美しい理想郷みたいな事を謳っている場合ではありませんが、さはさりながら、愛する野球で利権を一発こしらえてやろうみたいな動きには、拒絶反応しか感じられないのであります。汚らわしい!と乙女の気持ちで叫びたいのであります。

 新国立競技場をめぐるゴタゴタで世間の皆々様もなんとなく見えてしまった部分もあるかと思いますが、どうか皆さんにも野球くじにNO!の声を上げていただきたいと存じます。

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 追伸

 僕は先日「ベイスターズは弱者の共感を呼び・・・」というブログエントリーを書きました。書いた翌日、あらためて自分が書いたものを見直してみて、「これは無いな」と冷静に思い、公開を止めることにしました。

 コメントもいつも以上にたくさんの方から頂戴いたしました。その全てに目を通しました。中には賛意と受け取れる趣旨のものもあり非常にありがたくも思いましたが、大方はブログエントリーに対する反対意見であり、おおよそ僕も同感でした。自分で書いたものでありながら「これは、ありえないな」と残念に思いました。

 くだんのブログエントリーをご覧になって不愉快な思いをされた方もさぞ多かっただろうと思います。その節は本当に申し訳ございません。

 コメントを寄せてくださった7名様、ひとつひとつお返事すべき所ですが、ブログエントリーそのものを公開中止にする都合上、今回はお返事する事もできません。この点においても申し訳ございません。

 特にどこからか公開を取りやめるよう要請されたり強要されたわけではなく、あくまで僕の判断ではありますが、このような不愉快なものを今後書かぬよう、くれぐれも注意していきたいと思います。今後も引き続きご愛顧賜れますよう、宜しくお願い致します。

以上