ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

球場の安全対策について

 今日はこの記事↓などを踏まえて、球場の安全対策について書きたいと思います。

ファウルボール:野球観戦は危険なレジャー?

http://mainichi.jp/sports/news/20150428k0000e050145000c.html

 記事の中でも触れられていますが、札幌ドームでファウルボールの直撃を受けた観客が民事訴訟を起こしました。それより前にも現コボスタ宮城の試合中にファウルボールの直撃を受けた観客が民事訴訟を起こした事がありました。

 僕の記憶が確かなら、札幌の件は女性、宮城の件は男性の士業の方が原告だったと思います。男性か女性かで判決が変わったとは思いませんが、今回の札幌の件が女性であった事から、僕なりに疑問に感じた点を書きたいと思います。

 それは、球場を訪れる女性客の皆さんは硬式球の恐さをどの程度ご存知でらっしゃるだろうか?という点です。

 プロ野球の試合で使用される硬式球は、その名の通り硬く作られています。小中学生が少年野球や学校の部活で使用する軟式球も結構な硬さですが、硬式球の硬さはその比ではありません。僕自身の経験としては、中学の卒業を間近に控えた頃、高校でも野球を続ける友達と硬式球で練習をした時の事が今でも記憶に残っています。とにかくちょっと身体にぶつかっただけで物凄く痛いのです。イージーなゴロを取りそこねて足首のくるぶしの付近にコツンと軽くぶつけただけでも跳び上がるほどの痛みに襲われるのです。

 ですから僕は、プロ野球のバッターがデッドボールを受けて痛さを顔に出さずにそのまま1塁へ走り出すシーンを見て、プロ野球のバッターはすごいなぁといつもいつも感心させられているのです。僕だったら年甲斐もなく泣き叫んで痛みを露わにするに違いありません。

 男性のプロ野球ファンは自身でもそれなりに野球をプレーした経験のある人が多いでしょうから、そういう塩梅にボールが直撃した時の痛みの程は言わなくてもある程度わかっているのだと思います。ですが女性の場合は、自ら野球をプレーした経験のある人がそれほど多くはありませんので、硬式球の恐ろしさを実感として持ち合わせていないのではないでしょうか。

 そしてその経験の無さが、時として危機感の欠如、そして大きな事故へと繋がっていくのではないでしょうか。

 例えば台所で果物ナイフを床に落っことしてしまったとすると、果物ナイフの危険性を知る人は飛び上がって恐怖すると思います。刺さったら危ないとわかっているからです。それと同じような感覚で、硬式球に適度に恐れを抱いて頂かない事には、よそ見をしていてファウルボールの直撃を受ける女性客が今後も後を絶たないのではないか、と危惧しているわけです。

 であるからして、球場は単にアナウンスで「ファウルボールの行方にご注意下さい」と注意啓蒙するだけでは不十分なのではないでしょうか。球場の観客が出入りする導線上に硬式球の痛みを体感するコーナーを設けて、観客に硬式球の恐ろしさを肌で実感して貰う必要があるのではないでしょうか。

 それもただ形式的にコーナーを設けるだけではダメで、例えば元プロの球団職員を配置して、女性客が自ら率先して体験しようと思えるような仕掛けを作らなければならないのではないでしょうか。もちろん怪我をしないように、短距離のキャッチボールをするような感覚で身体にボールをぶつけ、「え?こんなに痛いの?」と実感してもらう必要があるのです。

 そうやって硬式球の恐ろしさを知ってもらえば、それ以降は一球一球を見逃さずにしっかりと身を守る行動をとって貰えるようになるのではないでしょうか。

 防災などでもそうですが、人間は経験したことがない災難を甘く見るフシがあります。それは天災地災と同じようにタッチアンドトライで注意啓蒙をはかっていくべきではないかと提唱させていただきます。

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 最近は様々な球場にフィールドシートが設置されるようになりました。ファールゾーンの一角に低いフェンスで仕切っただけの空間を設け、そこで観客に野球を楽しんでもらうという観客席です。なにぶん危険度の高いエリアゆえ、各球場ともその座席の観客にヘルメットやグローブを貸し出して身を守るよう促しています。

 ですが、果たして、ヘルメットやグローブを貸し出すだけで充分なのか、首を傾げるシーンが有りました。

 我らがベイスターズの本拠地である横浜スタジアムにも同じようにそのフィールドシートが設けられているわけですが、先日テレビで野球中継を見ていると、1塁側フィールドシートの最前席に赤ん坊を抱いた若いお母さんが座っているのが見え、さすがにそれは危ないのではないかと、今でもそれが脳裏に引っかかっているのです。

 赤ん坊は見た感じ首が座ったかどうか位の、本当にまだ生後数ヶ月の小さな子供でした。ですから赤ん坊自らファウルボールの危険性を察知して身を守ったり出来るはずもありませんし、お母さんも、バッターが打ってから1秒2秒で到達するようなライナー性の打球を上手にかわせるだろうか、赤ん坊を守れるだろうか、疑問が尽きませんでした。

 それから、フィールドシートには入場制限のようなものを設けるべきではないかと考えるようになりました。球団からすれば単価の高いフィールドシートのお客を逃すような事はやりたくないでしょうが、しかしながら安全には変えられません。あんな危険度の高いエリアに乳幼児を入場させる事は断固避けるべきではないでしょうか。

 大人でさえ打球が直撃したら大怪我が避けられないのに、乳幼児に直撃しようものなら命に関わります。そういう危険な場所なのだと、球場側球団側も観客に強く注意を促す義務があるはずで、あんな危険度の高いシートの最前列で乳幼児を膝に乗せて観戦させるなどもってのほかではないでしょうか。

 ああいう場所に乳幼児を連れて行く大人も大人ですが、球団側も事故を未然に防ぐ取り組みが不足していると言わざるを得ません。安直に目先の利益だけ追っかけていてはダメなのです。

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 横浜スタジアムの内野席のフェンスが低いものに改修されてから10年くらい経ったでしょうか。

 高いフェンスだった頃から内野観戦派でしたけれども、低いフェンスになって最初に観戦した時は、率直に言ってフェンスの有無でこんなにも見え方が違うのかと感動したのをよく覚えています。ですから横浜スタジアムベイスターズ球団が危険を承知のうえでフェンスを低くした事には今でも賛意を示しています。

 ですが、やはり危険なものは危険なのだと、観客を平和ボケさせない取り組みを欠かしてはならないとも考えています。

 交流戦での出来事ですが、オリックスブランボー選手が放った強烈なライナーがビールの売り子さんの頭に直撃し病院送りになった場面を目の当たりにした事もあります。横浜スタジアムはとにかく売り子さんが多くいて、それぞれが顧客の争奪戦で血眼になっています。それゆえ打球への注意がおろそかになっているのです。この傾向は今でもあまり変わっておらず、危機感の欠如を感じます。

 球場の外に目を向けてみると、これも交流戦でしたが、楽天山崎武司選手が放った場外ホームランが横浜公園の露店を直撃した事件もありました。打たれた那須野選手を責めるのは簡単ですが、こういう構造の球場なだけに、外に飛び出した打球への対応が気がかりです。横浜スタジアムだけでは無く、二軍の横須賀スタジアムについても同じことが言えます。

 事故はたびたび起きているのですが、それへの対応がそれほど大きく進歩した感じは受けません。原発事故後も大した対策が取られていない各地の原子力発電所みたいなもので、ある意味日本人の国民性なのかもしれませんけれども、のんびりやっていてはダメなのだと思います。

 あまり良いキッカケとは言えませんが、日ハムに対する地裁判決を一つの契機として、今こそ球場の安全対策に本腰を入れなければならないのではないでしょうか。

以上