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ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

「二軍」という本を読みました

 この週末を利用して遠方に出かける用事があったものですから、移動の車中で読めるものをと適当に2冊の本を買いました。そのうち1冊が澤宮優さんという方が書かれた「二軍」という、そのものずばり、二軍選手を取り上げたものにしました。

 あまり詳しいことを書いて作家さんの営業妨害になるといけませんが、非常に面白く、あっという間に読み終えてしまいました。だいたい1冊の本を1週間くらいかけてちびちび読み進めるのが僕の読書法なのですが、ちびちびも何も、ぐんぐん読み進めてしまいました。1日もかからなかったと思います。ぜひ皆さんもご一読いただければと思います。

 そして、この本で取り上げられた中で、あえてひとつご紹介するならば、一番最後の方に出てくる、かつて巨人の寮長をお務めになったお二方への部分が、これが非常にぐっとくるものがありました。楽しいとか、悲しいとか、驚きとか、そういった表面的ではない、僕の貧弱なボキャブラリーではうまく言い表せない感情が湧いて出てきました。

 このお二方のうち年長の方が寮長をおやりになった頃の選手として出てくるのが、かの有名な王貞治さんです。今ではWBC日本代表の監督として2回連続優勝を果たし、まさに日本球界の顔として地位を確立された王さんですが、まだ若い頃は、選手として芽が出る前から大変な遊び好きで、門限やぶりの常習犯であったそうです。

 王さんの他には、今では参議院議員にまで上り詰められた堀内恒夫さんも代表例として挙げられました。堀内さんは「悪太郎」のニックネームで相当なワルだったとはかねがねから聞いてはいましたが、なかなかのものだったそうです。ただし堀内さんの場合は王さんとは違ってルーキーの頃から大活躍しておられましたが。

 もちろん著名な方ばかりではありません。名も知られぬまま球界を去っていった人達も数多くおられたわけですが、それらの経験を通じて、寮長さんはこうも仰っておられます。

「大成している人はだいたいわるさしている。そのエネルギーをいい方向に行かさないといけないんです」

 僕が最近気になって仕方ない事に、非常によくスッポリとはまるお言葉でした。

 昨今はコンプライアンスに厳しい時代となりました。それは非常に正しいことです。法律を守らずにナアナアにしておくのは発展途上国の様であって、先進国の住民は憲法や法律を順守することが求められます。それは今後も大切にしていかなければなりません。

 しかしその一方で、人間の気質も、若者の気質も、それほど大きく変わったとは言えません。いくら時代が変化したとは言え、若い者ほど甘い誘惑にほだされやすいものです。それをしっかりと見守り、正していくのは、それもやはり昔も今も大人の役割であることに違いはありません。

 それは、入団そうそう全てのルールにきちんと従順に従ってくれる選手のほうが、受け入れる側としてみれば扱い易いに決まっています。就活中の大学生たちがこぞってリクルートスーツに身を包み、面接の想定問答を頭に叩き込んでおくのも、相手方に対して「自分は扱いやすい人間ですよ」と暗にアピールしているに過ぎません。

 だからこそ留意しなければならないのは、受け入れる側の扱いやすさばかりを重視していては、エネルギー溢れる若者が集まらない、という事です。

 中には品行方正な名選手も現れるかもしれませんが、突出した才能の持ち主というのは、洋の東西を問わず、何かしらの突飛な面を兼ね備えているものです。

 あのアメリカのホームラン王ベーブ・ルースも子供の頃から選手時代のしばらくに至るまで大変な悪童として知られていましたし、スポーツを離れて理化学の分野においても、トーマス・エジソンは部下のニコラ・テスラの開発した交流電源をダメにするためにあれこれと酷いことをやってのけたものですし、最近ノーベル物理学賞をお取りになった中村先生も相当エキセントリックな人物だと知られています。

 要するに、プロスポーツチームとして他としのぎを削る上において、こういったエキセントリックな天才の存在は避けては通れないのです。もしも避けて通ろうとすれば、人畜無害な凡才ばかりの、とても競争にならない弱いチームにする他ないのです。

 だからこそ我々ファンは、そして球団は、悪童でもしっかりと受け止められるだけの物質的心理的備えをしなければならないのです。

 そして申し上げたい事としては、具体的にはベイスターズの事ですが、ファームのコーチ陣が少なすぎますし、顔ぶれもコロコロ変わり過ぎるのです。それは、ここで触れた悪童をも受け入れられるような物質的心理的備えが整っているとは到底言えず、ひいては凡才ばかりの競争力に乏しいチームに向かわざるをえない、それが今のベイスターズではないでしょうか。

 選手がタバコを吸ったから懲罰で帰浜させるとか、選手が采配の相談をしたとかでいちいちヒステリックな対応をするとか、そんな内々の話で外に向かってピーピー騒ぐなと言いたいのです。そんなものは内部的に処理すれば良いのです。あまりに狭量、あまりに懐が狭いと断じざるを得ません。その姿勢が、凡才ばかりの弱いチームを作ってしまうのではないでしょうか。

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 今回のこの「二軍」という本で取り上げられる選手の殆どが、自らの意志でとことん練習に明け暮れて、誰が見ても野球に誠意を尽くしたと評価できる、ある意味で優等生とも呼べる人達でした。

 この本に唯一苦言を呈するのであれば、人選が綺麗すぎたといった所でしょうか。真面目にコツコツと、人の何倍も練習に取り組んだ選手の姿も確かに素晴らしいですが、そうではない選手の後悔の弁も、僕は見たい聞きたいと思います。

 プロ野球をもっともっと良くしていくためには、上辺だけを見ていてはダメなのだと思います。それは近年2軍を中心に見るようになって痛切に感じる所です。

 今回作家さんが何を理由に二軍をテーマとされたのか存じ上げませんが、非常に良かったと思いましたし、今後もっと掘り下げていって欲しいと、そのように考えた次第です。

以上