ベイスターズを二軍中心に見守るブログ 本店

毎年20~30試合ほどベイスターズ二軍の試合に足を運ぶ我慢強い男のブログ。野球関連の問題提起や将来へ向けた改革提案等も

ベイスターズ投手陣に今すぐやるべき事

 今年のベイスターズは打線の厚みが増したと思います。ブランコ選手筒香選手というリーグでも上位の長打力を誇る選手を持ち、グリエル選手は入団からお休みに入るまで「キューバの至宝」と呼ぶにふさわしい働きをし、バルディリス選手は下位打線で中核をなし、黒羽根選手の打力は目覚ましい進歩を遂げました。

 その一方で、長年の懸案だった先発投手陣の駒も揃い始めました。既に井納選手と久保選手が二桁勝利をマークし、モスコーソ選手も二桁勝利がすぐそばまで見えてきて、シーズン途中に先発転向したばかりの山口投手も先発ローテの重要なキーマンになりました。大ベテランの三浦選手も1軍復帰後に5連勝を達成しました。過去10年以上遡っても、こんなに先発投手陣が充実した年は無かったのではないでしょうか。

 そういった充実一途のベイスターズにとって唯一心許ないのがリリーフ陣ではないでしょうか。

 今年のベイスターズリリーフ陣は、シーズン途中から抑えに定着したルーキーの三上投手以外に、シーズンを通して1軍で働き続けている選手が1人もおりません。皆不調や故障で最低1回はファーム落ちを経験し、そして調子の浮き沈みが非常に激しいのが特徴的です。

 長年にわたって弱体投手陣と言われ続けたベイスターズでも、リリーフ陣だけは比較的底堅く働いてくれていたものと思われますが、どうして打線や先発ローテが定まったのと反比例するように下降線を辿ってしまうようになったのでしょうか。

 今年のベイスターズ1軍は閉幕間際に14連戦する事が既に決定してしまいました。また、この14連戦の中で中止になる試合が出れば、21世紀初のダブルヘッダーを行わざるを得ません。そうすると先発投手をやりくりする過程で、どうしてもリリーフ陣の出番が増えてしまうであろうと思われます。

 ですから、今のうちに先々を見渡した計画的な選手起用が必要とされます。

 そう、僕は思うに、今年のベイスターズにとって、この投手陣の計画的な運用が致命的に欠けていたからこそ、このようなリリーフ陣不安が続いてしまったのではないでしょうか。

 残念ながら敗れてしまった20日のカープ戦の投手起用がそれを象徴していたように思います。

 先発の山口投手が早々にノックアウトされてしまった為、2番手としてマウンドに上ったのは小林太志投手でした。その小林太志投手は前日の19日に2イニングを投げたばかりで連投のマウンドになりましたが、実はこの小林太志投手、今年はファームで8試合しか登板しておりません。どこか故障していたわけではなく、ただ出番が無いという理由で登板間隔をたっぷり開けての8試合の登板実績しか無かったわけですが、そこへきて急に1軍で2イニングを投げた次の日に連投とは、いくらなんでも性急過ぎる感が否めませんでした。

 なんのためにファームがあるかと言えば、1軍で結果を残すための育成や準備をする場なのであって、そこでこなしていない作業を、もっと上のステージで器用にこなせというのは、これは厳しい要求です。それをポンとクリア出来れば良いですが、そういう優秀な選手はそうそうファームにいないものです。なぜその選手が1年間ずっとファーム暮らしをしていたのか、首脳陣はその前提条件を踏まえた選手起用をしていないのではないでしょうか。

 小林太志投手の後を受けてリリーフした国吉投手も打たれてしまいましたが、彼も非常に過酷な状況です。8月1日から20日までのベイスターズの全15試合中実に10試合も登板しているのです。シーズン96試合登板ペース、異常なハイペース登板ですが、皆様もよくご存知の通り、国吉投手は今年のシーズン途中にリリーフに転向したばかりの、リリーフ1年生です。先発とリリーフとでは長距離走と短距離走くらい調整法が違うものですが、転向して間もない投手にいきなりこんなペースで投げさせれば、まともな成績を望める筈もありません。

 中畑監督は敗れた試合の会見でよく「闘争心がない」とこぼしますが、この過酷な起用法に応えられない選手に「闘争心がない」とは、まるでブラック企業経営者のようではないでしょうか。

 藤田一也選手が楽天に移籍した年に星野監督が仰っていた言葉を、僕はよく覚えています。藤田選手はベイスターズ時代にシーズン通してレギュラーで出続けた経験が無いため、あまり無理させすぎてはいけないと、星野監督は藤田選手のこれまでの球歴を踏まえて起用していたというのです。

 また、野村克也さんはプロ野球の監督をやる上で、選手の個性をしっかりと見極めて、適材適所で起用しなければならないと仰っています。ファームで連投する機会すら無かったピッチャーを1軍でいきなり連投させてしまうだなんてもってのほかだったのではないでしょうか。

 ベイスターズのリリーフ陣は大原選手にしても林選手にしてもソーサ選手にしても萬谷選手にしても、ある程度の期間は大変素晴らしい働きをしてチームに希望を与えてくれていましたが、そういう時期には決まって毎日のように試合に登板させられて、活躍する期間が長く続かずにきました。これではいくら能力のある選手を割り当てても、まるで旧日本軍の万歳突撃を繰り返すようなもので、とても戦いになりません。

 山口選手のような精神面で脆さのある選手に対する接し方にも首を傾げてしまいます。山口選手といえばスタンドからの野次に過剰に反応してビクビクしてしまうような所があって、ヒーローインタビューでは「ブーイングしていませんか?」と自らお願いする程、神経質になっていた時期がありました。

 ですから、そういった脆さのある人に、いたずらに「闘争心がない」などと、他の選手と十把ひとからげの精神論をぶつけるべきではないのではないかと、そのように考えています。特に山口選手は中畑監督の就任した頃から成績を落としていますので、そのあたりの相関関係も無視できないのではないでしょうか。

 例えば精神医療の専門家から直々に接し方のアドバイスを受ける等して、山口選手が心身ともに充実してプレー出来るような環境づくりをしてあげる事も必要なのではないでしょうか。気の弱い子には気の弱い子なりの接し方をすべきではないでしょうか。

 今年のベイスターズはいつもとは違うんだと息巻いているベイスターズファンが非常に多いように思います。確かに上記の通り戦力が充実していますし、上位球団にそこまでの圧倒的な強さを感じませんので、チャンスはあると思います。ですが、このままでは目の前にあるチャンスをみすみす逃してしまう事になります。

 しかしながら、先発にしてもリリーフにしても近年稀に見る優秀なスタッフに恵まれているのは確かなので、こういった弱点を精神論に頼らず、きちんと具体的に対処していかなければならないのではないでしょうか。

 試合に負けて「闘争心がない」と突き放すのは誰にでもできる事ですし、ほとほとウンザリな感じもあります。今日の三浦投手のような出来上がった選手のマンパワーに頼り切る戦い方ではどうしても足りませんので、そこはチームとしてもう一段上の野球をやって頂きたいと、願っております。

以上